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急に連れて来られた人魚の反応は・・・。
-68 試食開始-
メラにも同様に炊き立ての白飯を渡したのだが、未だに女子高生の人魚は意味が分からなくなっていた。言ってしまえば家に帰った瞬間にいきなりやって来た姉に捕まり、移動した先で急に白飯を渡されたのだ。正直、メラの気持ちも分からなくもない。
ただメラはテーブルに並んだ4品を見て状況を把握した、お得に美味しいランチを楽しめると思うとテンションが上がった。
一先ず白飯を渡された女子高生2人は席に座り早速1品目に箸を延ばす事にした。やはり先入観を持たせる訳にも行かないので、作った者の名前は伏せて「(A)豚バラ肉の冷しゃぶサラダ(渚)」と称する事にした。
早速2人は(A)の試食を開始する、ガルナスは大好きな豚バラ肉の脂の甘みとサッパリとしたポン酢味で白飯2杯をあっという間に食べてしまい、すぐにお代わりをした。そのままの勢いでサラダも完食してしまった。
一方メラは半分食べると箸を止めてしまった、口に合わなかったのだろうか。ただ別の理由を示唆したピューアは妹に聞いてみた。
ピューア「ん?どうした?」
メラ「お姉ちゃん・・・、パン無い?食パン・・・、欲しい。」
ピューア「まさかあんた・・・。」
渚は自らの料理を試食したマーメイドの要望に応えるべく、急いで自分用に置いてあった食パンを持ち出して来た。
渚「沢山あるよ、何枚欲しい?」
メラ「一先ず2枚下さい、サンドイッチにしたいです!!」
ピューア「やっぱり・・・、渚さんすみません。」
そう、ピューアは美味いサラダを食べたメラがどうしてもサンドイッチにしたがるという癖が有る事を覚えていた。残った半分のサラダを渚に渡されたパンで挟むと勢いよく平らげてしまった、1斤あった食パンの半分が無くなりそうな勢いだ。
メラ「ああ・・・、このシャキシャキレタスがたまんない!!」
それを聞いた渚は勝ちを確信した顔をしていた、表情から興奮が全員に伝わってくる。
そんな中、次の「(B)パリパリポテチのポテトサラダ(光)」の試食が始まった。メラの癖対策の為、最初からパンを数切れ備えてある。
ガルナスは白飯をまた2杯食べてしまった、光の遺伝子がここで発揮されている。慌てたピューアは予め空けておいた釜で急いで米を炊き始めた、下手したら足らなくなってしまいそうだったからだ。
予想通りメラはポテトサラダもサンドイッチにした。一応1斤半を用意していたのだが、どう考えても足らなそうなので光に頼んで急ぎラリーの店で仕入れて貰った(勿論従業員割引きでの値段を後で払っている)。
そんな事も知らず、メラは先に用意していたパンを全て食べてしまった。その横で姉が呆然としている。
ピューア「すみません・・・、パン代出しますので。」
光「良いの良いの、きっとこれ見たら店長も喜んでるはずだから。そうでしょ?」
すると、光の横でライカンスロープとバルタンが目を輝かせている。どうやら店長のラリーとパン焼きのウェインが光の『瞬間移動』で付いて来てしまった様だ。
ラリー「あんなに美味そうにうちのパンを・・・。」
ウェイン「こんなに嬉しくなったのは久々だよ。」
2人は感動で泣きそうになっていた、それを見てピューアはこれから食パンはラリーの店で買おうと決めた。
美味そうに食べるメラの表情を見て、ラリーは店でのサンドイッチの販売を強化しようと考えた。その時は是非とも目の前で自らのパンを頬張る人魚に協力をお願いする事にした。
さて次は「(C)梅酒薫る鯖の味噌煮」に移る、流石にこれではパンは進まないのでパン屋の2人には帰って貰う事にした。改めて白飯を盛りなおした茶碗を手渡して試食を促したが、2人は1口食べるとそれだけで白飯が半分無くなってしまった。それだけの量が何処に入っているのだろうか、正直光もドン引きしている。
ガルナス「合うー・・・。」
メラ「これはご飯だわ、進むね。」
白飯が炊き立てだからか2人は嬉しそうに食事を楽しんでいた、正直皿洗いに誰か雇わないといけない位の勢いだ。
その横で緊張を隠しきれていない者がいた、好美だ。今までの3品が高評価過ぎて自分の料理の試食がとても心配だった。
好美の運命は如何に!!