コード180「大渦と星」
第180話
前回、みんなが水の壁を破壊したところから
カナリーは人型の龍の鎧と戦いながら、
真っすぐに淵龍を、メイスィを見つめる。
絶対、必ず助けるから。
しかし、1体だけ出ていたものが、何体も現れる。
(この鎧さん達も…私は殺したくない。でも、邪魔はしないで!)
カナリーは水中で人型の龍の鎧に向け、平手打ちをする。
何体か岩壁まで吹き飛ばされるが、そのたびに、何度も捕食されては現れる。
マナ視点
大噴水塔上部へ、壁走りで駆け上っていくマナ。
上部では、4体の靄の龍が浮かんでいる。
(あれを阻止しなくては、淵龍に無限のエネルギーが送られ続けてしまいます。今の私であれらを霧散させられるでしょうか…出来る事をやるしかありませんね。)
アトラベルトから遠く離れた島にて、
手足の無い精霊を寝かせたまま、
とある女性がアトラベルトの方をじっと見つめていた。
(直下まで来れました。この魔術を解除するには…。演算中。)
マナは大噴水塔の壁に立ち、思考する。
(魔術では恐らく太刀打ち出来ません。それなら、スキル…。この高等魔術に対抗できるスキルは…)
その時、マナははるか遠くから高エネルギーの魔力を観測する。
(この魔力は…!?)
ここは私が…。あの方の為に。
ここからなら、私でも届きます。
大海剣高等魔術<ハイスペル・深大之光>
青く綺麗な流れ星のような魔術がアトラベルト外から発動する。
それは、アトラベルトの大噴水塔に存在している、
靄雲龍4体ともを大噴水塔ごと、3本の青い細剣が貫く。
マナは事前に魔力を観測していた為、ギリギリ避ける事が出来ていた。
(今の攻撃で、大噴水塔が…いえ、これは…)
深大之光は見事に靄雲龍のみを斬っており、
大噴水塔は斬れていなかった。
(これは恐らく、魔術のみを斬る魔術なのか、もしくは、エネルギー体を斬る魔術なのか…これを放った人物は一体何者なのでしょう。しかし、これで…エネルギーは止まります。)
海底。淵龍は魔力を溜めに溜め、
発動する。
噴淵龍高等魔術<ハイスペル・噴淵界>
その魔術は、海底に停滞する。
まるでシャボンが、空中で止まるかのように。
そのシャボンの中は大量のエネルギーに満たされており、
アトラベルトそのものを破壊する程のエネルギー量であった。
カナリーはその魔術をなんとか、止めようと、
龍の騎士を掻い潜りながら、魔術を発動する。
魔力之魔術<スペル・魔破片>
剣のようにし、斬り込む。だが、すり抜けてしまう。
(くっ、それなら!!)
魔素之魔術<スペル・魔空針>
一本の巨大な針がシャボンに向け撃ち込まれる。
だが、シャボンを通り抜け、後ろの壁が針まみれになり、
シャボンを破壊する事は出来なかった。
(どうすれば…あれは多分、ものすごく危険。止めないと。焦っちゃダメだ。今までが奇跡の連続だったんだ。マナが居なくても…。あ!)
海龍涙高等魔術<ハイスペル・淵龍魔刑>
エネルギーの供給が止まる寸前、最後のあがきかのように
先ほどの魔術が再び発動してしまう。しかも今度のはアトラベルトに
箱が平面に開いたように花のように発動してしまっており、
対処が出来ない。
(みんなが!邪魔しないで…!!)
龍の騎士が大量に現れ、カナリーを海底に押さえつける。
カナリーの服が海底の温度で溶け、半分水着姿となる。
その淵龍魔刑が起き上がり、大津波が発生してしまい、
地上に居たみんながその津波に巻き込まれてしまう。波の流れが強く、
全員、大噴水塔の掴める所で必死にしがみついている。
「モニカさん!!手を!!!」
モニカはつい先ほど、指を折っており、
力が入らず上手く掴めずにいた。エリナが必死に手を伸ばすが
通信チームら全員流されてしまう。
また、リーナ、グラシーもその津波に巻き込まれてしまう。
ベアトリクスが錨で一度は津波を斬るのだが、
「斬ったとしても、これは無理。」
ベアトリクスは大噴水塔まで避難していた。
ケーシィ、ウミューシーも流されてしまい、オニウスがなんとか
2人を掴み、上げようとしているが、
「先輩まで流されちゃう!ダメ!」
3名とも、渦に巻き込まれ、大噴水塔に叩きつけられる。
叩きつけられる際、オニウスが2人を庇ったおかげで難を逃れるが、
オニウスは左肩と足を骨折してしまう。
フェニはその場に居た民間人みな、下へ海中都市へ避難させたことを確認すると、
大惨事を目撃してしまう。
「これは…まるで…まるでアトラベルトを飲み込む巨大な渦のようだ…。カナリー…なんとか無事でいてくれ…。」
フェニはなんとなく、カナリーの実力に気が付いていた。
気が付かざるを得なかった。
カナリー…最愛の妹よ。
どうか、奇跡を起こしてくれ…。
フェニはマナと合流するべく、大噴水塔内部に侵入していく。
ポーラは幸いにも民間人と共に、海中都市へ避難していた為、
渦に巻き込まれずに済んでいた。
「あんた、危なかったねぇ~。うちらも避難するとこだったし、ちょ~ど良かったぁ。」
ポーラはネプトゥスの生徒に引き留められなければ巻き込まれていた。
「う、うん…。ありがとう。」
(でも、みんなが…!上は大変なことに…)
海面都市は大津波で、水没してしまい、
珊瑚のマーメイドも跡形もなく消え去っていた。
だが、店の親子らは事前にポーラが必死に説得し、避難させていたおかげで
彼らの命は助かっている。
「また、やり直せばいいよ…。お父さん、お母さん、2人が生きててくれているだけで、私は嬉しいから。」
カナリー、ポーラを除き、
マナ
ベアトリクス
ケーシィ
リーナ
グラシー
リルフ
ノーマン
モニカ
フェニ
アミア
ウミューシー
オニウス
テイラー
らは全員、大噴水塔に集まっていた。
カナリーは龍の騎士らの圧から抜け出し、淵龍へ突っ込み、
手を伸ばす。
スイさん…!
だが、数千体もの龍の騎士がカナリーに覆いかぶさり、
丸い球体のようになり、行動を不能にまで追い込まれてしまう。
魔力之魔術<スペル・魔破片>バリア生成。
暗闇の中
上がどうなっているのか、不安で、何も分からない。
でも、みんなはきっと大丈夫。
私に今できる事、どんな魔術も全然敵わなかった。
私じゃ、対抗できない。
でも、それは"今の私"じゃ、無理ってだけ。
私は誰も殺したくない。絶対に。
だって、スイさんは…私にとっての、大切な友達。
友達じゃなかったとしても、私はスイさんを助けたい。
それが私の願い、信念だから!!!
「行くよ…スキル発動!!!」
海底で星の光が煌めく。
まさかの2回目の淵龍魔刑が発動してしまい、
地上に居た者ら全員、大津波にそして大渦にのみ込まれてしまいます。
運が良かったのか建物的に全員、大噴水塔に集められることに。
カナリーの攻撃が通らず、彼女はメイスィを救うべくスキルを発動する。
アトラベルト編も佳境に突入していきます。
第180話、読んでいただきありがとうございます。




