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私とAIの異世界転生!  作者: 星廻 月華
【勇者編:鍵杖章】
208/273

コード207「サラセニアの魔物と風」

第207話

前回、花の魔物と接敵して

「アーー…、アァ…グスッ。」

黒い液体が魔物の口から滴る。


恐らくは、あれが毒でしょう。

蔦を切断した際は、出てきませんでした。

繋がっていないことが分かりますが、

体内で生成されているのでしょうか?


じりじりと、後ずさりをする。

逃げられるでしょうか。

いえ、この魔物を放置はできません。


また、シャール村にでも来たら、今度は滅んでしまう。


後ろで何度も爆発音が聞こえてくる。


「……もしかすれば、この爆発音は…シャール村が…!」

早くしないといけませんね。


鍵で本体を切っても良いのでしょうか?

また、あの黒い液体が出て来るのでは。

どこからが、体内に繋がっているのか。

そして、黒い液体に触れずに討伐するには、


「…今の私に出来るでしょうか。いえ、すみません。マスター、殺さずが出来ません。」


"……。うん、緊急事態だもん。魔物……、人じゃない。割り切……。"


マスターはまだ悩んでおられる。

仕方ありません。

あの機能を使えば、行けるでしょうか。

「アンロック申請。」


《アンロック…ロード中。心魂値が足りません。ロック中。》


足りませんでした。

どうするか、仕方ありません。


黒星の鍵杖(クラヴィス)は石を拾い、

鍵杖で殴り、バットのように、石を打つ。


「アァッ…!」

痛がっている。涙が出ている。

可哀そうだけど、ここは…黒星の鍵杖(クラヴィス)に頼るしかない。


"ごめんね、優柔不断で…。"


効果あり。

これを続けましょう。


だが、足元を見ると、石どころか、砂利すらない。


「木々しかありません。木は打てません。それならば。」


追いかけて来るサラセニアの魔物を誘導し、

木の枝を黒星の鍵杖(クラヴィス)は斬り落とす。


下敷きになる。少し、足止めは出来た。

だけど、


「決定打に欠けてしまいます。本体を斬りつければなんとか…しかし、毒の危険性も拭えません。」


すると、謎の種が飛んで来て、鍵杖を落としてしまう。

そして、蔦が黒星の鍵杖(クラヴィス)に襲い掛かる。


「………くっ。」

頭の中でアラートが鳴り響く。

これは…本当にまずい。


ガクンと首がぐったりと下を向いてしまう。


「く、黒星の鍵杖(クラヴィス)!?」


"甚大なエラーを検知。再起動中。"



ま、まずい…!

これは…本気で…。


地面に落としてしまった黒星の鍵杖(クラヴィス)に手を伸ばす。

だが、両手足、体、首が締まる。


「…くるし…も、う、ダメ…。」


意識が……おち……。



「ナカちゃーーーーん!!!」

斧を持ったケリーが蔓を斬り落とそうとする。

のだが、


「あ、あれ?斬れない……!んぐぐぐぐ!!切れて!!!」

何度も何度も振り下ろす。


「はぁ…はぁ…どうしよう!!!」



あぁ…苦しいはずなのに、なんだか、心地いい…。



「この辺り、香りが強くなって…!」

黒星の鍵杖(クラヴィス)も再起動中であり、

浄化スキルが途切れている。毒のせいでナカは感覚が

狂ってしまっている。


絶体絶命の大ピンチであり、どうする事も出来ない。


「ナカちゃんを離せ!!!」

思いきり、斧を振り下ろし、やっと、食い込んだ。

だけど、斬り落とすまでにはまだ力が弱かった。


どうしよう。


このままじゃ、ナカちゃんが死んじゃう。


どうすれば…私の力じゃ…



風を切る音が聞こえる。

後ろから、何かが、来る。



「後ろに飛んで!ケリー!」




「魔力解放!」

拳で斧を食い込ませて、蔓を斬り落とした。



「ガハッ…!ゲホゲホッ!はぁ…はぁ…。」

目の前に居るのは、エプロンを着た、見た事のある主婦だ。



「うちの娘と…お客さんを虐めた罪、絶対に許さないわよ?」

握りこぶしを作り、ブチギレたキリシーさんが救ってくれた。



"再起動完了。マスター!大丈夫ですか!?"

(う、うん…大丈夫。キリシーさんに助けてもらって…すごかった。)


キリシーは戦闘状態を維持する。

左掌を前に、右拳を脇の下で構える。


「ふぅ……。」

キリシーのポニーテールがゆらゆらと揺れており、

魔力の風が発生している。


(やだ、久しぶりすぎて、全解放しなかったわ。行けるかしら…。)



ケリーがナカに駆け寄り、背中をさすりながら、

安否を確認してくれている。

「おかーさん!ナカちゃんは大丈夫!まだ、少し喋れなさそうだけど、退避できそう!」



「ケリー、後で説教ね!でも、今は…。」


サラセニアの魔物の蔓が既に再生されており、

キリシーのポニーテールと連動するように、揺れる。


(この香り、毒ね…、でも、私の魔力と相性が悪かったわね。)


右足を、踏み込み、右と左をスイッチする。が、

「え、」


謎の種が飛んでくるのだが、

キリシーはその種を素手で弾く。


「くっ、行儀が悪いわね。」


(魔力のおかげで、刺さらなかったけど…きっとあれも、毒よね。さて…どうするか。)


サラセニアの魔物は蔓を重ねて鞭のように、振ってくる。

躱せない程ではない。むしろ、キリシーにとって、それは


「遅い。」


片手で蔓を掴み、そのまま引き寄せる。



「絶対に許さないわ。」

渾身の膝蹴りが相手のお腹にモロに入る。

黒い液体が飛び散るが、魔力の風により、弾かれていた。


サラセニアの魔物が黒い液体を吐きながら

木々が吹き飛び、砂煙が巻き起こっている。


「覚悟しなさい。花の魔物。」

キリシーさんの魔力の性質は、風適正。

魔術をまだ使ってはいないが、魔力を解放した際、

キリシーの周りに風が巻き起こる。

果たして、花の魔物を討伐できるのか。

討伐しても、良いのだろうか。

ナカは悩みながらも、ケリーと共にキリシーの後ろに回る。


第207話、読んでいただきありがとうございます。

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