コード147「ロープウェイの先には」
第147話
前回、メイスィが攫われ、その前日に一旦戻り
時はメイスィが攫われる場面
噴海祭前々日の夜。
「あ~~かったりぃ。給料少なすぎなんだよ。」
大柄の男が愚痴を言いながら歩いている。
「そんな事言っても仕方ないでしょう。今は仕事の事を考えてください。標的は目の前です。」
細身のメガネの男が大柄の男の愚痴を無視し、言葉を続ける。
目線の先には、メイスィとアミアが石段に座って話している所だった。
「あん?どっちを攫えばいいんだよ。」
「情報によると…ヴィーヴル乗りのネプトゥスの学生だと聞きましたが…」
メイスィとアミアの2人ともセーラー服を着ている為、どっちか分からずにいた。
「あ~~めんどくさい。どっちも攫おうぜ。間違えてもめんどくせぇし、それに口封じの必要も無いだろ。間違えた方には悪いがな。」
「仕方ないですね。まあ、今回はクライアントも大目に見てくれるでしょう。」
細身のメガネの男もそれに賛同し、ひっそりと近づいていく。
「実はね…」
後ろから、2人の男が魔術を行使する。
「植睡粉魔術<スペル・背睡眠花>。」
「遮断捕縛魔術<スペル・守捕球>ぉ!」
メイスィとアミアの2人は同時に眠り、そして同時に
ぼやけた球体に捕縛されてしまった。
「さぁて、じゃあ帰るか。」
メイスィのペンダントが外れ、地面に落ちていた。
男2人はそれに気が付いていない。
「いえ、少しプラン変更です。しばらく、アクアパークで身を潜めましょう。噴海祭の影響で警備が増えています。このままだと、バレてしまいますからね。」
大柄の男はめんどくさそうに、露骨に嫌な顔をしていた。
「あぁ?なんで俺が野郎とテーマパークに行かなきゃならねぇんだよくそが。」
「…はぁ、我慢してください。それとも、今行って警備員に見つかって給料が無いどころか、捕まりたいというのでしたら、どうぞ。僕は止めましたからね。アクアパークなら、明日の昼に搬送用中型ヴィーヴルがありますから、それに潜り込みましょう。その方がリスクが少ない。」
大柄の男はギリギリ納得する。
「はぁ、めんどくさ。こいつらはこん中入れとかなきゃで、手を出せねぇし、組んでるのが野郎だしで、最悪だわ。」
「…ふん。それは悪かったですね。」
2人はメイスィとアミアを連れ、明日まで身を潜めていた。
そして
噴海祭が始まる前日の朝。
カナリー達はその日も、各々で街歩きをしていた。
ホテルで休む者と、都市に出て楽しむ者らとで分かれていた。
「今日も、ロープウェイを見に…。」
エリナは仕組みが気になるようで、
モニカ、リベラ、ケーシィと一緒にロープウェイに来ていた。
「そう言えば、このロープウェイの先に、アクアパークというテーマパークがあるらしいです。行ってみませんか?」
リベラがその場の皆に提案する。
「それ良いですね。あ、でも、他のみんなとも一緒に来たかったかも…。まあ、仕方ないですね。」
「テーマパークなんて久しぶりですわ!以前…。」
少し俯いている。そんなケーシィをリベラが背中をぽんぽんと軽く叩く。
「思い出ってやつですね。今日は楽しむですよ。ケーシィさん。」
ケーシィは顔を上げ、軽く微笑む。
きっと昔、彼女は両親と共にロードベルトのテーマパークに行ったことがあるのだろう。
「えぇ。たくさん思い出を残したいですわ。」
4名はアクアパークへと向かって行った。
リーナ、グラシー、フェニはと言うと
この日もフェニが上層で見たアクセサリーをカナリーの為にとの事で、
リーナとグラシーが3人一緒に来ていた。
3名は上昇機に乗り、上層へと向かう。
一緒に乗っているご老人達が兵士と何やら楽し気に話していた。
「今日でついにあの生活から解放されるのね~。」
「あぁ、やっとだ。今日と言うか、明日だけどね。やっとあの生活から解放されるんだ。ついに俺達も…。」
そんな会話をリーナは横目に見ていた。
リルフは少しホテルで休んだのち、
ノーマンと2人で船着マーケット広場へ来ている。
何やら魔道具を色々見てみたかったのだと言う。
カナリーと、マナは2人、都市歩きをしていた。
「こうやって…みんなで一緒に来れてほんとに良かった。メイスィさんやアミアさんも凄く良い人達だし、こんな日々が続けばいいなぁ。」
カナリーは両手を広げながら空を仰ぎ歩く。
「はい。いつまでも、皆様と一緒に。」
マナは目を閉じ、微笑む。
場面は、アクアパーク。
エリナ達の乗るロープウェイがアクアパークへ着こうとしていた。
大柄の男と細身の男は搬入船を待っていた。
そこに、メイスィとアミアの姿が無く、
代わりに、大柄の男が似合わない大きな風船を手に持っている。
まるで、人が入れそうなほどの大きな風船だった。
日付が分かりにくいかと思われますので、ここで説明させていただきます。
噴海祭は、厳密には夕方から始まります。
1話前のメイスィが鎖に繋がれていたのは、
噴海祭の前日の夜と言う事です。
1日自由行動の日の夜ですね。
147話の始まりは、1日自由行動の前日で、
エリナ達がロープウェイに乗ってアクアパークに来るのが
1日自由行動の日となります。
前々日、夜にメイスィとアミアが攫われる。
前日、エリナ達がアクアパークへ(その夜にメイスィが敵地で目を覚ます)
噴海祭の日、大きな事件が起こる。
と言う事になっています。
第147話、読んでいただきありがとうございます。




