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遂にメラの「お願い」が明らかになる。
-70 人魚の願い-
好評だった料理に何かお礼がしたいと4人は相談し始めた、2人の為に何かできる事はないだろうかと女子高生達に質問した。正直今なら、2人の為に何でもするつもりだ。
その時、光はある事を思い出していた。先日、メラがナルリスのコロッケを食べた時にその味に、いやナルリス自身に惚れこんでいた事を。そして惚れた男に男を見せて欲しいと願い出ていた事を。ただ、何を願おうとしていたのかはっきりと聞けていなかったのだ。
光「そう言えばメラちゃん、うちの旦那に何かお願いしようとしていたんじゃない?」
ピューア「そうそう、あんたこの前何か言おうとしていたじゃない。」
2人の言葉を聞いてメラは急に体を硬直させた、先程まで伝わって来ていた本人の高揚感が嘘の様だ。目の前の人魚は光の「うちの旦那」と言われてかなり緊張していた様だ。
メラ「あ・・・、あの・・・。先日言おうと思ったのですが・・・。」
ガルナス「お母さん、もうちょっと聞き方考えた方が良いんじゃいの?それだとメラもなかなか言いたい事言えないじゃん。ほらメラ・・・、ゆっくりでいいから丁寧に言ってみな。」
ガルナスに背中を押されたメラは、先日魔学校で担任から渡された1枚のプリントを出した。因みにこの日の為、ガルナスも光に渡していなかったという。
また、ガルナスがたまたま理事長室から出て魔学校の中庭にいた結愛に直談判して光や好美達にも内緒にしておくようにと伝えていた。
メラの純粋な気持ちを汲んだ結愛は快諾し、あらゆる角度から情報が漏れない様に手を回して今まで内緒にしていた。
光に連絡用として『付与』されていた『念話』を結愛に飛ばした。
ガルナス(念話)「理事長先生、例の件はもう大丈夫だそうです。」
結愛(念話)「そうですか、遂に打ち明ける勇気が出たと。」
因みに結愛はこの度、メラがナルリスに告白すると勘違いしている。
ガルナス「ほら・・・。」
メラ「う・・・、うん・・・。あの・・・、ナルリスさんに今度の遠足に持って行くお弁当を作って欲しいなって思って・・・。」
ガルナス「私とお揃いにしたいみたい。」
ただ、ガルナスは忘れていた事があった。ガルナスの弁当はいつもナルリスではなく光が作っていた事を。
ガルナス「お父さんのコロッケに惚れこんじゃったみたいなの。」
光「この前店で余ったって言ってたあれ?」
ガルナス「うん、よっぽど胸に刺さったらしいよ。」
ガルナスがメラの背中を押しているのを察した光はナルリスに既に『念話』を飛ばしていた、それが故に裏庭にコックコートを着た吸血鬼の姿が。
ナルリス「この前のコロッケがそこまでさせたのかい、大袈裟だと思ったけど相当だったんだね。」
震えながら目に涙を浮かべて「コクッ」と頷いた。
光「仕方ないね、何でもするって言っちゃったしね。お願いできる?ただガルナス、今まで何で言わなかったの?」
するとその時、状況を察した結愛から『念話』が。
結愛(念話)「友達の気持ちに可能な限り応えたかったが故ですよ、光さん。」
光(念話)「結愛さん、貴女も知ってたのね。理事長だから仕方ないのかな。」
結愛(念話)「ごめんなさい、どうしてもと言われまして。」
光(念話)「それで、遠足っていつなの?」
結愛(念話)「それが・・・。」
光はプリントをもう一度見た、開催予定の日付を見て驚愕した。
光「明日じゃない!!食材なんて買ってないよ!!」
ナルリス「ちょっと店見て来るわ、確か余り物やもう店に出せない食材があったかも知れないからそれを使えば十分な弁当が出来るはず。」
ナルリスは期限の2日前になった食材は店に出さない事にしていたのであった。
ナルリスの安全対策が役に立った様だ。