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私とAIの異世界転生!  作者: 星廻 月華
【アステライト家編】
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コード3「オレスティエにて」

第3話

前回は魔力と魔術についてのお話。

今回はフェニの視点から。

私こと、フェニ・アステライトは、夜に屋敷を出て、

魔の大森樹林地帯「オレスティエ」に向かった。


普段、この森はかなり危険な森であり、様々な魔物、魔獣が徘徊している。

魔術士などの戦えるものでなければ、入ることができない。

命を簡単に落としてしまうから。


私は、魔術大教会からクエストの依頼を受けた。その内容は

オレスティエの魔物や魔獣達が最近特に騒がしい。危険だ。と。

緊急的なクエスト依頼で実力ある魔術士を向かわせると言われた。

本当は誰かを連れて行きたかったのだが、その日は同行者が見つからなかった。

それに道中、アステライト家に寄りたかったのもあり、調査だけということで、

私一人で大森樹林オレスティエへと向かった。


この時の私は、後悔することとなる。

もっと大人数で行けば良かったと。


この森はアステライト家から山を二つ越えたところにあり、

実際のところ近くはないのだが、カナリーとマリナに

もしものことがあればと思い

自分が調査しに行くと言って出てきたのだ。


山を越え、夜になり森に来てみれば、静かすぎる。嵐の前の静けさのように。


私は、魔術で痕跡を調べた。

魔物や魔獣の気配がしない。それどころか、逃げだした跡のような痕跡が見つかった。


恐らくは…と考えていたところ、案の定嫌な予感が当たった。


ワイバーン・レクスが目の前に降り立った。

強い個体や大人の個体には、「レクス」と付けられており、

討伐難易度が格段に上がってしまう。


私は剣を抜き、魔力を込めて臨戦態勢をとった。

だが、これは調査。無理はせず、フェニは退避するつもりだった。

ワイバーンは基本的には、ひっかき、噛みつき、突進等の攻撃手段をとる。


だが、レクスと名の付く個体は、ワイバーンから進化しており、

その体に魔術式が描かれ、魔術の行使が可能となる。

成長とともにその体に勝手に刻まれるものだ。


ワイバーン・レクスが牙を見せ、大口を開ける。

魔力の粒子が口元に集まる。


「いけない!あれは…!」


と思ったその時、ワイバーン・レクスの魔術式の回路が光輝き、

魔術エネルギーのブレスを放った。

轟音が響き渡り、森の木々がなぎ倒され、地面がえぐれている。

ワイバーン・レクスの魔術式から煙が蒸気のように出ていた。


私は咄嗟に躱せたものの、足を負傷してしまった。

しかし、私は魔術士。絶対に諦めるわけにはいかない。


この個体をこのまま放置すれば、オレスティエの生態系が変わるほか、

私が退避すれば街まで襲来してしまう恐れもある。

そうなれば、街には一般人もいるため大パニックになることは避けられない。


街だけじゃない。その道中にはアステライト家がある。

私の大切な家族、屋敷がそこにある。だから諦めるわけには…


フェニは剣を構え、手に魔力を込める。

そして、左手が魔術により燃え上がる。

火炎付与魔術<スペル・火炎剣(ブレイズソード)

そのまま剣を燃える剣へと変貌させた。


ワイバーン・レクスを斬りつける。

だが、その鱗は固く、少し剝がれるだけだった。


「くっ…!か、硬い!はっ!防御魔術…!」

通常防御魔術<スペル・魔力膜障壁(フィルムシールド)

フェニは魔力の膜を生成した。


空中で尻尾の振り回しにより、樹木まで叩きつけられる。

だが、咄嗟に防御魔術を展開していたおかげで打撲程度で済んだ。


間髪入れずにワイバーン・レクスの体の魔術式が赤く光る。

赤い粒子が口元に収束していく。

そして二度目のブレスを放つ。

それは1回目に見せたブレスとはまた違い、炎属性を纏っていた。

木々がなぎ倒され、地面がえぐれ、さらに炎がフェニを襲う。

フェニが魔術を発動させる。

「火炎防御魔術<スペル・火炎大盾(ロックバーン)>!」

燃える炎の壁が生成され、ブレスを防いでいた。


「炎は私の得意分野よ!負けない…!」


ワイバーン・レクスの体の魔術回路から煙が噴射していた。


戦闘は長引き、爆発音が響く。

森は火に包まれて大火災。

フェニはピンチに陥っていた。


「私じゃ…勝てない…こんな強い個体がいるなんて…」


とにかく魔術大教会に知らせなければと、

通信魔術を試みる。

だが、それはワイバーン・レクスによって

妨害魔術<スペル・魔術妨害(レジスト)

されてしまう。このワイバーンは、他の魔物を食らい、

昔からずっと生存競争に勝ち続け、進化した個体。

エンシェントワイバーンだった。


フェニは救難信号魔術を上に放ち、知らせようとした。

森が大火災。そして強力な魔物の出現。

フェニ1人での対処が出来なくなってしまったと。

誰かが気付いて、魔術大教会へと知らせてくれたらと、

その間、フェニは耐え続ける覚悟を持っていた。


ワイバーン・レクスが咆哮する。

「グオオオオオオオオ!!!」


フェニは音圧で耳がやられないように、手で耳を抑えていた。




カナリーは夜、自室で本を読み、魔術の勉強をしていた。

疲れた体に伸びをし、強張った体をほぐす。


「んーー!少し疲れちゃった。前世の勉強思い出しちゃうね。でも、今は楽しい。」

カナリーは両手を口元に置き、にこやかな表情をしていた。


「よし、ほんのちょっと休憩したらまた魔術本読もうかな。」


自室を出てマリナを探して廊下を歩いていると、

アステライト家の窓の外、山の向こう側に一瞬、花火のような光が見えた。


「こんな時間に、誰かが花火?でも、森の方からだし…今のは…。」


考え込んでいると、山の向こう側が赤く光っていることに気が付いた。

カナリーの胸が一瞬でざわついていた。


「もしかして、お姉ちゃん…?」

フェニお姉さん大ピンチ!頑張って欲しいですね。


第3話、読んでいただきありがとうございます。

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