コード135「メイスィ・サーヴィリア」
第135話
前回、アトラベルトに入るところから
「今日もありがとうね~。やっぱりスイちゃんが一番だよ。今日も頑張ってね。」
今日も私はヴィーヴルでお客さんを運ぶ。
アトラベルトは広大な都市であるため、転移魔術、ゲートが点在している。
ただし、転移するにしても、そのたびに高額なお金がかかる。
転移は高額である為、ロープウェイや小舟での移動方法も存在している。
その他にも、長距離を移動する為の海魔列車もあり、
海魔列車とは、その名の通り、海の上、また海中を走る列車である。
小舟での移動とは、ヴィーヴルと呼ばれる小舟を使う。
アトラベルトの中を小舟での移動が可能であり、
我々の世界で言うところのタクシーのようなものである。
運転免許証さえ取得することが出来れば、誰でも運転することが出来る。
ヴィーヴルは、舟の中にある宝石または水晶に魔力を込める事により
自由に移動することが可能となっている。
といっても、簡単なものでもなく、水の流れを読むことが肝心である。
私の名前は、メイスィ・サーヴィリア。
愛称は、スイ。と同級生からよく呼ばれている。
私は、ネプトゥス海術学園の学生です。
「あ…、いつもヴィーヴルをご利用いただきありがとうございます。またご利用ください。」
はぁ…。
今日も疲れちゃったな。
夏休みで、お客さんも増えたし、
アルバイト入れすぎちゃったかな。
メイスィのとんがった耳がピクリと動き、
耳にかかっていた髪がすらりと頬を撫でる。
(…。あれは、旅行用の船…。たくさんの人が降りて来る。まあ、私には関係ないですね。皆さん楽しんで…。)
メイスィは小さなロケットペンダントを開き、中の写真を見る。
「…お母さん。お父さん。」
メイスィはペンダントを大事そうにしている。
お客さんが近づいてきたため、
メイスィはそのロケットペンダントを閉じ、
セーラー服の中に戻す。
「アトラベルトへようこそ。ヴィーヴル小舟サービスです。我々がどこへでも送り届けます。」
メイスィは笑顔でお客さん対応をしていた。
マギア・アクア・グランド・クルーズからカナリー一行はアトラベルトへ降り立つ。
「カナリーお姉ちゃん!またね~!!絶対、また会おうね~!」
ジーク君とルミナちゃんや、テラさん、クルミさんと別れる。
「うん~!絶対!またね!」
カナリーらはマギア・アクア・グランド・クルーズへ手を振っていた。
きっとまたどこかで。
アトラベルト総人口、未知数。
ロードベルト国の衛星都市にも引けを取らないほどの大きな国である。
船から降り、一行は見上げる。首が疲れそうなほど高くてものすごく太い噴水。
「うわぁぁぁ~~~!すっっっごい!!わぁ~~~!」
カナリーは目を輝かせながら見渡している。
すると、
少しふらついていた。
マナが受け止める。
「あ…。ごめん、えへへ。ありがとう。」
マナに笑顔を向けるカナリー。
だが、マナは心配になってしまう。
「あの…。マスター…旅行中ではありますが…やはり、ちゃんとした医術師に見てもらった方がいいのでは…。」
楽しい旅行中ではあるのだが、やはり心配だった。
マスターは嫌がるかもしれませんが…ここは譲れません…。
「…うん、わかった。じゃあ、今から行こう。アトラベルトの医術師さんに診てもらう事にするよ。」
カナリーは意外にも病院へ行くことにためらわなかった。
カナリーへの付き添いは、マナ、エリナがついて来ることになり、
旅行先のホテルへは、
フェニ
ベアトリクス
ケーシィ
リーナ
グラシー
リルフ
ノーマン
モニカ
らが向かう事となった。
「それじゃあ、みんな、後で私達も向かうので。先に行っててください。えーっと…今が…16時…。じゃあ、18時までにはそっち行けるようにするので!もしかしたら過ぎるかもしれませんが…。」
と言う事で、二手に分かれる事となった。
フェニもついて来たそうにしていたが、
全回復もしていた為、特に問題なしである。
エリナがついてきているのは、凍傷の部分に
簡易的な魔包帯を巻いておきたいからであった。
船の中では、リーナ、グラシー、エリナと3名で居る事が多く、
グラシーはエリナに何度も何度も謝っていた。
エリナは最初こそ不服そうに、
「これは私が対処できなかっただけなので。」
と、自身の不甲斐なさを言っていたのだが、
グラシーの立場から聞くと、エリナがグラシーに対して
気を遣っていると思われていたのだった。
すれ違いをしているのだが、恐らく問題はないだろう。
エリナも実のところ本当にそこまで怒っているわけではない。
むしろ、課題点だと思っている事だろう。
カナリーサイドは、病院へ向かい、
その他大勢は、ホテルへと向かっていった。
カナリー達はヴィーヴル乗り場で1人の女性へ声をかける。
「あの、すみません。」
「あ、ヴィーヴル小舟サービスです!どこまででしょうか?我々がどこへでも送り届けます!」
茶髪の若そうな女性へ声をかけた。
「アトラベルトの病院まで、お願い出来ますか?3人です。」
カナリー、マナ、エリナの3名でヴィーヴルへ乗り込む所である。
「お身体の具合が悪いのでしょうか…?かしこまりました!でしたら、セントラルホスピタルへお送りしますね。どうぞ。乗ってください!」
紫紺の髪の少女の扱うヴィーヴルとカナリー達の乗るヴィーヴルがすれ違った。
アトラベルト編
『紫紺の想いは紡がれて』
始まります。
以前のエピソードやSNSでもお伝えしましたが、
諸々の事情により、グレイ→グラシーに変更となっています。
大変、お詫び申し上げます。
新キャラ
メイスィ・サーヴィリア
年齢はカナリーと同い年の15歳。女性。
紫紺色の髪であり、耳はとんがっている。
比較的温厚な性格。戦闘はあまり好きではなく、むしろ彼女自身が苦手と思っている。
なので、後述するネプトゥス海術学園の中でも成績はあまり良くない。
ヴィーヴルの扱いが得意。
ネプトゥス海術学園
アトラベルトに存在しているマンモス校
基本的にはオービット魔術学園と変わらない。
海術と言われているが、魔術の教育機関。
名前だけ、海術となっている。これは、海術警察も同様。
ここでも、ロードベルトとアトラベルトは同盟国である為、
ネプトゥス海術学園とオービット魔術学園は交流が一応ある。
第135話、読んでいただきありがとうございます。