コード39「宝物とアルバイト」
第39話
前回、仮魔術士試験を受けた後から
5人で昼食を取っている場面に戻る。
学園都市内での、飲食店。皆の食べたい物を総括して、
ビュッフェになった。ケーシィさんは嬉しそうである。
「そういえば、マナ、あれ出来てる?」
カナリーがマナに何かの確認を取っている。
「はいマスター。出来ておりますよ。ここで渡しますか?」
カナリーが同意すると、マナは小さな包みをリベラへと渡した。
その中には、ブレスレットが入っていた。
青と黒の宝石で出来たブレスレットであり、
私達が友達で仲間の証である。
皆が付けているのに、リベラだけ仲間外れにはできなかった。
「「「祝福します!」」」
どこからともなく世界の声が聞こえてきた。
「「「心魂の繋がりを検知しました!おめでとうございます!リベラ・ミクスト様に、魔力武器を授けます!」」」
「「「リベラ・ミクスト様の魔道具に魔力武器が付与されました。今後、そちらの魔道具には経験値が加算されていきます。加算された経験値量により、魔道具は進化します。是非、ご活用ください。」」」
前回、4人でブレスレットを装備した時と同じような世界の声が
聞こえてきて、そして消えていった。
これにより、リベラは魔力の形状変化以上の強度を誇る魔力武器を作れるようになった。
「…嬉しいです。宝物にするです。」
リベラはそのブレスレットを大切そうに装備していた。
某所某日。
フェニ・アステライトはふらふらとしていた。
目が覚めると知らない天井がそこにはあった。
「過労ですね。」
医術師からの一言が胸に刺さった。
「ぐっ…。」
フェニは病室でショックを受ける。
どうか、妹達にはバレませんように…。
「お姉ちゃん!大丈夫!?倒れたって聞いて飛んできた!」
あぁ…速いな…愛する妹よ。
「え~っと…その~…」
「過労ですね。」
医術師に言われた事と全く同じことをマリナに言われてしまった。
「ぐっ…。」
中身は本当はマナではあるが。
「もう!お姉ちゃん頑張り過ぎ!これからは私達も働くよ!アルバイトする!」
「ダメだ。」
「ふふ~ん。もう私も仮魔術士になれたんだも~ん。だから、アルバイトの幅が広がりました!あと、社会経験は必要だと思います!」
知らない間にこんなにも成長したのか…お姉ちゃんは嬉しい。
「だが…。百歩譲って…危なくない仕事場なら良い。それで許可する。」
「あ!それから、短期バイトにするんだよ?お姉ちゃん早く復帰するから!」
お花と果物を置いて、病室を後にした。
「あんなに小さかったのに、頼もしくなって。」
さて、アルバイト。どうするか。
何にしよう?
「マスター、ここなんかはどうでしょうか?」
魔道具専門店!週3から!初心者大歓迎!
仕事内容、店員~雑用まで多岐に。
採用基準、仮魔術士以上。
「うーん、良さそうだけど、週3だと今の講義的に少し厳しいかな…?」
「承知致しました。講義との兼ね合いも含めてもう一度探してみます。」
しばらくすると、マナが良さそうなアルバイトを見つけてくれた。
喫茶店バリーシュタイン!
週1からでもOK!誰でもOK!
仕事内容、ホール接客。キッチン業務。
採用基準、笑顔を忘れない人なら誰でも大丈夫!
