コード253「解錠される魔力」
第253話
前回、試龍と相手しながら
フェニを含むアルファ組らはデュンワーム・ビィを掃討する事が出来、
魔物除けの魔道具の起動の準備に取り掛かっていた。
「よし!食われていた部分、全て修復完了です!魔道具の起動の準備を進めておきます!」
アルファ組らは疲れを感じつつも、まだ警戒を解かない。
ドラゴンがこちらに来た場合は、迎え撃たなくてはならない為だ。
一方、ドラゴンを相手している3人はというと。
「くっ!<スキル・ダッシュラッシュ>!」
「魔紡之斬魔術<スペル・魔斬糸>!」
「<スキル・スタンスイング>。」
3人同時攻撃を行うのだが、大咆哮により、
3名とも吹き飛ばされてしまう。
だが、ナカに入った黒星の鍵杖は起き上がりながら回復をかけ、
地龍へと突っ込んでいく。
(現在魔力の底が見えてきてしまいました。マスターの魔力容量は膨大な量のはずなのに、実際にあるのが、どうして一般的な量なのか、理解が出来ません。封印されているのでしょうか…。)
自身に纏っていた魔力の層が剥がれ落ちていく。
鍵杖を上手く使い、地龍の爪の攻撃を何とかいなしている。
地龍の爪が壊れても、またすぐに再生してしまう。
ユウリとセリンの2人は何とか立ち上がるのだが、
ダメージが大きく、素早く動けずにいた。
黒星の鍵杖と交代したナカは心魂内部にて、
ある夢を見ていた。
「あのね、お母さん。私ね、あの子と仲良くなったんだ。」
「そうみたいね。良かった。」
「■■。□□さんは、どうなるのですか。」
「あの子は……」
そこまで見た所で、夢から覚める。
あれは…あの夢は一体誰の記憶なのだろう。
私の記憶…?なのかな…?分からない。
■■…。私にとっても大切な人…。のはず。
どうしてだろう…。
記憶に…鍵がかかってるみたい。
その部分だけ思い出せない。
星が空を埋め尽くすこの空間で、
私は濁った海の上に浮かんでいた。
その海はまるで私自身かのように。
あなたは…誰ですか。
どうして、私に夢を見せるの?
教えてください…。
翡翠色のひし形のチェーンのブレスレットを掲げ、
問いかける。
このブレスレットは…私のじゃない。
きっと、これが…私に夢を見せている。
黒星の鍵杖が…今、私の代わりに戦っている。
私は魔物を殺せない。
ごめんなさい…。
すると、心魂内部に煌めく星が落ちて来たかのように思えた。
その星は次第に鳥の姿に変わり、キラキラ煌めく羽が舞い落ちて来る。
羽が私の体に落ちて来ると、私の中で何かが弾けた。
魔力が全身を、海を満たしていく。
この海そのものが…私の魔力なんだ。
そう確信する。
濁っていた海が透明になっていき、
海に星空が映し出されていく。
夢のあなたは…一体…どこかで見た事があるような…。
ナカは次第に眠くなり、眠りに落ちた。
黒星の鍵杖視点。
黒星の鍵杖はナカの魔力が全て満たされ、万能感を感じとる。
「これは…一体…何が起こって…。」
すると、腕に装着されていた翡翠色のブレスレットが輝いている。
魔力に…満ちて、満たされていく。
(これなら、地龍にも対抗が可能です。)
全魔力を解放させ、ドラゴンと相対する黒星の鍵杖。
双方ともに動き出し、黒き鍵杖が銀色の魔力を纏いてドラゴンの腕を斬り裂いていく。
「エラー。エラー。甚大なダメージを検知。形態維持不可。」
黒星の鍵杖は鍵杖の先端に魔力を集める。
息を吐き、ドラゴンへ鍵杖を向ける。
「魔力解錠放出。」
鍵杖から大量の魔力によるエネルギーが濁流のように放出され、
極太レーザーがドラゴンを飲み込む。
「防御術式展開。」
ドラゴンは魔術陣を3枚展開させ、魔力エネルギーを防ぎ始める。
全てを防ぎ切ったドラゴンの体は傷だらけとなり、少しずつ、
その傷が修復されていく。
「魔力の使い方を理解致しました。後方確認。生命体の確認。未検知。」
再び、魔力を大放出させ、ドラゴンもまた、防御術式を展開している。だが、今度は、
「魔力収束、魔力線。」
極太だったものが細くなっていく。魔力密度が上昇していき、
ドラゴンの防御による魔術陣にヒビが入る。
危険を感じ取ったのか、ドラゴンは10枚もの防御術式を展開させる。だが…
「もう、終わりです。出力全開。」
轟音と共に、ドラゴンの展開した防御術式を
魔力光線が全て撃ち抜いた。
鍵杖の赤くなった先端が少しずつ元に戻っていく。
「魔力残存…。敵の殲滅…完了。」
「ナカちゃん!良かった!さっきのは何?すごかった。あのドラゴン…無事に倒せて良かった~。」
五十嵐遥やその他、他の者も駆け寄ってくる。
黒星の鍵杖はもう良いだろうと思い、ナカと替わろうとする。
謎のエネルギーが謎の空間から発せられる。
エネルギーがアークに降り、ドラゴンの心臓が脈動する。
"…。"
"進化を確認。"
"ドラゴン→ドラゴロイドへ進化します"
"身体再構築。"
「疑似人格の再形成を開始。完了。」
ドラゴンの亡骸の中から、何かが出てきた。
甲冑を着ており、薄い金髪に長い髪。
兜を被っており、顔を確認する事が出来ない。
その手には、大剣を持っており、
こちらを見下ろしている。
「更なる試練を開始する…。」
そういうと、ドラゴロイドは黒星の鍵杖へ向け飛び、大剣を振り下ろす。
ギリギリ、鍵杖でガードをすることが出来るのだが、砂煙が連続で爆発したかのように、
後ろへ飛ばされた。
「くっ、防御を。はっ!」
鍵杖ごと、拳で殴られ、軽い体が宙を浮く。
「無駄だ。」
黒星の鍵杖は辛うじて、ガードする事に成功したが、
再び、地面に向けて、吹き飛ばされてしまう。
ドラゴロイドの背中には翼が無いが、
奴は空を飛んでいる。
浮かんでいるが正しい。
「試練を続行する。」
激しい戦闘が継続される。
縦横無尽に動き回り、鍵と剣がぶつかり合う。
黒星の鍵杖は独自の剣技にて、
ドラゴロイドと渡り合っている。
「進化…とは。一体…急に…それも、死体だったはず。何が起こっているのですか。」
大剣の攻撃を捌きながら、パリィやガードで防ぐ。
「試練の為だ。我は、貴様らに試練を与える。そして、データを収集する。それだけの為に我は存在している。」
ドラゴロイドの大剣による、一太刀がどれも重く感じられ、
ナカの体では、それを受流すのでも一苦労だ。
縦斬りを防ぐと、足が砂にめり込む。
(まともに受ければ、こちらが不利です。上手く受流さなくては。)
金属音が大砂漠に鳴り響く。
「…ピンチ。強敵の出現。このままでは…。」
ナカが見た夢は一体誰の夢なんでしょうか。
夢を忘れないでください。
無意識に魔力に鍵をかけていたようですね。
ドラゴンを無事に撃破。したかと思えば、今度は、
進化を始める。
戦いは更に苛烈となり…
第253話、読んでいただきありがとうございます。




