コード139「ラリマーでのひととき」
第139話
前回、メイスィとアミアと約束をした後コテージにて
ブルーリゾート・ラリマーにて、
ベアトリクスはコテージの部屋で一人、海を見つめながら
自身の内面に潜っていた。
リベラ。
どうしてまだ起きないんだ。
あの時、何が起こったのか、私には分からなかった。
毒を受け、解毒方法もなかった。
でも、生き延びた。
リベラ…。
ベアトリクスは目を開け、夕食の時間となる。
ブルーリゾート・ラリマーの夕食は豪華であり、
海の幸をふんだんに使ったものだった。
食事はコテージに運ばれる。
本来は、三軒それぞれに運ばれるものだが、
みんなで一緒に食事をとりたかったので、
ひとつのコテージに集まっていた。
(リベラは食べるのが好きだったから…これも食べさせてあげたかったな…。)
その料理を一口食べた瞬間、
「……。」
ベアトリクスの食べる手が早くなる。
「ベアトリクスさん、そんなに早く食べたら…あれ?」
群青色の少女は泣いていた。
その目が柔らかいものになっている。
(やっと…起きたんだ。遅いよ。おはよう。)
「皆さん…。あ…。うぅ…。」
ついに、リベラが目を覚ました。
「リベラさん!!」
カナリーが真っ先にリベラに抱きついた。
温かい。
「心配かけて、ごめんなさい…。ただいま…!です。」
リベラは帰ってきた。
あの時、何が起こったのか本人にも分からなかったらしい。
「うーん…どうして毒が消えたのか、全然分からないです…。」
小動物のようになっていてとてもかわいい。
マナの目によると、リベラの星立体が少し変わっていた。
(リベラ様の星立体が…。適応したと言う事でしょうか…?いえ、でもこれだとまだ毒を受ける…。と言う事は、毒を無効化したわけではなく、何らかの方法で、解毒出来るように変わったと言う事でしょうか。まだ謎が残ります。)
何はともあれ、リベラが再びこうして、
笑顔でみんなと共に居る。
カナリーはそれが何よりも嬉しかった。
コテージで豪華な食事を楽しんだ。
コテージの分け方は、
カナリー
マナ
リベラ
エリナ
フェニ
リーナ
グラシー
ケーシィ
リルフ
ノーマン
モニカ
とこのようになっていたのだが、
ノーマンがどこかそわそわしている。
リルフは慣れていた。
フェニがカナリーと同じコテージが良さそうだったが、
「仕方ない…。カナリーもゆっくり話したいのだろう。」
ひっそりと気を遣ってくれた。
「では、フェニさん、少しだけお話しませんか。」
エリナとフェニが海を見ながら何気ない雑談をしている。
グラシー、ケーシィ、モニカの3名は大浴場へ向かい、
カナリー、マナ、リベラは再会の後、ゆっくりと話している。
リーナは皆と一緒にお風呂には行かず、1人コテージに残っていた。
ザミエル。どうして何も話してくれなくなったの?
リーナが心に語り掛ける。
居なくなったというわけではないから、まだいいが、
リーナは少し寂しさを覚えていた。
「ザミエル…。」
試しに、通常弾を生成しようと魔力を込める。
難なく生成に成功する。
「弾だけじゃ…。嫌だよ。」
リーナにとってザミエルが話さない理由が何も分からなかった。
「はぁ…、居なくなったわけじゃないのは分かるけど、何があったのか教えてくれてもいいのに。」
ザミエルは心魂の奥底で、己を悔やんでいた。
カナリー、マナ、リベラも大浴場へと向かう。
ここでは、水着に着替える必要がある。
そして、温泉が湧いている。
海なのに、温泉が湧いているなんて不思議だった。
「海なのに温泉なんて不思議~~!すご~い!」
説明の看板が立てられている。看板によると
アトラベルト直下には、海底火山が存在している。
その海底火山は深海奥深くまで存在しており、
研究家によると地中に埋まっているらしい。
その全貌は未だ解明されていない。
危険なのではと思わるかもしれないが、
ここ数百年間、大きな噴火はしておらず、
むしろ、アトラベルト側から、噴海祭と称して
専門家が数年に一度、海に潜り少しずつそのエネルギーを逃がしている。
その為、大きな噴火はないとの事だった。
噴海祭はアトラベルトでも有名なお祭りである。
「すごいね!海底火山があるなんて!」
グラシーとモニカは2人でゆったりと浸かっている。
「しかしそれのおかげでこうやって温泉に入れるのですから、アトラベルトの技術力もかなり高い事が分かりますね…。」
モニカがうっとりとしながら答える。
グラシーは目を閉じ、心地よさそうにしている。
「…はぁ、気持ち良い…。」
リルフや、ノーマンもそこへやってくる。
始めに水着を着用すると言う事は、ここでは男女が分かれていない。
2人とも流石に恥ずかしそうにしていたが、
「あ!2人共!こっちこっち~!」
水着姿のカナリーが手を振る。
男子以外は気にして無さそうだった。
そこへケーシィがやってくる。
「お2人とも、楽しでいらっしゃる?」
リルフ。タジタジである。
「お、俺…ちょっと向こうの温泉行ってくる~~…。」
ノーマンが水着姿の女性陣に囲まれているのに慣れておらず
リルフから逃げてしまう。
「あ!ノーマン!」
ケーシィが来てから、リルフも逃げてしまうと、
まるで避けているように思われるのが嫌でリルフは逃げられなかった。
「うん。楽しんでるよ。僕たちの思い出に残る旅行になりそうだ。ケーシィは?楽しんでる?」
ケーシィは肩にお湯を流しながら、リルフと並ぶ。
「えぇ、とっても。こうして、2人になるの、久しぶりですわね。」
ケーシィが肩に湯をかけている。
リルフとケーシィは2人でゆっくり話すことが出来た。
それぞれみんなが、ゆっくりと過ごしている姿がそこにあった。
少しの間眠っていましたが、リベラ、復活です。
彼女に身に何が起こったのか、少しずつ明かされていきます。
ザミエル、居なくなったわけじゃないので、
リーナが通常弾を要求した際は、ちゃんと生成してくれますね。
しかし、会話をする事が出来ません。
ザミエルにとっては、魔弾を生成することがトラウマになっています。
2人はこの先どうなってしまうのでしょう。
リルフとノーマンのやり取り、
男の子らしさを感じますね。
水着を着ているとはいえ、異性と温泉に入る。
ちょっとドキドキしている二人。
みんなのゆったりとした時間が流れます。
第139話、読んでいただきありがとうございます。