コード171「大海蛇《シーサーペント》」
第171話
前回、カナリーが空から帰還して
紫紺色の竜はホテルラリマーにも出現してしまう。
その場に居た、エリナ、リルフ、ノーマン、モニカが応戦する。
「こいつら…急に現れた!?メイスィさんと何か関係があるのかな!?」
エリナは黄色い雷を纏いながら、竜を倒していく。
モニカはその竜を見ながら、
「文献で読んだことがある。大蛇型の海の魔物。それは、大海蛇。見た目はほとんど蛇のような竜種の魔物。群れで行動する為、厄介な相手だとも書いてあった。少し…まずいかも。」
1体であれば、集中攻撃をすれば、リルフやノーマンでも対抗できるのだが、
群れで行動する為、分断する事自体が難しい。
「倒しても倒してもキリがない!モニカさん!どうしよう!」
エリナが宙返りをしながら攻撃し、大海蛇の数を少しずつ減らしている。
モニカは必死に考える。本来なら、逃げるが正解。もしくは、殲滅用の魔術を使用するのだが、
それは一般的な魔術ではなく、特別な魔術となる。
モニカが考えているうちに、リルフとノーマンの前に
3体の大海蛇が口を開き、咆哮する。
2人が大海蛇に食われそうになり、慌てふためく
「あの!テイラーさん?あの2人を助けて!」
アミアがテイラーに頭を下げた。のだが、
「お願い?どのツラ下げて、頭下げてるの?僕は君達の仲間じゃない。食われるのなら、好都合。僕は…」
等と話していると別の大海蛇が現れ、テイラーとアミアを
丸呑みしようと大口を開ける。
「お金!!お金払いますから!助けて!!お願い!」
アミア達がバクっと食べられてしまった。
モニカは一瞬、魔術の行使が間に合わなかった。
「そ…んな…アミアちゃん…。」
アミア達を丸呑みした大海蛇が、
内側から巨大ハサミによって切り刻まれていく。
「植刃蔦魔術<スペル・花草鋏>。まったく。しけた金出したら容赦しないからな。今だけは僕も命の危険を感じたから手伝ってやる。感謝しろよ。」
リルフやノーマンも食べられそうになったが、テイラーが2人を助ける。
「今だけ共闘だ。勘違いするな。」
3人は背中を合わせ、共に大海蛇達と戦う。
エリナもエリィと交代しながら、その場の大海蛇を殲滅に動いていた。
モニカは全員へ向け、大海蛇の情報共有をする。
マナ視点
(地上に…大海蛇が…。)
「リュカ様。今地上で起こっている事が分かりますか?」
リュカの目が龍のように細く光る。
「えぇ…。知ってますよ。ちなみに言いますが、それは私が出しているわけじゃないですよ。あれは核となった者の素質です。私は覚醒を促しただけ。あれこそがあの娘の本来の力なのです!」
大噴水塔内部。
中央では、依然エネルギーの逆流が起こっており、
まるで滝のようにも見える。
マナは足に魔力を集め、壁を走り、リュカへ魔力玉をぶつける。
リュカは頑丈であり、その攻撃はなんなく、防がれてしまう。
(…。やはり攻撃力に欠けてしまいます。やはり、クリスタルリアクターを今ここで修復しなくては私に勝ち筋がありません。)
マナは戦闘中に攻撃、防御、移動、捕捉、魔力管理に、
更にクリスタルリアクターの修復を同時に行い始める。
地上では、紫紺色の大海蛇が猛威を振るっており、
戦える者は戦い、それ以外の者は避難をする。
リベラが10体の大海蛇を相手に、
「合成魔力武器!鎖短剣!」
全方位に攻撃しなんとか一掃する。しかし、大海蛇は海から無限に出現してくる。
今度は20体もの大海蛇がリベラの前に現れる。
「…ベアトリクス、もし私が力尽きたら、あとお願いするです。」
フェニは既に動ける体となっていた為、住民の警護をしつつ、
上層へ、向かっていた。
「ここなら、大海蛇も来れないはずだ!みんな!上へ!」
ケーシィはフェニよりも重症であるのにも関わらず、
リベラとは少し離れた位置で大海蛇を相手していた。
「はぁ…はぁ…!こんな…!こんな所で、くたばれませんわ!!大海蛇とやら!かかってこい!ですわ!!!」
リーナとグラシーはメイスィの元へ向かおうとしていたが、
こちらも、大海蛇に邪魔をされてしまい、
メイスィの元へ辿り着けなかった。
「仕方ない!私達は今は、こいつらを倒しつつ、上に向かうよ!グラシー!手伝って!」
グラシーは神殿の後ろを気にしながらも、前を向き、
「うん。分かった。今はとりあえず、目の前の大海蛇を倒してから、行こう。」
???視点過去
「あんたさぁ、エルフなの?」
高圧的に話しかけられると、私は逃げてしまう。
「ちょ、ちょっと待って、私はただ、エルフの魔術が気になっただけで…」
逃げてる途中、何か聞こえた気がする。でも聞こえなかった。
高圧的な言葉は聞きたくない。こんな耳、私は好きじゃない。
とんがった耳はエルフ種かもしくは竜人種となる。
ただ、私は尻尾や翼がほぼないから、みんなからはエルフと勘違いされる。
誰も助けてなんて…
目の前を見ると、白くて綺麗な花が沈んで来たのかと思った。
でも、こんな所に花なんてあるはずがない。
髪だ。髪が長くて、白くて、綺麗で、エメラルド色の…目で…
カナリーは深海にて、息を止め、淵龍を見る。
(スイさん…。きっと、今もスイさんは苦しんでるんだ。絶対に助けなきゃ!)
メイスィはちゃんと救われるのか。
カナリーの居る海底火山付近、ちゃんとめちゃくちゃ熱いです。
熱いですが、カナリーは暑いな程度に思っています。息をずっと止めながら。
それぞれの場所に大海蛇が現れ、アトラベルトの危機に直面しています。
第171話、読んでいただきありがとうございます。




