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66

渚達は幼少から大好きな香りにテンションが上がっていた。


-66 人魚の魚料理-


 渚が危機を脱して具材たっぷりのサラダを完成させた頃、釜から大抵の日本人が好きな香りが漂って来た。酒にも米にも合うあの素材の良い香り、それによりそこにいた転生者3人は頭がおかしくなりそうになっていた。

 ピューアが胡麻鯖を買っていた事を思い出した好美は、まさかと思い鍋を確認する。どうやら予想は当たっていたらしく・・・。


好美「これ、もしかして鯖味噌?!」

ピューア「あれ?嫌いだった?」


 好美が鯖味噌嫌いな日本人なんているのだろうかと疑問を抱いていた時、目の前の人魚がお玉で煮汁を一掬いして小皿に取り分けて味見を要求してきた。そう簡単に手の内を明かして良いのだろうかと思いながら1口、やはり大抵の日本人が大好きなあの味。小中学校の給食でも白飯が無くなる程人気だったあの味だ、当時は1人1切れだったが、今回は半身を1人占め出来ちゃうという。


渚「1人で半身ってかなり贅沢じゃないのかい?」

ピューア「かなり安く手に入りまして、ただこれだけじゃないですよ。」

好美「味見した限りは本当に大好きな美味しい鯖味噌だけど。」

ピューア「ここかにまた追加要素が入るのよ。」


 これ以上に何を足すのだろうかと頭を悩ませている好美の目を隠して、釜の反対方向へと好美自身を動かした。


ピューア「ここからは企業秘密だから、内緒。」

好美「・・・ケチ。」


 流石に勝負ごとになると、仕事仲間でも手の内を明かす訳には行かないらしい。ただ、このままでも十分美味しいのにと再び頭を悩ませていた。

 ただ、好美も見てばかりとは行かなかった。そろそろ自分も調理にかからないと全くもって間に合わない、しかし何も準備していない訳ではない。『瞬間移動』で向かった先の冷蔵庫で鰹出汁に醤油と海苔を加えたつけ汁を冷やしていたのだ、それと冷凍庫に自慢の自然薯を入れていた。


好美「そろそろ良いかな・・・。」

渚「何で冷凍庫に入れていたんだい?」

好美「ひゃあ!!いつの間にいたんですか?!」


 渚が好美の作業を後ろから覗き込んでいた、しかしどうして冷凍庫に自然薯を?


好美「冷凍庫に入れておくと調理した時痒くならないんです。」

渚「ほぉ・・・、生活の知恵だね。」

好美「へへ・・・、良いでしょ。」


 実は好美も先程知ったばかりだった、ずっとスマホを片手に調べた結果出逢えた方法。

 2人がこんな会話をしていた時、裏庭から再びいい香りがして来た。先程の鯖味噌に芳醇な何かが加わった香り。


好美「これは・・・、何でしょうね・・・。」

渚「ん?これは身に覚えがあるね・・・、嫌な予感がするよ。」


 渚は予感が外れていてくれと願いながら自分の部屋へと『瞬間移動』した。


渚「ふぅ・・・、私の宝物ちゃんは無事だったみたいだね。それにしても良い匂いさね。(念話)ピューアちゃん、もしかしてあれを入れたのかい?」

ピューア(念話)「あ、やっぱり分かりますか、かなり匂ってます?」

渚(念話)「結構漂っているよ、流石調理師免許を持っているだけあるね。そして出来る女子だね。」

ピューア(念話)「そうですか?あ、もうすぐ出来上がりますよ。」


 匂いに誘われた渚はピューアが使用する釜へと『瞬間移動』した、先程の鯖味噌がピューアの入れた「隠し味」により一層良い色に変化している。


渚「やっぱりか、あんた梅酒を入れたね?」

ピューア「やっぱり渚さんには隠し事は出来ないですね、でも味では負けませんよ?」


 そう言いながら火を止め、余熱での調理をし始めた。煮物は1度冷ましてからもう1度加熱した時が美味い事をちゃんと理解している。

 1度冷ますと具材の水分が抜け、再び過熱した時煮汁が沢山染み込んで美味くなるのだ。やはり元寿司職人は侮れない。


魚と肴のプロ、ピューア。

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