コード18「迷宮試験の終わり」
第18話
前回、魔人を倒した後の話から
ケーシィとリルフは、マナにより導かれ
先にゴールしていた。
カナリーとマナは魔人フォールンを抱えゴールへと向かっていた。
「マナ、もしかしたら、時間が足りないかもしれない!どうしよう!」
試験の終了時間が迫っていた。
「マスター、確かにこのままでは間に合わないかもしれませんね。なので、強行突破しましょう。もうマッピング済みですので、方向は分かっています。こっち向きです。」
マナは壁の方を指さしていた。
えーっと…もしかして…いやでも…マナすっごいこっち見てくるし…
「ねぇ…もしかして、壁を破壊して、ゴールまでってこと…?」
マナがカナリーとリンクしており、カナリーが許可していた為、
魔力の出力を少し上げることが出来ていた。
カナリーは壁に向かって歩き出すと、触れてもいないのに、
その魔力に触れただけで、壁が破壊された。
「なんか…ズルのような気もするけど…」
私達は壁を破壊しながらゴールへと一直線に走り抜け、
そして大きな扉の前まで来た。
「マスター、ここがこの迷宮の出口にございます。」
私達は、扉を開け、ついにゴールすることが出来た。
だが、扉を抜けた先には、教員が私達を囲うように構えていた。
「魔人の連行ご苦労様です。手荒な事は致しませんので、お話聞かせてもらえますか?」
1人の顔つきの整った髭の生えた中年の男性教員が丁寧に話しかけてきた為、
教員に従うことにした。
落下の魔人を学園側に引き渡した。
何故、外に出た瞬間取り囲まれていたのかというと、
ケーシィがゴールした後、教員達に魔人の出現、カナリーの危機を
教員に説明していたため、最後に出てくるのは魔人の可能性があったと説明してくれた。
だが実際に出てきたのは、魔人を拘束し迷宮の壁を破壊しながら
ゴールをした女の子2人だった。
「初めまして、私は今回の試験担当官のレイゼル・シェンスと申します。では、聞かせてください。」
こちらを覗くように伺っている。
怪しまれるのは当然のこと。
嘘を言ったところで何の得にもならない為、
嘘は言わず、詳細な説明は省き、魔人を倒し、
壁を突っ切ってゴールしたと簡潔に伝えた。
「なるほど。魔人を拘束したところまでは理解しました。ですが、壁を破壊しながらのゴールが私には理解できません。どうやったのですか?」
どうやったかと言われても、壁に近づいてそのオーラが触れただけで壊れたから、特に何もしてないのだけど…などと考えていた。
「言えない事は分かりました。何か特殊な魔術を使ったと認識しておきましょう。その特殊な魔術を聞かなかった事にする代わりに、ただこれだけは今ここで聞かせてください。カナリー・アステライト君、君はどうして魔人を捕まえようだなんて思ったのですか?逃げるという選択肢もあったはず。どうしてですか?」
そんなこと決まっていた。
「それは、魔人さんが悲しそうだったから。そんな彼を助けてあげたいと思ったのです。助けを求めてる人は誰でも助けたいですし、それが例え私に害を与える者であったとしても私は出来る限り助けてあげたいです。あ!それから、魔人さんにはひどいことはしないでください!彼は…ずっと辛そうにしていたから…お願いします!」
中年男性教員は、驚いた顔をした後、何かを察したように口元を緩めた。
「なるほど、分かりました。幸いにも死者は出ていません。ですが、彼のしたこと、そして魔人だという事から、見逃すということは出来ません。我々が出来るのは、魔術警察へ引き渡す際に、少しでも刑を軽くするお願いくらいしかできません。それから、あなたがこの国に害をもたらそうとしていない事はよくわかりました。オーラの色からもあなたが嘘をついていない事は分かります。私はあなたを信じましょう。」
だが、レイゼル教員はマナの方を見ても、
マナのオーラの色だけは認識できなかった。
何を考えているのか、何も読み取れないようであった。
こうして、私達は取り調べから一応は解放され、第1次試験をクリアしたのであった。
ちなみに、カナリーとマナはゴールした際に、多くの受験者に見られているため、
魔人を倒した者達として少しだけ有名人となっていた。
それはまた別のお話。
レイゼル・シェンス。
新キャラ。オービット魔術学園の男性教員です。
俗にいう、イケおじってやつですね。
第18話、読んでいただきありがとうございます。




