コード14「迷宮探索」
第14話
前回、入学試験の説明があった後から
大人数の魔術により作られた大迷宮。
レンガ造りの迷宮洞窟のようで、レンガのように見えるのは
魔力によって投影されたもの。足場や壁は魔力で何重にも
重ねられているものとなっている。
迷宮内に、ランダムに転移させられた私、カナリー・アステライトです。
私は今、迷子になっています。脱出口を探して歩きまわっているところです。
会場にはかなりの受験者が居たはずなのに、人と全く会わない。
もしかしたら、あんまり会わないように細工されているのかもしれない。
もしくは、この迷宮がかなり広く、広大に作られている可能性だってある。
私は探索をしていると、遠くから人の声がした。
それは、どんどんと近づいてくる。
「わああああああああ!どいてくださいまし~~!危ないですわよ~~~!」
巨大な大岩から逃げているその少女は見たことがあり
どこかで聞いたことのある声だった。
というか、私も逃げないと、大岩に潰されてしまう。
てか、普通に死にそうなくらいの大岩でびっくりした。
「あ!こっちです!このくぼみに!」
周りを見渡し、逃げれる場所を見つけた。
2人でくぼみに入り込み、なんとか難を逃れた。
改めて顔合わせをすると、彼女は街道で出会ったケーシィ・ライジェルさんだった。
「災難でしたね…あれ?あ!あの時の!お久しぶりです~!ケーシィちゃん!」
ケーシィも思い出したらしく、2人で歓喜していた。
「あぁ!あの時の!お久しぶりですわ!またカナリーさんに会えて幸栄ですわ!」
私達は、一緒に脱出を目指し始めた。
なんでも、扉を開ける仕掛けを解くのを
間違えると、大岩が転がってきたらしく、
大変な目に合ったそうな。
「ランダム転移がきっついですわね~…わたくしもリルフとはぐれてしまいましたの。カナリーさんもマナさんと離れてしまわれたのですわよね?」
「そうなんです…マナとずっと一緒に居たから、こんなこと初めてで、少し不安なんです。でも、立派な魔術士になるためには、このような事態もなんとかしなきゃですね。」
2人でトラップを何とかかいくぐると、仕掛けのあった扉へ戻ってきた。
「これ全く分からないですわ!わたくし、こういうの苦手でして…。」
これは…太陽の模様が刻印された杯と、
月の模様が刻印された杯…二つとも別々の方向を見ている…。
月の杯向いている方向の壁には、鏡…?
鏡の方向へ月の杯を向けるきっと大岩が転がってきたのだろう…。
大岩…、満月…?転がってきた…。
じゃあ太陽なら…?光…?
火系の魔術が飛んで来たらさっきより大変なことになるかもしれないと思ったけど、
それしかすることが無かったため、試してみた。
私は太陽の杯と月の杯の位置を反対にしてみた。
すると、仕掛けが作動し、扉が輝き、鍵が開いた。
「カナリーさん!やりましたわね!すごいですわぁ~!」
私達は先に進んだ。
一方そのころ、マナとリルフが出会っており、そっちも2人で迷宮の脱出に励んでいた。
「リルフ様は、ケーシィ様と離れてしまわれたのですね。私もマスターと離れてしまったので、一刻も早く、探さなければ。」
リルフは人見知りであった。街道で出会った時は、
ケーシィも居たためなんとか話していたが、1対1だと
少しぎこちない様子だった。
「あ、は、はい!僕も…ケーシィと早く合流したいです…」
(うぅ…マナさん…すみません…僕、話すの慣れてなくて…)
マナはそのことに気が付いていたが、リルフの心情を思い黙々と迷宮を探索していた。
マナとリルフは、カナリーとケーシィが居たところに到達する。
マナが大岩を観測系統魔術+独自演算で解析する。
「この大岩、というか、柔らかい球体、魔術が刻まれています。これに触れるとどこかに転移してしまうものですね。リルフ様触れないようにしてください。」
実は、あの大岩は、別の場所へ転移させるだけの柔らかい丸い安全な球体なだけだったらしい。
ただ、ぶつかっていれば、別の場所へ転移させられていた為、とても厄介なものだった。
一応は入学試験。絶対に死者が出ないように配慮されていた。
1人で迷宮に挑むのかと思いきや、ケーシィとと再会しました。
第14話、読んでいただきありがとうございます。




