表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私とAIの異世界転生!  作者: 星廻 月華
【勇者編:鍵杖章】
210/273

コード209「……あいあおう。」

第209話

前回、サラセニアの魔物を浄化して

サラセニアの魔物はきょとんとナカ達を見つめており、

もう、襲ってくる気配が無かった。

ナカの作戦、花の魔物の中から浄化するという作戦が上手く行くと、

黒い液体をもう吐いていない。


"マスター、分析が完了しました。"


黒星の鍵杖(クラヴィス)によると、黒い液体は、

魔力核から漏れ出ているものらしく、

魔物の活性化に関係しているとの事。


"比較対象が怪鳥の魔物しか居ませんでしたが、あの個体も、いわゆる興奮状態でした。そして、今目の前に居る個体、サラセニアの魔物は興奮状態+魔力増幅されていました。その影響で苦しんでいたようで、体内の魔力を浄化する事で現在落ち着いたようです。何故、興奮状態なのか、そして魔力増幅されていたのかは、未知数です。"


黒星の鍵杖(クラヴィス)が鑑定してくれたおかげで、

異常状態を解除することが出来た。


「キリシーさん、ケリーちゃん、多分大丈夫。もう襲ってこないと思う。」


2人に事情を説明する。

鑑定が出来ること。

魔物が異常状態だったこと。

花の魔物を浄化する事で、鎮静化することが出来たこと。


「あぁ~。あぅ?あぁ!」

人の言葉を話す事が出来ないが、

花の魔物はスッキリした顔をしており、

3人に感謝しているようだった。


「本当に大丈夫なのよね…?」

キリシーは未だ警戒をしていたが、


「きっと大丈夫だよ。この子、もう怯えてないみたいだし、それに…なんだか、ほっとけない。」

ケリーは、その花の魔物に寄り添う。

サラセニアの魔物は、優しく蔓をケリーやナカに巻き付ける。


「ほら、もう、大丈夫。大丈夫だよ。」

ケリーやナカの2人はその蔓を優しく撫でる。




……あいあおう。




ナカの脳内で声が響いた。

サラセニアの魔物がナカの方を見ている。



これは…魔物の声…?

"解析不能。心魂があるとは思えません。"



"ですが…、私にも、心魂はありません。同じです。"



そう言われて、少し悲しくなった。

そんな事ないよ。って黒星の鍵杖(クラヴィス)や、

サラセニアの魔物に伝えようとする。

黒星の鍵杖(クラヴィス)には声が届いても、

なにも返ってこない。


サラセニアの魔物は、首をかしげている。


「私は信じてるから。」

声に出して、サラセニアの魔物と、黒星の鍵杖(クラヴィス)

そう伝える。


"…、信じても、良いのでしょうか。私には分かりません。"


だいじようぶだよ



(きっと、これからもたくさんの事を、黒星の鍵杖(クラヴィス)は学習していくだろう。その中で、心魂とは何か、もっとちゃんと解析できる日が来ると良いね。)


サラセニアの魔物とハグをしていると、後方で、爆発音が聞こえる。


「あ!そうだった!バーンビーやら、魔虫がわらわらと溢れてたんだった!シャール村に戻らないと!」


キリシーが全力ダッシュで帰る。


(グリズリスとバーンビー同時に襲われた時に取り逃がしちゃってたんだった…。早く、村に戻らないと!)



すると、サラセニアの魔物が遠くを見つめ、蔓を広げる。

そして、魔力を込め、花粉を飛ばす。


"解析完了。人体に無毒な花粉です。魔物だけに効果がある花粉のようで、解析の結果、幻惑効果があるようです。"


「いんあ、おいいあえっえ。」

"解析。『みんな、森に帰って。』とおっしゃっているのかと。"


その花粉を吸った、全ての魔物がシャール村から、離れていった。


「すごい!そんな事できるんだ!」

サラセニアの魔物は照れている。少しかわいい。


そして、急いでシャール村に戻る。

サラセニアの魔物は、森の中で待ってもらった。


「皆さん!無事ですか!?」

幸いにも、怪我人は多くは無く、皆軽症との事だった。


ナカが黒星の鍵杖(クラヴィス)のヒールを使い、治療を行う。

"マスター、魔力が枯渇状態です。充填に時間がかかります。低出力モードに移行いたします。"


(全員分、足りて、良かった…。)



「にしても、キリシーさん、あんたすげぇな!あんなことも出来たんだな!」


「そうよ!あんなことが出来たなんて、知らなかったよ!やるじゃないか!」


村のみんなに、感謝を伝えられる。のだが、

キリシーはどこか浮かない顔をしつつも愛想笑いをしていた。


(本当は、私の力じゃない…。魔物、それも、一度は村を襲った魔物。狂乱状態だったとはいえ、村人には言えない。でも…本当に良いのかしら。)


そんな事を悩んでいると、


「あのね!実は、お花の魔物さんが救ってくれたの!みんなに紹介したい!おかーさん!いいかな?」

キリシーが言うよりも先に、ケリーが言ってしまった。

場が凍り付く。ナカは不安そうに森の方を見ると、

サラセニアの魔物も、不安そうに見つめていた。



「……お花の、魔物。だって?」

声色から、黒星の鍵杖(クラヴィス)が鑑定してしまった。


"マスター、あの者から怒りの感情を感じ取れます。ですが…"


(やばいかも…。あの子を避難させないと。)


"マスター?"


ナカは一足先に、森に入り、サラセニアの魔物に会いに行く。

「あのね、もしかしたら、あなたが討伐されちゃうかもしれないの。だから、逃げて!」


ナカが説得をする。

首をかしげるだけで、伝わってなかった。


「お願い…!」


蔓を手に取り、必死に伝える。


"マスター、続きを言います。先ほどの者は様々な思考が巡っておられました。怒りと同時に、複雑な感情が入り混じり、混乱しているようでした。"



遠くから、ケリーが説得する声が聞こえてくる。

小さな子が、大人に負けじと、必死に伝える。


大人は、子供の言うことだからと、聞く耳を持たない。

だけど…


「皆さん、聞いてください。この子の言う通りです。」

キリシーがケリーの手を握る。


たとえ、村のみんなから責められたとしても我が子の味方をしないと。それが、親の務めだから。

ナカは、心魂とは何かを考える。

サラセニアの魔物は明らかに喋っていた。

心魂が無いなら、喋る事も出来ず、自我を持たない。

だけど、喋らなくても心魂を持つものも存在している。

心とは魂とは、心魂とは何なのか。


サラセニアの魔物はどうなってしまうのでしょう。

救われたシャール村の村人達は魔物をどうするのか。


第209話、読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