コード200「心魂と鍵」
第200話
??視点
「私は■■が好きだ。」
不意に出たその言葉。その言葉は、思ったよりも重く。
目を深く閉じる。目を閉じると、あの時の光景が目の裏に焼き付いている。
貫かれて、奪われる。
あぁ…なんで、なんでこうなっちゃったんだろう。
私は、空に落ちる。
辺りは星空に満たされ、キラキラと輝きを放っている。
空間が鏡が割れるかのように、私は落下していく。
気が付くとそこは夜であり、見たこともない高層ビル群が立ち並ぶ。
まるで近未来。
そして、冷たい豪雨が私の肌を突き刺す。
雷も鳴っている。すると、私が突き抜けて来た空間から、
一人、魔女帽を被った者が追いかけて来る。
「……っ!」
私は体をねじり、受け身を取る。
力が入らない。苦しい。痛い。
私はゴミ捨て場に落下する。
どうしてこんなことに…。
■■に会いたい…。
一瞬、私の頭の中で砂嵐が、ノイズが走る。
「早く…逃げないと。」
胸を見ると、血が溢れている。
痛い…熱い、冷たい。
帰りたい…。
その間、魔女帽を被った謎の人物が、少女へ歩みを進める。
ダメだ。弱気になっちゃダメ。
私は生きなくちゃ…!
足が震える。ダメ……。違う…!
ダメじゃない!!!
私は、生きて帰るんだ!!!
ここは、見知らぬ世界。
とにかく、どこか逃げないと。
"こっち…"
どこからか、声がする。
…どこ?
雷が鳴り、一番高いビルへ、その雷が落ちる。
"ここに…来て。"
頭が…鳴り響く…声がする。私を呼んでいるのは誰?
"時間がないの…"
…良く分からないけど、そこに行けばいいの?
私はなんとか、必死に走った。
体が、髪が、雨に打たれる。
胸は熱い。でも、体が冷たい。
後ろから、エネルギーの刃が空間を斬り裂くかのように飛んで来る。
「うっ…。」
辛うじて避ける事が出来たが、綺麗な長い髪が斬り落とされる。
「私は…生きるんだ…!こんな所で…!」
私は建物の壁にもたれこむ。
まるで、誰かに受け止めてもらうかのように。
諦める…もんか。
必死に前に進み、エレベーターにもたれかかる。
音も無くゆっくりと最上階に辿り着いた。
そこは謎の白い空間であり、
中央に、黒いひし形のクリスタルが宙に浮いていた。
そのクリスタルはまるで宇宙のような煌めきを放っていた。
それに近付こうとした瞬間、私は力尽きた。
もう…ここまでなの。
そう思ったその時、地面が、建物が揺れる。
"私はあなたを待っていました。全システム、スキルアルゴリズム・オン。
スキル・ジェネレート。
黒星の鍵杖。"
大きなひし形のクリスタルが変形し、
膨大なエネルギーを放ちながら一つの大きな鍵へと姿を変える。
その鍵へ、私は手を伸ばす。
私は…死ねない…まだ…
まだ、生きたい…!!!
声に反応するかのように、大きな鍵が、私の前に浮いている。
鍵が…、鍵を私は掴んだ。
"認証開始。セキュリティレベル:シエル エトワール。
アクセス権限を解放。全ての準備が完了しました。
ご指示を。■■■■。"
鍵を掴んだその瞬間、私は使い方を理解した。
ノイズが少し消える。
「……そうか、これは…こんな所に…うん…、分かった。」
黒星の鍵杖、世界の扉を開いて。
光が空へ放たれる。
私は世界の扉の鍵を開く。
そして、空間が割れ、目の前に、
星空で満たされた世界が、映る。
「……綺麗。」
"さあ、いきましょう。私も連れて行ってください。□□□□。"
「……それ、懐かしい。うん…、一緒に。」
背後には、魔女帽を被った者がこちらへ向かって、飛んで来ており、
私達は、星空、マルチバースへ飛び込んだ。
どこへ向かって落ちているのか、分からない。
"マスター、私につかまってください。"
黒星の鍵杖にしっかりと掴まる。
しばらく落ちていると、謎の声が聞こえてくる。
…。
何をしている。
マルチバースを安易に飛び越えてはならぬ。
貴様らを消去する!
<存在を消滅させる攻撃>が、私達を狙う。
なんとか、その攻撃を避けると、
空間が、音も無く消える。
後ろにあった、星空が、まるで元々何もなかったかのように、
空虚さだけが残っていた。
大いなる者達が、私達を狙う。
"加速を実行します。捕まっていてくださいね。マスター。"
星の鍵杖が星屑を放出しながら、超加速する。
背後から、魔女帽を被った者が追いかけてくる。
その魔女帽を被った者が、大いなる者へ、手をかざす。
な、なにを!
謎の光が、空間を飛び、何者かへ攻撃をすると、
大いなる者が消えてなくなった。
「なんだったの…。」
これは…あるまじき事だ。
有り得ない。
そんな事、不可能だ。
なぜ。
あれは…あれは、存在してはならぬ何かだ!
逃げなくては!
<存在を消滅させる攻撃>は止んだものの、
魔女帽を被った者は依然、私達を追いかけて来る。
"もう少しです。もう少しで…"
目の前に、魔力に満ちた世界が見えて来る。
"マスター!今です!!!"
「うん!!黒星の鍵杖!」
自分の体と同じくらいの大きな黒星の鍵杖をかざす。
すると世界の扉が開かれ、私達は魔力に満ちた世界、アークへ突入した。
大気圏に突入すると、黒星の鍵杖がバリアを張り、
私を守ってくれている。バリアの残骸がキラキラと輝く。
あぁ、私今星になってる気がする。
アークから、謎の流れ星が観測されていた。
遂に、200話更新です。
少し前に100話だと思っていましたが、もう200話なんですね。早いものです。
さて、200話の内容として、話せる部分があまりないのが難点です。
説明をしようとすると、ネタバレになってしまうのがほとんどであり、
難しいですね。
まあでも言えるのは、物語の鍵を握る者の話という事だけ。
ここから世界情勢やら他の視点の話が差し込んだりします。
分かりずらい部分もあるかもしれません。そこは申し訳ありません。
でも、それでも、必死に生きる彼女達の物語を最後までお楽しみください。
まだまだ終わりません。続きます。
200話、読んでいただきありがとうございます。
これからも何卒宜しくお願い致します。




