コード165「魔力武器 vs 海鮫」
第165話
前回、魔黒石獣戦が終わり
グラシー視点
グラシーはリーナと一時離れ、神殿内部を探索するのだが、
メイスィを見つけられずにいた。
グラシーらはメイスィが龍に変貌していることは知らなかった。
(どこに…。というか、誰の気配も感じられない。神殿の外側にちらほらと気配は感じられるけど…)
それ以外にあてもない為、グラシーは神殿の外側に目を向ける。
大きな穴があり、その辺りは温度が高いように感じられた。
「まさか、ここは火口?」
トンネルのようなシャボンにて神殿と火口が繋がっており、
信者らが何やら作業、儀式を行っていた。その間も、数回の爆発が起こっている。
(あいつらは…詠唱中…?それも、10人以上で。大規模魔術か何か…?)
グラシーは今なら、詠唱に気を取られている敵を一網打尽に出来ると判断し、行動に移す。
「低凍範囲魔術<スペル・低滞域>!」
相手の足を凍らせて止める魔術ではなく、
以前リーナや船の乗組員の体全体を氷漬けにした魔術である。
これにより、口も塞がれる。
だが、グラシーは相手の鼻だけは凍らせず詠唱を止めることが出来た。
「ふぅ…止めれた。でもここにメイスィが居ると思ったのだけれど。居なかった…。じゃあ、どこに…?」
一方、その頃、リベラ視点
メガゥは特殊な槍を手に持ち、リベラとの戦闘を続けている。
(あの槍、少し面倒ですね。こちらの武器がいちいち絡めとられてしまうです。)
アトラベルト警察が扱う槍は、トライデントであり、
魔力伝導率がかなり高い。
以前にオービット魔術学園の授業で使った槍はアトラベルトの槍を参考にした、
トライデント式ではなく、素槍の形を取ったものであり、
技術共有を行っている。
ロードベルト式は全体にまんべんなく魔力を纏わせることが出来るのに対して
アトラベルト式は先端に魔力を集中することが出来、更には槍の先端に魔術式が
施されている。これにより、魔力を流すだけで魔術が発動する仕組みである。
メガゥの持つ槍の先端に水のような粘性のある、
まるでスライムが纏わりついているようなものとなっていた。
それのせいで、リベラの魔力武器がいちいち絡めとられてしまっていた。
(うーん…、あの子の武器を何度取っても、また作られてしまうな。かなり面倒だ。この槍は制圧に向いているはずなんだが。面倒だな。)
リベラはメガゥの槍を面倒と感じ、
メガゥはリベラの武器を面倒と感じていた。
お互いがお互いの武器を面倒と思い、平行線となっていたのだが、
「あーくそ面倒だ。もうこんなやり方は良い。」
メガゥがダッシュをし、槍の先端の水魔術を解き、
普通に攻撃をしてきた。
「ずっと足止めをされて面倒なのはこちらも同じです。そこを退いて欲しいですよ。」
リベラは短剣から、双剣に変更する。
右手の剣でトライデントを逆に絡め、左側の剣で切り込もうとする。
だが、メガゥは仰け反り、その攻撃を躱す。
メガゥはそのままサマーソルトキックをし、リベラは足でそれをガード。
空中で体勢を立て直しながら着地する。
(身のこなしもそうですが、咄嗟の反応がかなり早いです。以前の私ならもう既にやられていたでしょうね。勘が良いのでしょうか…。)
「あんた、かなり強いな。どこの国所属だ?」
「…。」
リベラはその問いに何も言わずに、双剣を構える。
「まあ、いいか。身柄を拘束してから調べれば。」
メガゥは再び槍に魔力を纏わせ、先端に水を集める。
(また…それですか。でも…!)
リベラは剣を地面に突き刺し、魔力を集中させ、地中で魔力玉を炸裂させ
地面を砕く。そして砕かれた瓦礫をメガゥに向け蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされた瓦礫をメガゥが防御すると、槍先に瓦礫が引っ付く。
「ほう。考えたな。だけど。」
メガゥが魔力の流れを解いた瞬間、粘着性がなくなり、
槍先にくっ付いた瓦礫が地面に落ちていく。
(…。それは予想していたです。あれを発動している間はなんでも絡めとるというわけですね。しかし、槍だけに集中してはいけないです。あの方の本領は恐らく、接近戦重視。それならば…。)
双剣と槍の戦いは激しくなっていく。
(くっ!突き攻撃じゃなく、薙ぎ払いが広範囲でなかなかにきついです…!だけど!)
リベラは仰け反りながら、姿勢を低くし、背中が地面につきそうなほど
すれすれでスライディングをし、懐に潜り込む。
「なっ!?上手いな!だが!槍だけじゃない事は忘れてないよなぁ!」
メガゥは槍を上に投げ、リベラに掴みかかる。
リベラは掴まれまいと後ろへ飛ぼうとする。
「はっ!遅い!か細い足だなぁ!」
リベラの足が掴まれてしまい、そのまま地面に叩きつけられてしま
いそうになったその瞬間、
「魔力武器!!!鞭!!」
街灯へ鞭を伸ばし、叩きつけられるのを防ぐ。
足はまだ掴まれたままだった。
「なぁ、何か忘れてないか?」
リベラは上を見ると、トライデントが降ってくる。
「くっ!!魔力武器!小盾!」
防げたと思ったのだが、小盾を貫く。
リベラの左腕に突き刺さり、メガゥがリベラを
ボールを蹴るかのように蹴り飛ばされてしまった。
ベアトリクスはリベラの心配をし、替わろうとしたのだが
「ううん、大丈夫です。なんか、私の体が少し変です。刺さった時は痛いけど、今は痛くないです。それどころか…。」
リベラの腕からトライデントを引き抜こうとするが、
トライデントの先端が無くなり欠けており、リベラの傷そのものも消えていた。
「何故か分からないですけど、傷が塞がる。ベアトリクス、私にやらせて欲しいです。今、絶好調なんです。」
リベラ vs メガゥ
両者の戦いが激しくなってきました。
リベラの心配をするベアトリクスでしたが、本人は絶好調と言う。
アトラベルトの強者を相手にし、リベラは更に成長を続けていきます。
2人の戦いは更に苛烈さを増していき…。
第165話、読んでいただきありがとうございます。




