コード167「淵龍と大噴水塔と空間」
第167話
前回、リベラがメガゥに勝利してから
ポーラ視点
(あの龍…火口に…!まずい!あそこには!)
リヴァイアサンは海底火口へ向かう。
海底火口には本来、噴海祭の為に大規模魔術を発動する為のキャンプが存在しており、
多くの者がその場に居た。
「ん?あれは…何かのイベントか?ははっ。凝ってるじゃないか。」
「そんなの聞いてないけど?てか、こっち来てない?」
ポーラは急いでシャボンで移動をする。
「逃げて!早く!!」
だが、ポーラの声は遠く、聞こえていない。
それどころか、ただの気泡だと思われている。
リヴァイアサンが噴海祭キャンプ地を襲撃し、蹂躙する。
ただ移動しているだけなのに、被害が甚大であった。
「うわぁぁぁぁ!逃げろ!早く!!」
「待ってくれ!!置いていくな!」
「え?ちょ、これ、もう発動してる途中…。ま、いっか。」
大規模魔術噴火魔術は既に発動されてしまっており、
そのエネルギーが火口を少しずつ満たしていく。
ポーラはキャンプ地から逃げて来る作業員達を避難誘導する。
「ここは危険だから、みんな!海面に急いで!通報も早く!」
(あの龍、何をするつもりなの…。というか、龍の近くに居ると通信が…こっちの状況を伝えられない…。私だけで何とかできる…?いや、無理だ。この状況をなんとか伝えないと。)
リヴァイアサンは体を折りたたみ、蜷局を巻く。
そしてリヴァイアサンに魔力が集まっていた。
マナ視点
マナは大噴水塔内部にて、竜人種と相対する。
「ふふっ、あなたのその感じ…まさかまさかとは思いますが…。やはり…。」
竜人種の少女リュカはマナに向け、魔力玉を放つ。
マナは魔術を使わず華麗に躱す。
「あなたの目的は一体なんですか?」
(どうして私を襲撃してきたのか、それもピンポイントに。マスターの事は心配ですが…。ここを離れられません。この方は、恐らく…。)
魔視++で竜人種の少女を観測する。
『龍眼ノ魔女』
そう観測結果が出てしまう。
魔女は、基本的に、魔人よりも悪魔よりも強い。
(厄介な相手です。龍眼ノ魔女…。)
「私の目的ですか?ん~。そうですねぇ。全ては教えられませんが、もうしばらく私と遊んでください。それに…その視る魔術で私の種族も分かっているのでしょう?竜人種だけど、魔女だと言う事も。あ、そうそう、名前くらいなら別に教えても構いませんよ。
私の名前は…、龍眼ノ魔女リュカ。以後お見知りおきを。」
彼女は名前を名乗り、マナに向け手をかざし、魔術を放つ。
「龍碗ノ魔術<スペル・火龍ノ息吹>。」
熱風と共に、赤黒い炎がマナを襲う。
誰も居ない観覧エリア内の温度が上がっていく。
マナが魔力膜障壁にて、その攻撃を防ぐ。
ポーラが使う魔力膜障壁は溶けていたが、
「あら?ふふ…やはりあなたは私を楽しませてくれますね…。何枚も貼っている…?いやそれなら、溶け痕があってもおかしくない。魔力濃度を上げて強化している…?どうやってその硬さを維持しているのか分かりませんが、研究したいですね。」
マナは冷静に相手を観測解析する。
(クリスタルリアクターは先ほどの衝撃で機能停止してしまいました。重力魔術を使用するにしても、時間がかかりそうですね。難しい問題です。)
リベラ&ケーシィ&フェニ視点
「2人共、大丈夫ですか?」
リベラが2人をゆする。特に、ケーシィは怪我が酷い。
肋骨の骨にヒビが入っており、動くだけでも激痛のようだ。
フェニも魔力切れで動くことが出来なかった。
「"こちら、リベラです。警察は追い払いましたが、他2人の被害が大きく、動けないです。"」
リベラはモニカにそう伝えるのだが、
「"こちら、モニカ。リベラさん聞いて。現在、通信が乱れていて、ポーラさん、カナリーちゃんと連絡が取れないの。リーナちゃん達も何とか聞き取れるのだけど、何が起こっているのかさっぱりで。一番心配なのは、カナリーちゃんで…。"」
リベラも正直なところ、不安が大きい。
「"心配はあると思いますが、カナリーさんなら、きっと大丈夫です。私は信じてるです。"」
それでも、リベラはカナリーを信じることが出来た。
「カナリーさんを信じよう。私達に今できるのは、みんなを待つことだけだから。」
エリナはカナリーを皆を信じて待つ。
リーナはグラシーと合流し、
ポーラはリヴァイアサンから作業員を避難させ、
リベラはケーシィとフェニを支え、
モニカ、エリナらは皆を信じて待つ。
マナは大噴水塔内にて、龍眼ノ魔女を相手する。
カナリー視点
ひたすらに上昇を続けていたのだが、
(いくら何でも上がり過ぎ…!なんで!?上がってる気配はあるのに、空が永遠と続く…!これは一体!?)
カナリーはいくらなんでも、おかしい事に気が付き、
体勢を変えようとする。
(上がってるというより…無限に"落ちてる"ような感じ!まるで…私の周りの空間だけが動いてて私以外は、動いてないような。)
カナリーは深呼吸をし、冷静になって考える。
(これ、なんだか檻みたいな感じ。壊せるのかな?)
カナリーは魔力を集中させる。
"無駄。それは壊せないよ。その空間は…いや、まさか…。"
だが、
魔力を出せる範囲の限界まで高めると、その空間が
鏡が割れたかのように、粉々に砕け散る。
「やった!抜け出せた!今、助けに行くからね!スイさん!」
夜空に煌めく星が、落ち始める。
龍眼ノ魔女リュカ。
どこか楽しそうにマナと戦うリュカ。
カナリーは空間で無限に空に落ちていましたが、
ついに、その空間を抜け出します。
龍眼ノ魔女に、淵龍
どうなってしまうのでしょうか。
リュカの目的は一体。
カナリーを閉じ込めていた者は…。
第167話、読んでいただきありがとうございます。




