107
結愛の悪ノリで倒れかける守。
-107 織姫(?)が呼び寄せた彦星(?)・・・、じゃねぇよ!!-
満更でもない守に対し、悪ノリした結愛の攻撃は続いていた。どうやら光から守に対する「プロレスごっこ」について教授を受けていたらしい、現役社長の技は思った以上に強力だったそうだ。
ただ守は色んな意味でそろそろ限界な様で・・・。
守「ギブギブギブ、勘弁してくれ!!」
社長の腕を数回タップする守、タップの回数が増えるにつれて何故か力が強まっていく、結愛はかなりのドSなようだ。
結愛「おいおいこいつめ、「やめて下さい」だろ?」
攻め方も光が昔やっていた通りだ、どうやら結愛に事細かく指導されていた様だ。
守「止めて下さい、お願いしますから!!」
やっとのことで攻撃を止めた結愛、そして息を大きく吸って呼吸を整えた守はさり気なく思い出したかの様に聞いた。
守「そう言えば、光明には会ったけど海斗は見かけないな。」
好美「海斗さんって?」
好美が守と同じ大学に通っていた頃、結愛の兄である貝塚海斗は海外の大学に留学していたので勿論2人に間には面識がない。
結愛「嗚呼・・・、俺の兄貴だよ。今頃アメリカのニューヨーク辺りでぷらぷらしてんじゃねぇのかな?」
守「相当「あれ」だったもんな?」
好美「「あれ」って?」
結愛「思い出させるなよ、吐き気がするじゃねぇか。」
顔が蒼ざめさせた結愛に対し何やら楽し気な声が遠くからしていた、声の方に振り向くと社長の「プロレスごっこの師匠」であるダルラン光が何処からか拾ったらしき大きな笹を引っ張って来た。
光「おーい、好美ちゃーん。丁度良かったー。」
好美「光さん、どうしたんですか?大きな笹ですね。」
光は笹を降ろすと『アイテムボックス』から冷えた麦茶を取り出して飲んだ、気温が高い分麦茶が超の付くご馳走に思える。
光「ぷはぁーっ、生き返るぅ!!あのさ、好美ちゃんが良かったらだけどビルのエントランスにこの笹を飾って皆で短冊書いて吊らさない?マンションや店の人にも書いてもらおうよ。」
好美「勿論良いですけど、この世界に七夕ってあるんですか?」
どうやら神や転生者の影響で日本の文化が所々根付いている様だ、七夕もその1つらしく好美が飾り付けた笹と短冊を見た子供が声を掛けて来た。
子供「お姉ちゃん、俺達も書いて良い?」
好美「良いよ、皆で楽しく書いてね。よし、あたしらも書こう。」
暫くして、何も思いつかないのか頭をずっと悩ませていた結愛の様子を見て守が話しかけた。
守「何かしたい事ねぇのかよ。」
結愛「改めてそう言われるとなぁ・・・。やっぱり思いつかねぇ、じゃあ適当に。」
≪兄貴に会ってやっても良い。≫
守「「会ってやっても良い」だなんて、上から目線かよ。」
結愛「しょうがねぇだろ、本当に何も思いつかないんだからよ。」
笹や短冊に光の強力な魔力が微量ながら付着していたらしい、懐からまさかの声が。
男性「短冊に書く程俺に会いたかったのか、兄は嬉しいぞ。」
結愛「嘘だろ・・・、本当に兄貴なのか?!」
海斗「ずっと探していたんだぞ、心配させやがって!!兄がハグしてやろう!!」
結愛「ば・・・、馬鹿!!無暗にくっつくな、放しやがれ!!」
この世界でもシスコン発揮。