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以前契約を交わした財閥の社長を前に緊張する好美。


-⑨ 社長の変貌と意外な事実-


 貝塚財閥の社長はビールを飲み干した好美に早速と言った様子で焼けたばかりの肉にシンプルに塩で味付けすると、今まで見せた事の無い程の笑顔で好美に勧めた。

 ただその時、以前の仕事モードとは真逆の「あのキャラ」で話しかけたのだ。


結愛「この前はすまなかったな、無茶な条件つけてよ。」

好美「いや・・・、そんな何を仰いますやら。それよりこのお肉頂いてもいいのですか?」

結愛「硬くなるなって、もう一緒に仕事する仲間じゃねえか。友達も同然だよ。」


 契約を交わした時とは真逆のキャラで話して来たので少し焦りを見せる好美、ただこれが結愛の本当の姿なのだ。別に酒に酔っているとかは全く関係ない。

 好美ともっと仲良くなりたくなった結愛は自ら持って来た焼酎「魔王」をロックで渡した、これは結愛にとって「今夜は無礼講」だという事を意味している。


好美「社長・・・、こんな高級なお酒・・・。」

結愛「お前は一生俺の事を「社長」って呼ぶな、それと俺の酒が吞めねえのか?」


 好美は手が震えて仕方なかった、これを吞まなきゃ好美にとって大切な何かが壊れる気がしたからだ。覚悟を決めた好美は手渡されたグラスの酒を一気に飲み干した。


結愛「いける口だな、やるじゃねぇか。これから俺らは仲間、いや友達だ。敬語なんか使うなよ!!」

好美「は・・・、う・・・、うん・・・。」

結愛「あはははは!!これからよろしくな好美!!」


 離れたところからその光景を見ていた光がぼそっと呟いた。


光「いや、キャラ変わりすぎでしょ。」


 その言葉を聞いた男性が横から割り込んできて一言、それにより光は驚きを隠せずその場に躓いてしまった。ただビールグラスはしっかりと握っている。


男性「いや、これ日常茶飯事なんで。」

光「光明さん、びっくりしちゃったじゃないですか。」

光明「すみません、妻に頼まれた食材を採りに行くのに苦労してたんですよ。」


 男性の正体は、結愛の夫で貝塚財閥副社長の貝塚光明だ。今回も前回と同じく魚を持って来たのだろうか。しかし今「採りに」って言ってなかっただろうか。

 よく見てみたら光明の服装が少し汚れている様な・・・、しかも副社長なのにジャージ?


結愛「おう、光明!!あれ買って来たか?」

光明「相変わらずだな、これだろ?」

結愛「おう、これだこれ。」


 光明からビニールの袋を受け取ると『アイテムボックス』から小さなナイフとおろし金を取り出した。


結愛「好美、面白い物を食わせてやるよ。」

光明「またあれをやるのか・・・、飽きないなお前も。」

結愛「るせぇよ、仲良くなった奴にしかこれはやらねぇって決めてんだよ!!好美は良いの!!」

光明「はいはい。」


 ため息をつく光明に好美はビールを手渡した、食材の採集に疲れていたのか美味そうに呑んでいる。大仕事の後のビールが五臓六腑に染み渡っている様だ。


光明「美味いですね・・・、よほど高級なビールなんでしょうね。」

光「いや、銀色の一番有名なあれです。」


 光明はぽかんとしながらビアサーバーを眺めた、自分がよっぽど大変な仕事をしたんだと実感をし始めた様だ。そんな事もつゆ知らず、結愛は光明から受け取った食材を採りだして先端の皮をナイフで剥き始めた。


好美「それって・・・、山葵?」

結愛「そうだ、好美は山葵が辛いだけのものって思ってないか?」

好美「そうじゃないの?」


 結愛は自らが思った通りの答えを好美が言うと、先端だけ皮を剥いた山葵を手渡した。

結愛「ほら、騙されたと思って食ってみろ。」

好美「う・・・、うん・・・。えっ、甘い!!」


そう、実は山葵は甘い食べ物なのだ。

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