「バリシュか~!いつも行ってるし、店員さんも知ってるし、良いかもね!」
早速、バリシュへ連絡を入れてみると、
あと1人のみ募集しているとのことだった。
「であれば、私は別のアルバイトをすることにします。その方が効率的です。」
マナは別のチラシを見ている。
「一緒にしたかったな…。」
カナリーは少し寂しそうにしていた。
バリシュチラシの裏にもう一つアルバイト募集が載っていた。
「これは…。」
そしてアルバイト当日。
カナリーがチラシを持って、アルバイトの場へ赴いていた。
「こんにちは!今日アルバイトに来た、カナリー・アステライトです!」
そこは、バリーシュタインではなかった。
地図通りに来たはずなのに。
マナはバリシュから連絡を受け、カナリーがまだ来ていないと報告を受けた。
仕方なかったので、マナが代わりにバリシュへと向かっていた。
「あれ…?ここって…」
カナリーが来た場所は、イベントスタッフの
警備員としてのアルバイトであった。
「あれ…もしかして、マナのアルバイト先に来ちゃった…?」
マナはカナリーと通話魔具で通信をした後、
2人の間でアルバイトを交換することになった。
マナはバリシュへと向かい、初めての経験をすることとなる。
(この激しい業務、休日はお客様が止まりません。あの先輩店員様、手の動きが見えません。それに、笑顔が絶えないまま、手の動きが見えません。私の経験値とさせていただきます。)
マナは先輩店員をよく観察していた。
「すみませ~ん。アルバイトに来た者ですが、誰かいますか~?」
カナリーはイベント会場へ足を運んだ。
「あれ?1日早いね。まあいいか。早速だけど、この服に着替えて、こっち来て~!」
何も説明を受けることなく、服を渡された。更衣室の場所を聞き、
着替えて、表に出てくる。
黒のレディーススーツに身を纏い、鏡を確認する。
カナリーは後ろで髪の毛をまとめ、ポニーテールにした。
「よし!じゃあ頑張るぞ~!」
更衣室を出ると、
「あ!いたいた!こっちこっち!じゃあ、あとよろしくね~!」
「え?」
ぽつんと1人取り残されてしまった。
たしか、イベントの警備員だったよね。誰かに聞いた方が良いのだろうか。
1人でそんなことを考えていると、後ろから声をかけられる。
「おい。お前が短期バイトの新人か?」
先輩と思われる男の人に声をかけられた。
「あ、はい。今日からです。あと、私…お仕事内容をまだお聞きしていないのです。」
男は自身の首に手を置き、またか。と言った顔をしていた。
「あ~…またかぁ…。えーと、初日は誰か先輩の近くにいてくれたらいいから。」
「分かりました!では、先輩!教えてください!」
男は周りを確認する。目の前にキラキラと目を輝かせた女の子の視線がまぶしい。
「あ~…っと、じゃあ、会場を案内するわ。ついてきて。」
「まずは、檀上だな。ここで発表会があるんだ。偉い人なんかも来てるから。ここは割と大事だな。」
ふむふむ、カナリーは手帳にメモを取っていた。
「次は、監視魔石を教える。会場には監視魔石が張り巡らせてる。録画もしてるから、たまに事務所でチェックしたりする。」
「次は…」
「んで、ここが休憩所。テントだが、ここで休憩してくれ。」
カナリーと男の先輩は一通り回った。
「あの、お名前をお聞きしてもいいですか?先輩呼びでも良いですけど、さすがに知っておきたいので。」
男は自己紹介をした。
「俺の名前は、ビル・カリュエール。フリーター魔術士だ。ランクは…まあ別にいいか。」
カリュエール…どこかで聞いたことのある名前だ。
どこだったかと、ビルの顔を見ながら考える。
ビルは少し居心地が悪そうに顔をそらした。
「あ!思い出しました!ピエール先生だ!」
「あ?あ~、オービット魔術学園の生徒だったか。ピエールは兄貴だよ。」
なるほど。顔が似ている。
癖の強さは全く似ていないが。
「ところで、あの小さな、く…。小型魔列車・魔駆動車って、なんですか?」
(恐らくは元居た世界での車だとは思うが。)
「さあ?俺も詳しくは知らないが、小さな魔列車だと思えば早いんじゃねぇか?」
近年、魔駆動車の開発を進めているらしい。
都市では1台も走っていない。
今日はそんな魔駆動車の発表会があるらしかった。
一般公開は明日とのこと。
今日は企業へ向けた公開だった。
そんなこんな警備の仕事をしながら話を聞いていると
スポットライトが照射される。
真ん中には、元居た世界での一番古いタイプの車が出てきていた。
「皆さま!ようこそおいでくださいました!本日は、イベントを心行くまでお楽しみください!」
高い建物の上で一人の人物がイベント会場を見つめている。
その手には黒と白で装飾されたマスケットがあった。
顔はフードを被っていてよく見えない。
「…。」
ビル・カリュエール
ピエール先生の弟さん
お兄さんとは違い、癖が強くない。
顔はよく似ている。
マスケット
銃の一種。火打石で点火するタイプのもの。
この世界では、火打石の代わりに魔石を打つ。
だが、異世界である為、全てが現実のものと同じではない。




