コード181「鏡想のオルゴール」
第181話
前回、みんなが流されのみ込まれてから
「スキル発動!!!<スキル・コード>!魔術生成!」
カナリーの前に魔術の帯が現れ、書き込んでいく。
「…これじゃ、ダメ!次!」
何度も何度も書き直していく。
心魂エネルギーがどんどんと減っていく。
「これでも…ダメだ!スイさんを助けたい!次!!!」
必死に考え、プログラムを構成していく。
今の私じゃ…出来ないの…ううん、出来るはず!!!
何度も何度も、書き込んで行く。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、書き込む。
もっと…私に力があれば…
何が足りないの…
書いてはエラーを起こし、
出来ても、それじゃ、メイスィを救う事が出来ない。
「もっと…スキルがあれば…力があれば…私にスキルを!!!お願い!!!!」
《スキルスロットを拡張。対象、カナリー・アステライト。スキルの拡張条件を満たしました。心魂値を消費します。》
遥か遠くから声が大きく聞こえてくる。
私の心、魂に直接語り掛けて来るような。
心魂内にて、光がいくつか近づいて来る。
その光に手を伸ばし、掴む。
これは…
「スキル…発動…<スキル・コード>…魔術生成、魔術設置…魔術改良!!!」
カナリーの周りにタブが現れ、直接書き込み、プログラムを組んでいく。
カナリーにアイディアが湧き、魔術を生成、設置し、そして改良していく。
光の帯がカナリーを包み込んでいく。
《スキル獲得を確認。対象、カナリー・アステライト。》
《スキル名、<スキル・データ>。心魂へ刻まれました。》
このスキルは…すごく良い!!これは物凄く便利!!
「スキル同時発動!<スキル・データ>!脳内処理!光速思考!」
凄まじい勢いで新たな魔術を改良していく。
カナリーは心魂内で新たな星を掴む。
「出来た…これなら…きっと。」
龍の騎士達が脈動する。
内部から何かに押されるように。
魔破片を広げ、龍の騎士を押し返し、
カナリーは淵龍の前に立つ。
"カナリーさん…もう…大丈夫だよ。ありがとう。ここまでしてくれて、本当に嬉しかった。でも、私は大変な事をしちゃった。このまま誰にも会わずにこのエネルギーをもって、地中に行くよ。だから…私を…"
見捨ててって言うの?
それは私には出来ない。
死にたいって願っていたとしても、
私は嫌だ。あなたの事もっと知りたい。
スイさんの好きなものだとか、
大事にしているものとか、
あなたの事がたくさん知りたい。
だから、教えて。
スイさん、メイスィ・サーヴィリアさんの本当の願いを。聞かせて。
カナリーは真っすぐとメイスィを見る。
温かくて優しい眼差しがメイスィを捉えて離さない。
"わ、私は……"
メイスィは家族との思い出を思い返す。
家族4人で楽しく過ごした日々を。
メイスィはアトラベルトでの日々を思い返す。
友達と楽しく過ごした学園生活を。
戻れるの…?
またあの頃に…
戻れるのなら、
出来る事なら、もう一度…。
そして…私は、カナリーさんと…皆さんと…
メイスィは心から魂から叫ぶ。
"私も…友達になりたい…!だから、
カナリーさん…助けて…お願い…。"
「それを待ってたよ!!!今、必ず助けるから!!!
魔術…発動…!」
カナリーは淵龍の上に移動し、手を掲げ、発動する。
その光は、海底都市、大噴水塔、また、アトラベルト近海からも観測された。
人々が後々言うには、突然出現したと。希望の星が、
海の中の星
魔再之魔術<スペル・魔鏡想>
巨大な鏡のような結界が生成され、淵龍を包み込んでいき、
淵龍が、メイスィ・サーヴィリアに"再構築"されていく。
何か、音が聞こえる…
この音は…私のペンダントの…オルゴール…
私が大好きだった、お母さんと妹と、一緒に聞いていたオルゴール。
夜、眠れない時に妹がぐずっちゃって、
あの子は泣き虫だったから…
いつも、このオルゴールの音色を聞いたら、泣き止んで、
それで、眠ってるあの子の頬をつつくとニコって笑って、
私とお母さんは2人で笑っちゃって…
懐かしい…
この景色はきっと思い出なんだよね。
分かってる。もう戻れないのだと。
でも、このオルゴールを聞くと、いつでも思い出せる。
だから、大丈夫。
そして、ありがとう…カナリーさん…。
あなたは私にとって、私達家族にとっての命の恩人…。
本当に、ありがとう。
魔鏡想が脈動し、小さくなっていく。
メイスィがどんどんと再構築されていき、人の姿に変わっていく。
特徴的な竜人種の耳、太い尻尾、そして翼。
魔鏡想は完全にメイスィになじむ。
沈んでいたメイスィに向け、手が伸びる。
ゆっくりと目を開け、その手を掴む。
紫紺色だった目は青紫と水色が混じったような
グラデーションカラーが混じり綺麗な青い瞳へ変わっている。
紫紺の想いは紡がれて、澄み渡る絆が生まれた。
「おかえりなさい!スイさん!」
「ただいま…!ありがとう…。カナリーさん。」
メイスィ、淵龍から無事に龍人へ再構築されました。
カナリーはスキルスロットを拡張させ、更なる進化を遂げます。
魔術設置、魔術改良。
魔術生成の補助的役割のもの。
<スキル・コード>が進化したと言う事です。
更に、カナリーは新たなスキル。
<スキル・データ>を手に入れました。
<スキル・コード>が書き込むものを目的とするなら、
<スキル・データ>はデータを管理する目的のスキルです。
司書と図書館の違いと思って頂ければ幸いです。
役割が違ってきます。
カナリーの新たな魔術。
魔再之魔術<スペル・魔鏡想>
今まで、回復がなかったカナリーに回復魔術が出来ました。
ベースが回復魔術なのですが、原型が無いほどに改良されていますね。
この魔術でカナリーはメイスィを救う事が出来ました。
メイスィの過去の話も出てきました。。
彼女の家族はもう妹しか残っていません。
オルゴールを聞きながら是非読むとより一層没入できるかもしれませんね。
第181話、読んでいただきありがとうございます。




