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私とAIの異世界転生!  作者: 星廻 月華
【アトラベルト編】
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コード183「アトラベルト中が見守ってる」

第183話

前回、カナリーが大噴水塔(ファウンティナー)中心部にて

「な、なんで…!急に力が…」


カナリーは何度も上へ、上へ落ちては掴み、

落ちては掴みを繰り返す。



アトラベルト近海

夜天のローブを着た女性が海の上を飛びながら思考を巡らせていた。

(何かがおかしい。あの人達が手伝ってくれるんじゃ…。それに、あの方の力なら、あんなもの、すぐに…いや、もしかして…急がなくちゃ。)


海中都市に居るポーラが魔術を使い、

大噴水塔(ファウンティナー)内部を偵察。

状況の確認をしていた。


1匹のヤドカリが大噴水塔にしがみつく。


(これは…!そんな…)

ポーラは手を口に当て、絶句する。

その映像を見て、ポーラに出来る事は何もない。

どうする事も。今はただ、みんなの無事を祈ることだけだった。


そんな折、ポーラは2人組に話しかけられる。

「あんた、何か見てね?うちらにも見せてよ~。スキル、発動。□□□。」


そういうと、映像が海中都市にいくつも浮かび上がった。


大噴海圧と、噴淵界(アトラサラサ)のエネルギーの塊を

必死に食い止めている1人の少女がそこに居た。


それは、海術警察本部でも映像を確認することが出来、

何としてでも、そのエネルギーを降らせてはならない事は分かっていた。


「エネルギー計測の結果、もう、既に臨界点を超えている事が分かりました…。大隊長、あの娘は一体何者なんでしょうか…。」


カナリーが蓋をしていなければ、既にそのエネルギーは降り注いでいるようだった。

そして、その噴淵界(アトラサラサ)を食い止められる存在は、現在ここに1人しかいない。


「こんな時に、何をしているんだ、マリン様…。この国が滅ぶぞ。」


アトラベルトはカナリーの魔術にかかっている。


国民のみんなもなんとなく、その現状に理解が追いついてきたらしく、

みんなが、カナリーを応援している。


「今回の噴海が変な事は分かってる…!どこの誰か分かんねぇけど、なんとか止めてくれ…。」


「あんな光ってるのが、空から降ってきたら…。嫌ぁ!もっと下に逃げないと…!」



ポーラは自身の見ていた映像がアトラベルト中に中継されている事に驚愕する。

そして、それをした女子高生2人組を探すが、どこにも居ない。


「どうして…あんなことを…でも、これで、アトラベルト中が見守ってる…。みんな…。」


国民達が見守る中、カナリーの元へ、マナ達が合流する。


「マスター!」


マナ達も状況を理解し、みなが魔力を合わせようとする。


だが、


「き、来ちゃダメ…!」

カナリーの掴んでいた骨組みが壊れ、最後の骨組みを掴む。


そこはマナ達みんなが居る所から数段上であり、空が、月が見えている。


来るなと言われ、マナは動けない。


(エラー。エラー。マスターの命令を命令を命令を…)


「……関係、ありません…。それが、お願いだと分かっていても、今までの私はそれに順守するしかなかった。でも…今は関係ありません!!私は!!今、目の前で辛い思いをされているマスターを放っておくことなんて、出来ません!!!」


マナは大噴海圧に乗り、飛び、カナリーの元へ向かう。


「マスター!私にも背負わせてください!」

マナは微笑みながら、カナリーと共に、骨組みへしがみ付く。



魔黒石獣(ヌーマイト)!!あの3人を!」


「「自然樹花蔦魔術<スペル・樹花拘束(ラ・ブランチ)>!」」


上級魔力武器(ハイウェポンズ)魔伸鎖(ハイチェイン)!」


それぞれが、3人を掴みこれ以上、上へ行かないように、3つを合わせ、

綱引きのように、みんなが引っ張る。

カナリーは引っ張られながらも、蓋をし、必死に魔力を上げる。


(みんなが…ここまでしてくれて…私も…やらなくちゃ……ここで…!)



魔再之魔術<スペル・魔鏡…



"アンチスキル発動。"



カナリーの胸元に急に魔法陣が現れ、クルクルと時計の針が回ると、

魔術が、魔破片(フラグメント)が解除されかける。


「うっ…!今のは…!あっ…!」



魔破片(フラグメント)がバリバリと、音を立てて、


壊れていく。



魔力を込めようとしたその時、カナリーの掴んでいた所が、光り、

崩れる。カナリーは空へ落ちそうになったその瞬間、マナが必死に掴む。


カナリーが一瞬上へ上がった瞬間、綱引きをしていたみんなも浮かんでしまい、

その場に居た全員が浮かぶ。



重力操作魔術<スペル・自由重力(ナノ・グラビティ)



なんとか、全員その場に留める事が出来た。


「数秒しか保ちません…マスター…。」


もう、これまでかと、諦めたくない。

そう願っていたのに。

みんなを見る。


カナリーの目はまだ諦めていなかった。


みんなも、なんとなく意図を理解した。


大噴海を止めることは出来なくても、

打ちあがったその瞬間、噴淵界(アトラサラサ) を最大火力で破壊する。

シャボンがあった時はすり抜けたが、それが無くなった今なら、恐らく、

攻撃を当てることが可能だろう。


その先は、みんなどこに落ちるか分からないけど、きっとアトラベルト近海に落ちることだろう。


もうそれしか方法がない。



「ごめんね…みんな…。この方法しかないみたい。」


全員が、カナリーを見る。

諦めていないカナリーを、みんなも信じる。


「マスター。私も、お供します。だから、あれを、破壊しましょう。きっとできます。」


全員の思いも同じのようだった。

途中、マナの内部にて、魔術の定着が起こりました。

これは、クリスタルリアクターがなければ、自由重力(ナノ・グラビティ)を使えなかったのに対し、

それが無くても、魔線結晶(ナノワイヤーユニット)があれば、

使えるようになりました。


カナリーを止めた、アンチスキルは一体誰が何のために…。


カナリー達は一体どうなってしまうのでしょうか。

アトラベルト編、クライマックスへ近付いています。


第183話、読んでいただきありがとうございます。

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