コード214「飛ばされたナイア」
第214話
前回、ナイアがお酒を買いに出て来て
ナイアがトンネルの中を歩いていると、
「うぅ…こんなに寒かったでしたっけ…?なんだか、冷えますね…。」
吐息が白くなる。まだ、10ムーンであり、夜は少し冷える程度だが、
(明らかに寒い…。もしかして、連絡路を間違えました…?)
ナイアは違和感を感じ取り、後ろを振り向こうとすると、
(え、待って待って!私、まだ…!)
突然、ゲートが収縮を始め、ナイアは謎の圧力により、
アルマゲスタ世界会議会場の逆側に、押し出されてしまう。
ぐるぐると縦回転をし、弾き出されてしまった。
アルマゲスタ世界会議会場側。
「おい、ゲート閉じ忘れていただろ。入ってきたら、向こう側から閉じるようにって言ったよな?連絡し忘れていただろ?」
謎の少数の集団が、会場へと集まっていた。
「え?だって、それじゃあ、俺達はどこで帰るんです?元々あるのは、検問があるらしいですし…。」
「バァカ。んなもん、適当に逃げたらいいんだよ。それに、連絡路が一つ多いって騒がれるだろうが。ちょっとは頭使え。さっさと行くぞ。」
黒いローブを着た怪しい集団が、世界会議会場へと向かっていた。
ニブルティスのゲートは実は2つあり、
正規なものは残っているのだが、1つが閉じられた。
一方その頃、ナイアはゲートからはじき出され、雪の中に突っ込んでいた。
「ん~!ん~!」
なんとかして、雪の中から体を出す事に成功するのだが、
「えっと…ここ、どこ~~~~!?!?」
ナイアの現在位置、極寒の土地ニブルティス、とある森の中。
つまり、はるか北であった。
「早く帰らないと!ここは…。何も分からない!!雪って事は…、北国のどこかなのかな…。」
ナイアは魔王魔力により寒さを若干凌げていた。
「これは…、迷子です。会議は嫌って言ったけど、やらないとは言ってないのに、なんでこんなことに~~~!?」
大声で叫ぶが、吹雪により、声がかき消されてしまう。
これ、本気でまずいやつだ。
魔力層が吹雪で少しずつ剥がされていく。
冷たい風を少し感じる。
それほどまでに、ここは極寒の土地なのかと気が付いてしまう。
「とにかく、早く戻らないと…私のせいで現世界と精魔界の仲が悪くなってしまう。そんなの絶対にダメ。」
自分の失態は、自分でなんとかしなくちゃ。
私は、ただのメイドでした。
魔王になったのも最近の事で、
魔王魔力というものがあるらしいですが、
私はそれを上手く使いこなせません。
魔王魔力とは、ただの魔力とはまた別の魔力らしく、
魔王だけが持つ少々特殊な魔力らしいです。
魔術とは通常、魔力を通して術式を完成させるもの。
魔王の魔術は、魔王魔力を空中に直接描く術式であり、
魔術の発動をかなり早く発動する事が出来る。
更に、魔王の術式によっては詠唱は不要となっている。
他種族よりも、魔術が強力である事から、
魔王が魔王たる所以はここから来ている。
そして私こと、ナイア・ハーチサークル。
魔王魔力が未だ上手く扱えません。
他の魔王さんに聞いてみたら、それはそのはず、
そもそも、魔王魔力とは、質量が桁違いらしく、
練るのも簡単じゃないようで、鍛錬も必要との事。
魔王魔力さえ扱えれば、この寒さもまだマシになるでしょうけど…
「うぅぅ、寒い…!!」
ガタガタと、体が震えてしまう。
厚着ではなく、ただのメイド衣装であった為、
とんでもなく、寒い。
早く帰らないといけないのもそうだが、
まずはこの寒さをなんとかしないと、凍えてしまう。
体に当たる雪がとても冷たく感じ、
頬や、鼻が赤くなっていくのを感じる。
吐く息が白くも見えない。
吹雪によって、それはかき消され、
積もった雪は深く、足が鉛のようにも感じられる。
手先の感覚が、痺れて来た。
「はぁ…はぁ…、このままじゃ…。」
どれくらい歩いただろうか。
雪が積もる森の中、魔物の気配だってする。
とにかく、身の安全が確保できる場所に…。
「はや……く、帰らな…いと…。」
だが、魔力が限界であり、纏っていた魔力の全てが
剥がされてしまい、身を守る術を失ってしまった。
(やばい…、もう、手足の感覚が…。ダメかもしれない…、私は…。)
そこで私の意識は途切れた。
昔の夢を見た。
バエリア様に、拾って貰えた時の事。
当時は、私も生きるのに必死だった。
たった一人で、食べる物も、雨風を凌げる場所も無くて、
路地で冷たい風を受けながら、
魔力も底を尽きそうになって、
丸くなっていた時、
そんな時に、バエリア様に出会った。
あの方は、私に飲み物と、食べ物をくださった。
そして、少しの魔力も分けてくださった。
バエリア様は、私に衣食住とお仕事と、お金と、そして、
私に愛情を注いでくださった。
こんなに良くしてもらえて、私は幸せなんだと
気付くことが出来た。
本当に嬉しかったんです。
風が、雪が冷たい。
私は何とか、意識を取り戻しつつ、
森の中を歩き、洞窟を見つけることが出来た。
そこは、先約も居らず、小さな洞窟だった。
雪や風を凌げる場所なだけ、とてもありがたい。
(火を…。まず枝は…森の中から取ってこないと…。)
フラフラになりつつも、ナイアはなんとか、森の中から、枝を拾う。
(これくらいで良いかな…。何とか、焚き火をしないと…。)
手がかじかんで、枝と枝をこすり合わせても、
体力も魔力も少なく、力が入らない。
(もう…ダメ…こんな所で…。)
洞窟内で、枝の落ちる音が鳴り響いた。
アルマゲスタ世界会議を狙う何者か達。
そして、一方ナイアはというと、ニブルティスのどこかの森に
飛ばされてしまい、帰るよりも先にナイアが倒れてしまいそうですね。
ナイアには親が居ましたが、バエリアに会う際は、
一人ぼっちになっていました。
そんな彼女を見て、バエリアも何かを思い、拾いました。
何を思ったのか。それはまた別の話。
ナイアは極寒の地でたった一人。
アルマゲスタ世界会議に戻れるのでしょうか。
第214話、読んでいただきありがとうございます。




