コード177「1人の少女の為に、アトラベルトの為に」
第177話
前回、マナがリュカを捕縛してから
カナリー視点
カナリーは淵龍を止める方法を動きながら考えていた。
魔力を全て出し切ってもきっと元には戻らない…。
あの姿は、多分、スイさん自身なんだ。
肉体が、体そのものが、再構築されて、あの姿に変わってるんだ。
淵龍内部に、スイさん本体が居るわけじゃない。
どうすれば、スイさんを救えるのか。
淵龍魔波を避けながら、スイを見つめる。
悲しそうで、苦しそうで、助けを求めてる。
"ねえ、カナリーさん、あなたは…私を殺せますか。"
淵龍の魔力と共に、流れて来たスイさんの願い。
(嫌だ。絶対に。)
"でもね、元に戻る方法なんて…"
マナ視点
「リュカ様、メイスィ様を元に戻す方法を教えてください。」
その問いに対して、隠す事なく、リュカは答える。
「あれは、体を再構築させている。竜人種としての、竜化の応用。そしてその先へスキップさせて覚醒させている。元に戻るとかそういう次元の話じゃないんだ。元に戻そうとか考えても無駄な事さ。」
それを聞いたマナはカナリーに通信の伝言をすることが出来なかった。
「アトラベルトを救いたいのなら、SSSランクでも呼んであれを、淵龍を殺すしかない。あなた達じゃあれを殺せない。例え殺せたとしてもおこちゃまな君らじゃ殺せないのは分かってる。」
それを言った後、リュカは上を、マナの顔を見る。
リュカはゾッとしてしまう。
なんと…なんと美しくて…それでいて、怖い。
「やはり、メイスィ様を救うには、"あの"方法しかないのでしょうか。」
マナは覚悟を決め、リュカから聞き出した情報をカナリーへ向け伝言を頼んでいた。
それを聞いたモニカは固まってしまう。
「"殺すしかないって…そんな事…ダメよ。私が許さない。他に方法はないの?絶対、何かあるはず…"」
しかし、マナは続ける。
「"今のは敵の情報だけです。マスターを、あの方を信じてください。"」
モニカは目を閉じ、覚悟を決め承諾する。
「"分かった。でも、殺すのはダメ。一応伝えるけど、それ以外に方法を考えて。私も考えるから。"」
そして、カナリーにその情報が伝達される。
やっぱり…そうなんだね。
でもね、私、マナの言いたい事が分かったよ。
これしか方法が無い。
そして、これで何とかできるのか、不安だけど、
それでもやるしかない。
「"こちら、カナリーです。みんなに伝えてください。みんなも、頑張って!私も必ず、スイさんを救って見せるから!"」
アトラベルトへ向かってくる巨大な水の壁は、
止まる事が無く、突き進んで来る。
「"マナです。モニカ様、こちらは壁対策をします。それぞれ出現した水の壁は4枚。大噴水塔からも目視出来ました。一つそれぞれが70mを超えている模様。しかし、厚さから見て力を合わせれば何とか出来る範囲です。4枚とも破壊しましょう。"」
1枚目
ケーシィ視点
「"了解しましたわ!こっちは、わたくしにお任せくださいまし!"」
ケーシィはウミューシーに情報共有をし、共に、壁へ向かう。
2枚目
リベラ視点
「"了解です。こっちは私達に任せるですよ。"」
リベラはそう言うと、壁まで走る。
3枚目
リーナ視点
「"分かりました!グラシーとポーラと何とかして止めてみせます!"」
リーナは武器が壊れて最大火力を出すことは出来ないが、
グラシー達がサポートに回る。
4枚目
モニカ視点
「ここは、私達だね。頑張ろうね、"エリィ"。モニカさん、行ってきます。」
エリナは地震の胸に手を置き、走り出す。
その後を、テイラーも遅れて向かう。
ノーマンやリルフは男を見張り、そしてモニカの護衛も兼ねていた。
マナ視点
「そんな事しても無駄。淵龍の魔術は止められない。ふふ…」
リュカは捕縛されながらも自信ありげにマナに伝える。
マナは外壁から上を見つめる。
大噴水塔上部には、未だ、靄雲龍がエネルギーを歪曲させていた。
(あれを何とかできれば…)
それぞれ、アトラベルトの公共機関を使ったり、
全速力で走ったりして、配置に着く事が出来た。
ケーシィ&ウミューシー
リベラ
リーナ&グラシー&ポーラ
エリナ&テイラー
各々が、魔力を解放し始める。
「"みなさん、お願いします!"」
「「「「はい!!!」」」
カナリーはメイスィを殺したくはなく、
どうすれば救えるのか。
マナを怒らせてはいけませんね。
それぞれが水の壁を破壊するべく動き出します。
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