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83

無事(?)に夜勤を終えた好美。

挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)

-83 姉の為-


 普段共に働く身近な人の超が付く程の意外な事実を知った1晩の夜勤が明けた朝7:00、好美はいつも通り自らが所有するビルの1階部分に店の様子を伺う為『瞬間移動』した。

 「コノミーマート」の前にはいつも通りパンや弁当といった商品を搬入するトラックが駐車しており、また今までと変わらず隣には王妃の・・・、いやカフェのいちウェイトレスであるレーゼの軽トラックがやって来ていた。


好美「おはようございます王・・・、いやレーゼ。」

レーゼ「おはよう、晩に見たのは夢だったって事にしておいてね。一応、秘密にしているから。」


 本人曰く、王妃たるもの常に国民にとっての「高嶺の花」であるべきであるらしく、街の住民に混じって働くなど元々もっての外だと先代の王妃に言われ続けていたのだとか。

一応、旦那であるエラノダ国王含め王族の許可は取っているらしいのだがいつも街に出る時に執事が厳しい目線を向けて来るそうだ。

王宮でいつも国王が執事を押さえつける場面を想像してどこかシュールさを感じた好美。

そんな中でこれから通学だろうか、店舗部分奥にあるエレベーターから魔学校の制服を着た1人の女の子が降りて来た。

拉麺屋「暴徒の鱗」の調理場から大きい弁当箱を持った女性がその子に近付く、どうやらナイトマネージャーのピューアと女子高生のメラの人魚姉妹らしい。

姉のピューアは店長のイャンダ、そして副店長のデルアに仕事の引継ぎを行った後にエレベーターで自宅へ帰っていった。この後控える料理教室の準備でもするのだろうか。

好美は別の事を感じていた、魔学校に向かう最初のバスのまで乗車時間までまだだいぶ早い。ダルラン家のガルナスと待ち合わせてからいくつもりなのだろうかと思っていると、人魚姉妹の妹が手を振りながら好美に近付いて来た。


メラ「好美さーん、おはようございます!!」

好美「おはよう、まだバスまでは早くない?」

メラ「そうなんです、実は好美さんに相談がありまして。」


 こんな事は初めてだ、ただ先程会っていた自らの姉では駄目なのだろうか。スマホで時間を確認しつつ、丁度すぐそばにいた店長の許可を得て「暴徒の鱗」の調理場の奥にある小部屋へと連れて行った。

 小部屋の中は静けさに包まれ、水道の蛇口から水が滴る音が聞こえて来ていた。先程イャンダがまだ今日は部屋を使っていないと言っていたから締めていないのはピューアだろうか、本人に後で問い詰めなければ。


好美「ここで良いなら、相談って何?」


 そこに気を利かせたイャンダが2人にお茶を運んで来た、暑いこの時期に嬉しい氷入り。調理場に戻ろうとした店長に人魚が声をかけた。


メラ「あ・・・、あの・・・。イャンダさんにも聞いて頂きたいんですが。」

イャンダ「ん?俺にも?好美ちゃんが良いなら俺は構わないよ。」


 イャンダは目線の先で好美が頷いたので、近くの席に着いた。


メラ「実は今度姉の誕生日なのですが、サプライズでプレゼントをしたくてアルバイトをしたいんです。出来れば本人には内緒と言う形で。」

イャンダ「俺は構わないけど、ここだとピューアちゃんにバレちゃうね・・・。」

好美「バレない為には・・・。」


 丁度そこに「暴徒の鱗」の1号店の店長で、ダルラン光の叔父である一が店の様子を伺いに来た、仕事に向かう途中だったので寄ってみたんだそう。


一「おはよう、この子どうしたの?朝から無銭飲食でもした?」

好美「もう、冗談でもそんな事言わないで下さいよ。本人結構真剣に悩んでいるみたいだから。あ、そうだ。一秀さんのお店でこの子をアルバイトとして雇えませんか?本人の学業の事を考慮して夕方とかの時間帯で。」

一「うーん・・・、ちょっと待ってね・・・。」


 スマホを取り出した一は何処かへ電話をし始めた、雇用等に関しては決して独断で決めたくないらしい。まぁ、誰に電話しているかは定かではないのだが。


一「大丈夫みたいだね、今度夕方来てみる?」

メラ「はい、よろしくお願いします!!」


 朗報を耳にした人魚は喜び勇んで学校へと向かうバスの乗り場に向かった、無事始発に間に合ったので友人にも会えたそうだ。

 後日、一の店でメラは楽しそうにアルバイトをしているそうだ。一先ず安心・・・。


メラは何を買う予定なのだろうか。

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