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改めてゆっくりと過ごそうとした好美と光。
-91 深夜突然の来客と相談-
メラのお陰で想定の半分の時間で片づけを終わらせる事が出来た好美は真っ暗な夜の街を眺めていた、周囲で明かりがついている店は「暴徒の鱗」と「コノミーマート」しかない。ただこの世界でも夜更かしをしたり好美みたいに夜勤をする人々が増えたお陰で深夜の時間帯の売り上げは上々だった。
外の空気を深く吸い込んで改めて店舗に入ると、中では人魚が酔い潰れており人化も解けかけている。
光が好美にコーヒーを勧めたが好美は改めてゆっくりと呑みたくなっていた、冷蔵庫に入れていた日本酒を涼し気なガラス製の徳利に入れるとガラス製のぐい飲みと共に店舗部分へと運んで行った。この徳利とぐい飲みは両方とも好美のお気に入りで、切子による柄が入っていた。
今日は通常営業を止め、ずっと貸切にしているので朝になるまで誰も来ない・・・、はずだった。
店舗の出入口から眩しい光が差し込みだした、不自然だと思った光が屋外に出てみる。
数秒経過した後、体を震わせながら中に入って来た光は顔を蒼白させていた。
光「好美ちゃん・・・、夜も遅いし呑みすぎたのかな。外に何か大きいのがいるんだけど。」
好美「え?大きいのって何ですか?」
用意していた冷酒を冷蔵庫に入れなおして光と共に恐る恐る外に出た好美は空を見上げた、神々しく光りながら一体の龍が空から降下して来ていた。
龍「おう、いたいた。好美ちゃん探してたんだよ。」
光「好美ちゃん、この龍と知り合いなの?」
好美「いや、私は記憶にないですね・・・。」
幻覚を見ている様に感じた好美達は、一旦落ち着こうと店内で改めて呑みなおそうとしたが龍が引き止めた。
龍「おいおい、どこに行ってんだよ。ニコフさんに聞いたらここにいるって言ってたから来た・・・、ごめんよ。この姿だと分からないよな。」
龍が人化しながら地上に降り立つ、すると見覚えのある女性が目の前に。
好美「あ、トゥーチ神様!!」
トゥーチ「やっと気付いてくれたか、すまねぇが中に入って良いか?」
神に背くわけにいかないと貸切にしていた店内に古龍を迎え入れた、トゥーチは中に入るとゆっくりとテーブル席に腰かけた。
一気に酔いが冷めた光と好美は飲み物を勧めると、日本酒の冷酒を求めて来たので好美は冷蔵庫で冷やしていた自分用の冷酒を持って来た。好美はまだ口を付けてなくて良かったとホッとしながらぐい飲みを渡した。
光「それ、今好美ちゃんが呑もうとしていたやつ・・・。」
好美「良いんですよ、まだありますし。それに神様に呑んで頂ける事なんて光栄な事じゃないですか。」
トゥーチ「そうなのか?何か悪い事しちゃったな・・・、そうだ。」
すると古龍は魔法で綺麗な瑠璃色をしたぐい飲みを出して好美に手渡した、好美は緊張しながら受け取った。
好美「綺麗・・・。」
トゥーチ「良かったらそれで呑んでくれ、お気に入り同士で交換しようじゃねぇか。」
好美「勿体ない、私にはとても使えません。」
トゥーチ「良いんだ、それに俺こっちのぐい飲みも気に入っちゃってよ。」
切子の柄を物珍しそうに眺める古龍、ただこの冷酒セットは日本の雑貨屋で2000円で買った物なのだが良いのだろうか。
そんな事を考えている好美の横でトゥーチが目を輝かせている、冷酒セットの持ち主はその神にぬるくならない内にと冷酒を勧めた。
好美の酒を受け取った古龍は、徳利を手に取り好美が持つ瑠璃色のぐい飲みに注いだ。2人は静かに乾杯すると1口目を一気に煽りおつまみとして用意した落花生を割り始めた。
改めて日本酒が入った琥珀色のぐい飲みがキラキラと輝いていた中、目の前の古龍が咄嗟に切り出した。
トゥーチ「夜遅くなのに本当にありがとう、実は今日ここに来たのは人探しに協力してもらおうと思ってなんだ。」
好美「人探し・・・、ですか?」
好美はぐい飲みをテーブルに置いて神の相談を聞くことした。
好美はぐい飲みをテーブルに置いて神の相談を聞くことした。




