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宴で必死におもてなしをしていた女子高生2人。
-88 想定外のとんでもない事実-
皆の酒が進む中、「暴徒の鱗」の端でとある出来事が起こった。事件の発覚のきっかけは気を利かせた光の行動だった。
10分程前に遡るのだが、光がジョッキを片手に主役のピューアに一言聞いた。
光「何かご飯もの欲しくない?」
ピューア「そうですね、石焼ビビンパ的なやつ食べたいですね。」
実はその数十分前から七輪を取り出してピューアを取り囲むように数人で焼き肉をし始めていたのだ、ただタレ代わりに皆豆板醤のみという変わった状態だったが皆気にしていなかった。塩だれという案もあったのだが、今日の主役の人魚はとことん激辛を貫きたいと聞かなかったらしい。
好美「作って来ましょうか、確か石焼鍋あったと思うので。」
偶々なのだが新商品として叉焼とスープ、また醤油ダレを使った「石焼鍋チャーハン」と渚が開発した「辛辛焼きそば」をベースにした「辛辛チャーハン」を開発しようかと考えていたのでそれ用に購入しておいた石焼鍋があったのだ。
その石焼鍋を取り出して、ご飯を・・・ん?!何?!炊飯器が空っぽだと?!
好美「えーーーーーーーーー?!嘘でしょーーーーーーーー?!」
厨房中に悲鳴を響かせたオーナーの記憶が正しければ最低でも5升は炊いていたはずだ、しかし目の前の炊飯器は明らかにすっからかん・・・。
「そう言えば」と思い出した理由となる事実が。そう、あのガルナスとメラが揃ってしまっているのだ。
しかも恰好のおかずとなる激辛中華が大量に、特に麻婆豆腐なんて最高のおかずになるからご飯が無くなるの想定の範囲・・・外だった!!
5升あれば大丈夫だろうと思っていたのに2人でペロリと平らげてしまったらしい、2人の胃袋はブラックホールなのだろうか。
光「ごめん、2人抑えるの忘れてたわ。それどころか多分私やらかしたわ。」
好美「ど・・・、どうやらかしたんですか?」
数分前、酒が進む中、給仕役として酒を各々の席に運んでいた女子高生達2人に光が一声かけた。
光「2人共お疲れ様、もう大丈夫よ。ほら、ご飯沢山炊いてるらしいから「何日か食べなくてもいい位に食べちゃいなさい」。」
光の言葉を聞いた2人は喜び勇んで炊飯器に食らいつく、大量の中華料理に焼肉と最高のおかずがあったのでご飯が進まない訳が無かった。
好美「光さん、本当にやらかしているじゃないですか!!どうするんですか、在庫もう無いんですよ!!」
光「取り敢えずおかずと一緒で『作成』と『複製』で何とかしよう、倍の量用意しておけば何とかなるって。大丈夫、流石にあの2人でも15升は食べないって!!」
すると調理場の外か「あの2人」の声が・・・。
2人「ふいはへーん(すいませーん)、ほははひはいへふはぁ(おかわり無いですかぁ)?」
光「もうあんた達、食いしん坊なのは前々からだけど飲み込んでから喋りなさい。」
2人は口いっぱいの白飯を一気に飲み込んだ、慣れているのか全く喉に詰まらなかったらしい。まるで球状で有名なあの「吸引力が変わらない」掃除機みたいだ。
ガルナス「ごめんごめん。それよりお母さん、おかずが美味しすぎてあと炊飯器2つ分食べれそうなんだけど。」
メラ「あ・・・、あたしも炊飯器2つ分で・・・。」
2人の言葉を聞いた大人達から歓声が沸き上がった、もう大食いで有名人だ。「大食いキャラ」は元々光のポジションだったはずなのだが。
そんな中、『作成』と『複製』を繰り返して一先ず20升分を用意した、人間の食べれる量ではない。
光「あ、今思えばハーフ・ヴァンパイアと人魚だったわ・・・。」
好美「いや、関係なくないですか?どう考えても「何日か食べなくてもいい位」って言葉が故ですよね。」
光「あ・・・、やっぱりそう?」
ガルナス「お母さん、おかわりまだぁ?」
2人の限界は何処なのか・・・。