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私とAIの異世界転生!  作者: 星廻 月華
【アトラベルト編】
164/206

コード163「2人で分け合おうよ」

第163話

前回、魔黒石獣(ヌーマイト)戦に入ってから

リーナは魔弾を扱い、魔黒石獣(ヌーマイト)を引き寄せる。



私の予想が正しければ…。



引き寄せると魔黒石獣(ヌーマイト)が突然、暴れ出してしまい、

散鉤魔弾クローズ・クライクーゲルが絡まってしまった。


「あれ…?急に暴れ出した?」

(…。)



暴れ出した魔黒石獣(ヌーマイト)の攻撃をリーナは

短期予報(フォーキャスト)で避けるのだが、



【-Caution-】



ん?いつもと違う。注意?


ゴーレム状態となった魔黒石獣(ヌーマイト)の攻撃をリーナは

難なく避けることが出来た。それどころか、攻撃を当てる様子が無かった。


(暴れ出したけど…やっぱり私の思ってた通りかも。)



魔黒石獣(ヌーマイト)は、操られて動いてる!敵意や殺気を感じない。縛られてるのかも!」



リーナはショットガンの弾を非殺傷魔力散弾に変更し、

狙いを定める。


「私じゃ、どこを撃てば良いのか分からないけど…でも、対処法は分かる!やらなきゃ!」


魔黒石獣(ヌーマイト)の動きはまるで何かに抗っているように見える。

きっと、救いを求めているのだろうとリーナは思い、行動に出る。


「ちょっとだけ、痛いかもしれないけど…君を助けたい!」


魔力散弾を魔黒石獣(ヌーマイト)へ向け、撃ち込む。

黒き岩がどんどんと剥がれていく。


広範囲に同時に放つその攻撃はまるで

魔力のシャワーを横に向け撃っているようだった。


「再生が速い!どうにかして助けてあげたいのに…」


リーナはザミエルにもう一度魔弾の申請をする。


(…。リーナ…。オレには…もう作れない。1日1発が限界だ。すまない。)


え!?どうして!?今まで3発だったのに、急にどうして…。


ザミエルはリーナにに何も言わなかった。

リーナの記憶を犠牲にしたことの罪悪感が大きかったらしく

何も言えないし、ただ謝るだけだった。


「…、ねぇ、ザミエル。私に何か隠してない?」


リーナは魔黒石獣(ヌーマイト)と戦いながら、ザミエルと話し合う。


(…。)


「やっぱり、隠してるんだね。様子がずっと変だったから、流石の私でも気が付くよ。」


リロードをしながらも、リーナはザミエルに語り掛ける。


「なにかあるなら、本当に謝りたい事があるのなら、直接言って。そうじゃないと、何も分からないよ。それとも、私が何かしたのかな。謝るのは私の方?アトラベルトに来た時から?いや、違う。その前からだもんね。」


リーナは推理を始める。


「旅行に来る直前は、こうじゃなかった。だったら、その後。列車内?違うね。何もなかった。じゃあ…船の中で?そうでしょ。あの時?」


ザミエルは肯定も否定もしない。


「…そこまで謝ってて、魔弾も1日1発って言ったり、魔弾に何か関係があるんでしょ。」

(…。やめて。)


「魔弾…、原因。犠牲?私の何かが犠牲になったんだ。もしかしてだけど、あの時の、

炎猫魔弾クライクーゲル・イグニスキャットが原因?」


リーナは核心に迫る。

(ごめん…ごめん…もう、)


「あの時の事、曖昧にしか覚えてなくて、でも変だよね。」


(オレが悪かったんだ!もう、魔弾は…作りたくない…リーナの大切なものが無くなるのはもう嫌だ…)


リーナは気が付けない。だけど、何かが失われている事は分かった。


四肢や体としての機能はちゃんとある。どこもおかしくない。

それなら、何が失われたのか。朧気な記憶が、その答えとなっていた。


「あの時の犠牲が私には分からないけど、でもさ、きっとそれはザミエルのせいじゃない。引き金をひいたのは私。」


語り掛けても、魔弾の悪魔はもう何も言わなくなってしまった。


「…ごめんね。辛い思いさせて。何も気づけなくてごめん。嫌な事を押し付けてごめんね。」


(…ち、違う!そうじゃない!逆なんだ…!オレが、リーナに押し付けてしまった。犠牲を、変えることが出来なかった。分かっていれば、他の方法だって、取れた。それなのに。)


「やっと、話してくれた。いじわるな言い方しちゃって、ごめんね。私の為に、色々考えてくれてありがとう。そばに居てくれて嬉しい。ザミエルが力を貸してくれなきゃ、今ここに居ないと思う。それこそ、ルナリアの任務でどこかで死んでたかも。ずっと、感謝してるんだ。だから、謝らないで。」


リーナはザミエルに伝えたい事をしっかりと伝える。

「私の方こそ、ごめんね。そしてずっと一緒にいてくれてありがとう。私は…私にとって、一番大切なもの、それは友達なんだ。友達が犠牲にならなくて良かった~って思ってる。」


「だから、もう謝らないで。生きててくれてありがとうって、そばに居てくれてありがとうってそう言ってくれるだけで良いんだから!」

ザミエルはリーナの中で泣いていた。


(…うん。ごめ…いや、これじゃ、ダメなんだよね。ありがとう。リーナ。)


ザミエルはリーナの優しさに触れ、やっと前を向くことが出来た。

自分のしたことを忘れない。そう心魂に刻み込んだ。


「うん!それで良いんだよ!嫌な事とか、2人で分け合おうよ!私こそ、ありがとう!好きだよ!」


リーナの体が輝き出す。その輝きは体の内側から発せられているように見える。

「これは…一体…。」


リーナとザミエルの心魂が輝き、より大きくなる。

赤と薄ピンクの2つの力が混じっていく。


「…なんだか、より一層、ザミエルがそばに居るって感じられる。温かい。」



ザミエルの心魂が、形を変えていく。

ボロボロになっていた、弾丸は、姿を変え、

様々な弾丸へと変えることが出来るようになった。


(リーナ。力が戻った。それどころか、以前よりも力が溢れる。これなら、魔弾も、もっとバリエーションが増える!)

「魔弾の事、もう大丈夫なんだね。」


リーナ&ザミエルは、苦しそうな魔黒石獣(ヌーマイト)に向き直り、前を向く。


「ザミエル、一緒にこの子を、助けるよ!!」

リーナは失われたものが分からなくても、

それでも彼女達は前を向き、成長しています。

リーナとザミエルの関係性とても良いですよね。

魔黒石獣(ヌーマイト)戦、後半に入ります。


第163話、読んでいただきありがとうございます。

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