俺の名前は――
異世界に来て初めての朝を迎えた。まあ朝といっても、赤ちゃんの体は不思議なもので、起きたのは昼過ぎだった。
今日は昨日に比べ、部屋が少し騒がしい。何やら使用人の話を聞く限り、家族全員へのお披露目が行われるらしい。てか普通にスルーしてたが、俺この世界の言語理解できてるな…転生特典というやつか?
そんなことを考えていたら、使用人の一人が近づいてきて、俺は風呂に入れられ、服を着せられ、と、着々と準備は進められていった。
そしてお披露目の時。
俺は扉の前にいた。
「失礼いたします。坊ちゃまをお連れ致しました」
「入ってよいぞ」
ギイイ。大きな音を立てて扉が開かれる。
そして扉を開けた先には…
あのダンディーイケメンに美女、それに20歳くらいだろうか。青年が一人と10歳くらいの少年が一人いた。
「さあ。こちらに連れてきてくれ」
「はい」
俺は最初に、ダンディーなイケメンに抱きかかえられた。多分この世界での俺の父親なのだろう。
「うむ。なんともかわいらしい!リリー。本当によくやってくれた!」
「あなた。私にも抱かせてくださいな」
次に俺は、美女に抱きかかえられた。こちらは母親だろう。
「まあまあ。元気そうな子ですわね!」
「父上、母上、私もよろしいですか?」
今度は青年に抱きかかえられた。この人は兄かな?中々にかっこいい。
「私の二人目の弟…!」
「兄さま、僕も!僕も!」
「わかったわかった。少し落ち着け」
最後に、少年だ。この子は中々にかわいらしい顔をしているな。これはオタク受けするな。つか男率高え…
「うわあ…!小さくてとってもかわいいです!」
少年は目をキラキラさせてそう言った。かわいい…
様子を見る限り、家族仲はとても良好そうだ。この家に転生したのはとても運がよかったな。
「父さま、母さま。この子の名前は何ですか?早く知りたいです!」
「おお、そうだな。そろそろ教えてやろう。この子の名前は…
アリオスト。アリオスト・レグシェルだ。我がレグシェル伯爵家の新しい家族だ!」
アリオスト・レグシェルか…それがこの世界での俺の名前。いいね。かっこいいじゃん。
てか伯爵家って言ったな。やっぱ貴族だったか。身分的には真ん中らへんかな。まだわからんけど。
「アリオスト…良い名ですね!」
「アリオスト…それなら、アーリーですね!」
「アーリーか。うん、いい響きだな!」
この世界では愛称もあるのか。ま、貴族の名前とか長そうだもんな。あれかな、親しい人にだけーってやつかな。
お披露目が終わった俺は、家族たちと楽しい時間を過ごすのだった。
ずっと抱きかかえられてるだけだけど。
知らないうちに転生していた俺、新庄爽の、いや、アリオスト・レグシェルの人生が始まった。
1話と2話は短いうえにチート要素ないですが、次からはもうちょい長くなるし、チート要素も入れる予定です。
次回:この世界について。
またお会いしましょう。ではでは~