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子供達の為、好美が工夫を凝らす。
-104 イベントの傍らで-
孤児院の子供達が飽きない様にと変わった物も含め味変を色々と用意していた好美、一般的な山葵や生姜は勿論、辣油にごまだれ、まさかの明太子マヨネーズまで用意している。明太子マヨネーズに至っては麺をくぐらせやすい様に、そして子供達が食べやすい様にとマヨネーズを多めにしておいた。
冷やしたうどんにも合うからと大根おろしや揚げ玉、葱まで用意してある。ここはセルフうどんの店なのだろうか。
加工した竹を徹底的に綺麗に保ち、毎日表面を消毒液等で除菌し続けた上で魔法で出した綺麗な水により安心した状態で流しそうめんは行われた。
好美の味変のお陰もあって心からイベントを楽しむ子供達、よほど人気なのか思った以上に減りが速い。好美は急ぎ調理場に戻り味変の追加を作りを行った。ただこのイベントで1番懸念される2つの問題をどうするかが課題だった、簡単に解決したが。
好美「素麺足りるかな・・・、店から持って来て追加すればいいか。子供達が飽きない様に茹でて氷水で絞めた拉麺も用意しておこう、店の宣伝にもなるしね。」
好美はスマホを取り出し。この日店を回している副店長のデルアに電話した。
好美「ごめんねデルア、無理言って。」
デルア(電話)「大丈夫さ、今ちょっと店が落ち着いているからすぐに持って行くね。」
電話を切ると同時に麺を茹で始めたデルア、何故か楽しそうに笑みを浮かべている。茹ですぎると持って行った時に伸びてしまうので硬めに仕上げ氷水で絞め、水気を切って孤児院のある教会へと自ら走った。ビルが近くで本当に助かった。
好美「早かったね、ありがとう。皆さん、変わり種で流し拉麵なんていかがでしょうか?」
デルア「俺、流して良い?昔からやってみたかったんだ。」
そう言うと元黒竜将軍は素麺を流している守の下へと向かった、少し疲れていたオーナーの彼氏は快く場所を譲った。
守「どうぞ、結構楽しいですよ。」
デルア「やっぱりですか、来れて嬉しいですよ。皆、流すよ。」
子供達「はーい。」
好美「もう、張り切っちゃって子供みたい。」
恋人の方へと向かった守は、好美から貰った冷えた麦茶を一気に飲み干した。
守「あの人楽しそうだね、好美の知り合い?」
守は好美がこの世界で何をしているのかまだ知らなかった。
好美「あの人は私の部下なの、私こっちの世界で拉麵屋のオーナーしているから。」
守「ウソだろ・・・、景気良いんだな。」
多分このままの雰囲気でビルを所有していると言うと守が倒れてしまいそうなので、好美は一先ず「拉麵屋のオーナー」で止めておいた。
一方で、やはり味変の減りは相も変わらず早かった。特に大根おろしや揚げ玉、そして明太子マヨネーズがすぐになくなる。
焦った好美の耳に光とメイスのある言葉が入って来た。
光「良い光景ですね、これ肴に呑むビールが最高ですね。」
メイス「それにこのおつまみがたまりませんよ。」
ん?「ビールが最高」に「おつまみがたまりませんよ」だと?そう思った好美は2人の方に振り向いた、2人が知らぬ間かテーブルを用意して減りの早い味変を肴に呑んでいる。
好美「ちょっと、何やってんですか!!」
光「え?美味しいから良いじゃん、それより好美ちゃんも呑まない?」
アーク・ビショップは明太子マヨネーズにこれもまた知らぬ間に用意した1口大の胡瓜をディップして呑んでいた、そのままの明太子もあり美味そうで羨ましい。
遂に我慢できなくなった好美は『アイテムボックス』から冷やしておいた缶ビールを取り出し、メイスに分けて貰った肴で呑み始めた。
好美「ぷはぁー・・・、最高過ぎる・・・。」
光「いい顔しているじゃない、ほらこっちにいらっしゃい。」
食欲が減退していた子供達の為に開催している流しそうめんがメインなのか、3人の昼吞みがメインなのか分からない状況だが皆どうでも良くなっていた。
楽しければ良い。




