コード173「有線式浮遊」
第173話
前回、リュカの魔術を受けたマナから視が変わり
リベラ視点
「これで、ラストです!」
一区画に出現した大海蛇の群れを単独でさばききることが出来た。
メガゥと戦ったその後大海蛇の群れ100匹以上は倒したのに、
リベラはそこまで疲れを感じていなかった。
(リベラ、体は平気か?)
「全然、平気です。むしろ体から力が湧き上がってくるですよ。」
不意に背後から、大海蛇が現れ、リベラが剣を構える。
十分に間に合う時間だったのだが、それをメガゥが助ける形となった。
「あなた、もう動けるですか。」
メガゥは現在は動くのがやっとのようだ。
「お前、バケモンだな。と言うか、この状況はなんだ。本部とも連絡が混みあっていて繋がらねぇし。さっき後ろから一瞬見えたが、一般人を救ってるようだったな。お前、なんか事情があって警察官をやったのか?」
その問いに対して、リベラはため息が出てしまう。
「はぁ、私は警察官をやってないですよ。何があってどうして私は逮捕と言われるのか、全く理解できないです。何か誤解があったとしか思えないですよ。」
リベラ達がなぜ警察に追われているのか、リベラ自身全く身に覚えがなかった。
「状況が状況だったからな。犯人の特徴に完全一致していた。だから、逮捕しようとしていたのだが…そもそも通報そのものが…」
そんな話をしていると人一倍大きな大海蛇が出現する。
「話は後ですね。今はとにかく、大海蛇を何とかしないとです。」
リベラはメガゥと今だけは共闘する事となる。
だが、お互いにまだ、信用しきっていない為、
お互いに背後警戒態勢を取りながら大海蛇へ向かう。
地上や海中では、海術警察や、ネプトゥスの生徒、
他の皆も大海蛇の殲滅にあたっており、
それぞれが奮闘している。
大噴水塔内部。
リュカの放った魔術に燃やされるマナ。
炎が消えると、服の埃を払いながら平然と黒髪の少女は立ち上がる。
「なっ、ふふ…計算し直します。なぜ?一体、どうやって魔術を防いでいるというのですか。分からない。知りたい。研究させてください!」
リュカはマナの頑丈さ、というより防御魔術の仕組みの理解が出来なかった。
「…。」
マナは攻撃手段と決定打について考えており、
どうすればリュカを殺さずに捕らえることが出来るかを考えていた。
(マナさんの防御が硬すぎますね…あれは何か仕掛けがありそうです。しかし、私の計算では、マナさんに決定打が現状無いという事は知っています。ふふっ…それなら別に倒されないですし、私にとって好都合です。)
リュカは高速移動をしながら、マナをどう攻撃するか嬉々として考えていた。
「あはっ!魔術がダメなら斬り裂くのも良さそうですし、まだまだ他に攻撃手段は残されているんですよ!まだまだ楽しめますね!」
(殺さずに捕縛し、制圧する。今、既存術式を改良し、完成させました。)
マナはゆっくりと、顔を上げる。真っすぐにリュカを見つめる。
すると、リュカ視点から見て、マナの姿形が消えてしまう。
「なっ、どこに!?」
リュカは何かに巻き取られ、壁に叩きつけられる。
更にその何かに弾かれるような感覚もあった。
「うぅ、攻撃力が無かったのに、急にどうして…!?」
リュカは攻撃手段を計算している。
計算しても何をされたのかも、リュカは何も分からなかった。
クリスタルリアクターの特性は、装備者に様々な効果をもたらす。
内部構造として、様々な術式をソースコードのように書き込み束とする。
反発しないように、丁寧にバグを発生させないように防御術式も同時に書き込む。
それらを組み合わせて、直接書かれていない魔術を新たに作り出す。
これは、クリスタルリアクターを応用、模倣させ今新たに作った、マナのオリジナル魔術。
有線式浮遊機魔術<スペル・魔線結晶>
マナの腰あたりから、少し太めのワイヤーが尻尾のように出ており、
その先端にはクリスタルのような魔力結晶が黒く輝いている。
尻尾のように見えて、それはまるで自我を持っている蛇のように動いていた。
(しかし、これは脳内フィードバックが膨大で思考を2つに完全に分けなければ脳が焼き切れてしまいます。この技術はまだ他の者には教えられませんね。)
「そそそそ、その魔術は一体!?蛇…?いえ、蛇にしては生物感がありませんね。しかし、くねくねと動いていて…あぁ!解剖して、中を見たい…!どんな術式になっているのか…えへ…えへへへ…」
その光景を見たリュカの研究魂がマグマが噴火する寸前かのように興奮に満ちていたのだった。
有線式浮遊機魔術<スペル・魔線結晶>
結晶内部に様々な術式を組み込み、動力源はクリスタルリアクターを使用。
マナを浮かすことは難しいが、移動速度の上昇、攻撃重化、更に防御までこなせる。
マナの作り出した新たな魔道具型魔術。
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