コード129「あゝ、我らが王達よ」
第129話
前回、グレイを受け入れてから
マギア・アクア・グランド・クルーズは空を飛び、
乗客を乗せ、ゆっくりと航行していた。
みんな、笑いあいながら、アトラベルトへ向かう。
時計の針が進む。
一方その頃、ロードベルト内
「久しぶりに、こうして、一緒にお茶が飲めて嬉しい。」
レイラはミナリーと共にバリーシュタインにて、ティータイムを楽しんでいた。
「うん…しばらく、ずっと帰ってなかった…ごめんね。」
ミナリーはフレーバーティーをゆっくりと飲む。
船上にて、カナリーもまたクッキーを片手に、ティータイムとしている。
「マナ~、これ美味しい~!」
カナリーと、ミナリーがフレーバーティーを飲んだその時だった。
「「異常エネルギーを検知!!!!!海です!!!!!」」
マナとコルが同時に異常なエネルギーを検知した。
「マナ!?ど、どうしたの!?異常エネルギーって!?」
カナリーは何が何だか分からなかった。
マナはデッキに出て必死に索敵をする。
その時、船に居た人たちは皆、身震いをした。
何かが来る。
ただ、旅行に来ただけなのに。
その気配は、出会ってはいけないものに遭遇してしまったかのような。
「そういえばね…。わっ!?」
ミナリーはガラスを突き破って超高速
音速を超え、飛んで行った。
「ミナリー…。また…。」
レイラはミナリーを想う。
(また…。今度こそは…!間に合って…!)
粒子之精術<スピリチュア・精壊枚>
ミナリーは精壊枚を纏い、
風を切りながら音速を超え、港都市をもう既に超えていた。
「マスター!私たちが出会った、どの魔物よりも…!」
"出でよ、喰らえ、廻れ、解き放て。
昏き深き深淵の底から這い出よ。
あゝ、我らが王達よ。"
"お願い。ピスケス。"
謎の声が謎の空間で響く。
海中から、潜水艦が、飛び上がった。まるでイルカが大ジャンプするかのように。
そして、その潜水艦は、メガロドンの姿に変形し、大きな口を開ける。
その口の中は、シュレッダーのようになっており、高速回転している。
その姿はまるで、超巨大な機械の魚だった。
生物のようで機械のような不気味な鳴き声が響き渡る。
「「「サメー!?!?!?!?」」」
カナリーごと、豪華客船を飲み込む勢いの大口。
マナがカナリーの魔力出力を上げて、そして応戦しようにも、
タイミングがこちらが一手遅い。
「マスター!!!!!!」
「…!?ロードベルト側から信じられない速度の何かが飛来!来ます!」
同時に、ロードベルト側から、超高速で何かが飛来する。
「カナリーに変な事するな!!!魚!!!」
ソニックブームを発生させながら、ミナリーがその機械の魚に蹴りを入れる。
機械の魚ははるか向こうへ吹き飛ばされ、向こう側で水柱が上がっていた。
「良かった…間に合った…」
ミナリーは間に合いほっとしている。
だが、敵機からの追撃の手は止まない。
"ピスケス、キャンサー、アクエリアス。
トライアングルサークル<バミュラビティ・スリーピングアブソーブ>起動。"
"起動シーケンス。複数同時展開。"
超巨大な三角形の結界が張られてしまった。
カナリー達の乗っている船の大型魔石の輝きが
完全に消え、船が海に墜落してしまう。
「きゃあああ!!」
「これは…。一体…。」
マナとコルの同時演算にて得た結果。
結界内の魔素値ゼロ。
「うぅぅ…。マ…ナ…。」
結界内の魔素が吸い上げられ、
更に、重力値が上昇し、カナリーが倒れてしまう。
マナも重力魔術で無理に動こうとすると、
クリスタルリアクターにヒビが入り動けない。
結界内、重力値・上昇。
強制スリープモードへ移行…レジストしました。
レジスト回数1…104…225…752…。
マナにどんどんと負荷がかかっていく。
(私だけでは…。あの方にレジストを…!)
ミナリーは精錬を解放し、戦闘態勢を取る。
「隅のとこ、あそこで結界を…。私がやるしかない。」
現状、この結界内にて魔力は使えない。
つまり、精錬を扱えるミナリーのみが戦えると言う事。
ミナリーが魚に向け、超高速で移動をし、攻撃モーションに移る。
「今すぐ、この結界を…!」
"キャンサー。今。"
海中から、超巨大なチェンソーのハサミを持った
機械の蟹がミナリーに向け飛び出してくる。
「…!!粒状之精術<スピリチュア・精宙尾>!」
ミナリーは辛うじて、ハサミを躱し、
無数の棘が海中から蟹に向け放たれる。その機械の蟹を吹き飛ばす。
「…っ!2体…!てか、端に居なくても、結界を維持できるんだね…。少し厄介。」
豪華客船内の全ての人が眠り、倒れてしまう。
マナは負荷がかかりながらも必死に、
壊れそうなクリスタルリアクターからある物を取り出す。
ミナリーは現状、魚、そして蟹と戦っている。
(かった…。すごい頑丈。でも、集中攻撃すれば行ける。まずは、魚から…)
"アクエリアス。"
(超高エネルギー反応!マスター。避け…)
コルがミナリーに警告を出そうとするが
超高圧レーザーがミナリーに向け、飛んでくる。
三角錐のようなイカのようなクラゲのような
透明の立方体から飛んできたそのレーザーは、
魚や蟹諸共吹き飛ばす勢いだった。
「な、なに!?うっ…!」
魚と、蟹がミナリーをその巨体で挟み込み、ミナリーを押し潰そうとする。
何とか、精錬出力を上げ、両手で踏ん張り、
押し返そうとするが、二機共出力を上げ必死に抑え込む。
レーザーが真っすぐミナリーに飛んでくる。
(このままじゃっ…!)
そこへ、薄群青色の髪の小さな少女が、大型シャベルを持ち、
超高圧レーザーを"斬った。"
「あなたは…!ここまでどうやって!?」
魔剣ノ魔女こと、ベアトリクスが参戦する。
「船からここまで走って来た。手を貸すよ。」
海の上をベアトリクスは高速で走ってミナリーに手を貸した。
この空間の魔素値がゼロになったとしても、ミナリー以外に
ベアトリクスのみが動けた。
ただ、海の上を走ることは可能でも、留まる事は出来ない為、
今だけミナリーが精壊枚でベアトリクスに足場を作った。
ピスケス&キャンサー&アクエリアス
VS
ミナリー・ティアハート&ベアトリクス・ミラクス
アトラベルト近海にて大きな戦いが始まる。
ピスケス&キャンサー&アクエリアス
海に潜んでいた3種の動物型の巨大な機械。
この場面、ミナリーが来ていなければ本当に終わってました。
ベアトリクス、海の上も走れるんですね。
まさかのシャベル。カナリーが持って来ようとしていたものですね。
マナがクリスタルリアクターからシャベルを取り出し、ベアトリクスに渡し、
ミナリーの援護に。海を走りレーザーを斬り裂く小さな魔女。
第129話、読んでいただきありがとうございます。




