コード22「合否と宝物」
第22話
前回、ビュッフェを楽しんだその先から
カナリー達はそわそわしていた。
魔術学園入学試験発表の報せが届き、
私達はその合否を確認すべく、学園に来ていた。
道中、魔列車の中では入学試験に受けたであろう者達も
たくさん乗車しており大変混雑していた。
学園に到着すると、大きな掲示板が宙に浮いており、
番号が張り出されていた。その数は3千番台まであった。
「えっと…私の番号は…どこ…もう少し先…。」
カナリー、ケーシィ、リルフは必死に探す。
マナはもう合否を確認しているらしく静かに待っている。
そして、ついに
「あ、あった~~~!!!!!!」
「ありましたわ~~!!!!!!」
「あ、あ、、あった…!」
マナも合格していた。
みんなでオービット魔術学園に入学することが出来た。
「マスター、おめでとうございます。あなた様の努力の結果にございます。あなたに祝福を。そして、これからです。ここから始まりますね。」
総勢約3千名の受験者達。
合格したのは、千名ほどであった。
落ちたものは、そもそも第1次試験でゴールできなかった者達や
第2次試験で点数の足りない者達、
第3次試験で態度や作法が良くなかった者達。様々であった。
カナリー、マナ、ケーシィ、リルフの4人は無事に合格したのだった。
そんな喜んでいる4人を学園の中から見つめる者
学園長が居た。
「今年も皆良い顔をしておる。合格した者は笑顔で、落ちた者は次こそはと意気込んでおる。それにしても、あのカナリー・アステライトさん、マリナ・アステライトさん、久々に面白い子達を見つけたのう。ふふふ、楽しみじゃのう。」
アステライト家から、メイド達も学園に来ており、みんな
私達の合否が気になっていたらしく私達を祝福してくれた。
メイドがカナリーを含む4人を撮影魔具で合格写真を撮ってくれた。
「この写真は、大切な宝物だ。」
カナリーがその写真を大事そうに抱えていた。
今日一日は合格発表が張り出されており、
次の日にガイダンスであったり、魔術書の購入や
諸々の説明があるとのことであった。
私達4人はホテルに戻り合格パーティをすることにした。
といっても、4人でビュッフェを楽しんだだけである。
「みなさん!わたくしも含め、みなさんにケーキをご用意しましたの!みんなで食べましょう!」
ケーシィさんが、私達のためにケーキを用意してくれた。
ケーキは甘く、ふわふわであり、イチゴの乗ったショートケーキであったり
フルーツの詰め合わせケーキ、ブルーベリーの乗った濃厚チーズケーキ、
緑をふんだんに使ったモンブランであったり、私達はそれを楽しんだ。
「ケーシィさん今日は簡易的でありますがパーティやケーキ等ありがとうございました!みんなで合格出来て、本当に良かったです!それから…マナあれお願いしてたものできた?」
「はいマスター。出来ております。こちらです。」
マナがとあるものを取り出した。
それぞれ綺麗な宝石で出来たブレスレットだった。
カナリーはチェーンに翡翠色のひし形の装飾の白いブレスレットを。
マナは紫色の石と橙色の石で出来たチェーンブレスレットを。
ケーシィはハートの装飾のある金のブレスレットを。
リルフは葉っぱ型の装飾のある緑のブレスレットを。
「これ、マナにお願いしていたんだ。みんな友達で…仲間の証!貰ってくれますか…?」
ケーシィもリルフもそのブレスレットを大切に手に取った
「わたくし達のために…ありがとうございますわ…!本当に…嬉しい!」
ケーシィさんは目にほんのりと涙を浮かべていた。
その様子を見て、用意して、マナにお願いして良かったと
心の底から思えたのだった。
世界の声と光の粒子が4人に届く。
「「「祝福します!心魂の繋がりの開始を検知しました!おめでとうございます!あなた方に新たな力を授けます!」」
3人は何が何だか分からなかったが、マナが状況把握し、説明してくれた。
「恐らく、我々が仲良くなり、分かりやすい言葉を使うのであれば絆が生まれたのでしょう。それに世界が反応して祝福を与えてくださったのでしょう。」
仲良くなるだけで、そういうのが受け取れるなんて、なんて素晴らしいんだと思った。
私達4人のブレスレットに光が入り込んだ。
「「あなた方の魔道具に、<簡易詠唱>が付与されました。
生命体カナリー・アステライト、生命体マナ・アステライトには心魂に、<詠唱破棄>が付与されました。<詠唱破棄>は<常時魔術>に分類されています。今後、そちらの魔道具には経験値が加算されていきます。加算された経験値量により、魔道具は進化します。是非、ご活用ください。<詠唱破棄>に関しましては、既に進化済でございます。」」
簡易詠唱は4人に、そして詠唱破棄は2人のみに聞こえていた。祝福の時間が終わった。
なんだかよく分からなかったけど、きっとすごく良い事が起こったんだよね!
私達は明日に備えるためお開きにした。
・簡易詠唱
魔術の詠唱を簡易的に行えるようなもの。
読み手からすれば、あまり関係ない。
魔術の発動速度の問題。
・詠唱破棄
その名の通り、思考しただけで無詠唱魔術を発動可能なもの。
・常時魔術
常時発動されている魔術のこと。
ゲームなどでよく聞くパッシブスキルだと思ってもらえると早い。
第22話、読んでいただきありがとうございます。




