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63

湯を存分に満喫した4人。


-63 風呂上がりの5杯-


 4人は露天風呂から上がり、一先ず脱衣所で服を着て各々好きな乳飲料を飲んでいた。自動販売機にシンプルな牛乳や、フルーツ牛乳に、コーヒー牛乳、そして飲むヨーグルトと風呂上がりに是非飲みたい物が揃っている中で、「アレ」を我慢している4人は購入した飲み物を一気に流し込んで脱衣所を後にした。

 フロントの前にある小さな冷蔵庫を開けて中身を取り出した後、受付にいる女将さんに申告してお金をその場で払うシステムだ。


光「お・・・、お姉さん、これ4人分お願い!!」

女将「光ちゃんはいい子だね、やっと分かる様になって来たじゃないか。サービスしちゃおうかね。」


 ピューアは冷蔵庫の中身をてっきり缶ビールだと勘違いしていた、ただ中で冷えていたのはまさかのビアジョッキ・・・。風呂上がりの人魚は初めてのシステムに少し戸惑っている様だ。


ピューア「ジョッキを買うんですか?」

光「いや、ジョッキは後で返すんだけどね。」


 そう言うと女将が青いカードを4枚取り出して手渡してきた、正直ピューアは未だにチンプンカンプンな様子。


女将「おや、お姉さんは初めてかい?これをあそこに入れるんだよ。」


 女将が指差した先にはビアサーバーが設置されている、ジョッキを固定して横に設置されている挿し込み口に先程の青いカードを挿し込むと自動で冷えた生ビールが出て来るシステムだ。

女将曰く、以前持参してきたマグカップに支払った分以上の量のビールを入れて持ち帰ろうとしていた客がいたそうなので独自に開発した盗難防止システムだそうだ。

因みにだが、1枚のカードで5杯まで呑める様になっていて入浴者は1枚まさかの1000円だそうだ。また入浴せずビールだけの利用も出来るが、1枚2500円になっている。

ビアサーバーのすぐ横に座敷が数卓程設置されており、その周囲だけ下にお風呂山からの湧水が流れていて京都の川床の様になっていたので涼し気な気分でビールを楽しむことが出来る様になっているそうだ。

 因みに肴は持ち込みも可能だそうだが、女将さんが育てた枝豆が評判で皆注文している。4人も塩ゆでの枝豆を頼んで席に着いた。


女将「それにしてもあんた達朝から贅沢だね、仕事は大丈夫なのかい?」

光「2人休みと2人夜勤明けでね。」

女将「そうかいそうかい、そりゃ1晩働いてお疲れ様なこったね。」


 そう言うと、女将が奥へと消えて行ったので4人は早速1杯目を注ぎに行った。ビアサーバーにジョッキを固定してカードを挿し込むと、金色こんじきに輝く生ビールが並々と注がれた。

 座敷に戻ると、ほぼ同じタイミングで女将が突き出しを持って来た。突き出しは日替わりで、女将が自ら屋台から仕入れた拘りの素材で作った物。因みに今日は今朝採れた胡麻鯖で作ったしめ鯖だ。


ピューア「うーん、このしめ鯖美味しいです。作り方教えて欲しい位ですね。」

女将「やだよぉ、まさか人魚さんに褒めてもらえるなんて思わなかったね。」


 そう言うと、女将は顔を赤らめながら4人が注文した塩ゆでの枝豆を置いた。茹で上がったばかりの枝豆1粒1粒が輝いて見える。

 熱々の1粒を口にしたピューアはビールで流し込んで幸せそうに息を吐いた。他の3人も同様にビールを満喫している。


渚「やはり風呂上りはこれだね、これ以外にあり得ないよ。」

光「本当、最高の風呂上がり。」


 下に流れる湧水が4人の気分をより一層良い物にしていった、内からと外からの相乗効果で火照りがどんどん癒されていく。

 それから4人はずっと無心になってビールを煽っていた、その場の雰囲気を楽しんでいたかった様だ。

 3杯目を呑んでいた頃には少し衣服が崩れていたが、そこにいた全員がお構いなしになっていた。

 5杯目を飲み干した4人は顔を赤らめながら幸せそうな表情を浮かべていた、たった数時間で休日を丸々満喫した様な気分だった。

 しかし、4人はまっすぐ各々の家に帰らなかった。考えは共通していたらしく、行先も一緒、ゲオルの雑貨屋。

 そう、全員昼呑みしたくなっていた。


正直、相変わらず。

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