106
イベントが無事終わった。
-106 社長襲来-
好美は素麺と中華麺を流す役割を終えた守を自ら所有する15階建てのビルに招待する事にした、1階が店舗になっている事しか知らない彼氏からすれば未知の領域だった。
改めてビルを下から見上げた守は開いた口が塞がらなかった様で、好美からすれば日常なのだがきっとこれが普通のリアクションなんだろうと改めて感じた。
守「ここ・・・、お前の物なのか?!」
好美「うん・・・、一応マンションの大家と店のオーナーしてんの。」
好美が自らも夜勤の仕事をしていると聞いていたのでかなりの年収を稼いでいるんだろうなと体を震わせる守、異世界に来てから驚く事ばかりだ。
下層数階部分を寮として貝塚財閥に貸している事も白状すると・・・。
守「お前・・・、結愛とも契約しているのか?」
好美「ちょっと・・・、色々あって・・・。」
2人がビルの前で長々とした会話を交わしていると、先程の孤児院から職員のプリーストが弁当の注文書を手にやってきた。本人が言うにはメイスはすっかり酔い潰れて寝てしまっているらしい。
プリースト「先程はありがとうございました、子供達も楽しそうにしていたのでイベントは成功ですね。こちら、いつもより多いのですが大丈夫でしょうか?」
好美「大丈夫ですよ、むしろ大歓迎です。」
守「孤児院とも契約しているのかよ・・・。」
好美「孤児院も貝塚財閥所有だからね、結愛さんにいい印象を持ってもらわないと。」
注文書を見ると1番人気の「チキン南蛮弁当」がいつもの倍以上の数量を書かれているので改めてプリーストに確認した。
好美「これ、本当なんですか?いくら何でも数を書き間違えてませんかね?」
プリースト「本当ですよ、明日貝塚財閥本社から視察の方々が来るのでそれで振舞う分ですよ。」
好美は即座に結愛に『念話』を飛ばした、貝塚財閥の事なら社長に聞くのが手っ取り早いからだ。
好美(念話)「結愛、明日こっち来んの?」
結愛(念話)「ああ、孤児院の視察も兼ねて子供達と遊ぼうと思ってよ。何かあったか?」
好美(念話)「やたらと弁当の発注数が多いけどそんなに大人数で来るの?」
結愛(念話)「多くの社員が自分も行きたいって群がっちまってよ、それでも結構数削ったんだぜ。」
好美(念話)「そっか、じゃあ店長に言って発注しておくね。」
『念話』を終わらそうとした好美を焦った様に結愛が引き止めた、どうやら光から「例の情報」が流れていたらしい。
結愛(念話)「それはそうと、お前らいつの間に知り合って出来ていたんだよ。」
社長は当時、同じ県内にある別の大学に通いつつ会社や学校の経営を行っていたので2人の事を全く知らなかった。好美が今度お茶しながらゆっくり話すと返事すると。
結愛(念話)「いや、ちょうど隣に守がいるんだろ?丁度いいじゃねぇか。」
その瞬間、口調が相変わらずの社長が『瞬間移動』してきた。
結愛「今聞こうじゃねぇか。」
大学時代の馴れ初め等について全てを話した、ただ結愛は納得していないらしい。幼馴染である圭の事を知っていたからだ。
守「あいつには県外の大学で別に彼氏がいたからな。」
好美「なのにキスしてたんだ。」
結愛「キスだと?お前、俺の大事なダチの前で他の女とキスしたのか?」
好美「舌入れてたから結構ディープだったよね。」
好美が笑いながら放った良くないジョークに結愛が悪ノリした、因みに結愛は寸前に事実を『念話』で聞いている。隣で好美が腹を抱えて大爆笑している。
結愛「てめぇ・・・、何考えてんだ?あ?」
守「おい好美、何言ってんだよ!!笑ってないで助けてくれぇ!!」
しかしまた、満更でもない守。