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女子高生2人を送った人魚は待たせたいた親子を朝風呂に誘った。
-62 鈍感な女-
妹たちを送った後、夜勤を終えた人魚は1人愛車を転がしながら光に念話を飛ばした・・・、つもりだった。
ピューア(念話)「今、2人を学校に降ろしました。もう少しでお迎えに行くので準備をしておいて頂けますか?」
光(念話)「ありがとうね、あの子いつも遅刻スレスレだからもうハラハラしてたのよ。助かった、お礼に風呂上がりのビールを奢るから良かったらビルの駐車場に車置いて来て。」
ピューア(念話)「光さん、今日パン屋の仕事は?」
渚(念話)「あたいら2人共休みだよ。」
光(念話)「お母さん、何処から聞いてたの!!」
ピューア(念話)「ははは、相変わらずですね・・・、じゃあお言葉に甘えて車置いてから行きますね。」
すると、ドライブ感覚でネフェテルサ王国までまっすぐ延びる道路を走っていたはずなのに一瞬で駐車場の目の前に景色が変わったので、驚いたピューアは思わず急ブレーキを掛けた。
ピューア「きゃあ!!何?!」
渚「やっほぉ。」
犯人はやはり悪戯好きの渚だった、『探知』と『瞬間移動』を駆使してスルサーティーごとピューアを飛ばしたのだった。その様子をビルの15階に『瞬間移動』した光と、光の誘いを受けた好美が見ていた。
光(念話)「流石お母さんだわ、こういうのに関しては天才だね。」
好美(念話)「見てる方がヒヤヒヤしましたよ。」
渚(念話)「どうもどうも、じゃあ一先ず合流して行こうかね。」
一旦渚がピューアを連れて15階に『瞬間移動』すると、光がお風呂山にある銭湯の前に向けて再び『瞬間移動』した。すると、そこには夜間の検問を終えた林田署長がひとっ風呂浴びようとルンルンしながら建物に入ろうとしていた。
林田「あら、皆さんお揃いで。おはようございます。」
渚「おはよう、林田ちゃん。また、サボりかい?」
林田「な・・・、渚さん!!何を言っているんですか、私は1度も業務をサボった事など・・・。」
渚「あれ?無かったかなー・・・?」
渚の発言に顔を蒼白させる林田、どうやら渚に弱みを握られているらしい。署長は体を震わせながら逃げる様に男湯へと消えていった。
渚「相変わらずだね、あの子は。」
光「もう、あの人署長さんだよ。」
渚「何を言っているんだい、私には関係ないよ。」
そう言いながら券売機で「大人・プレミアム」の券を買って4人は女湯に入って行った、「プレミアム」は洗い場にシャンプーとリンスが常設されている特別エリアと薬湯仕様の露天風呂が使用可能となる券だ。ただ、「プレミアム」を買っていなくても脱衣所にはシャンプー等が自動販売機で売られており、忘れ物があっても湯を楽しめる様になっている。
「プレミアム」の4人はタオル1枚持つことなく手ぶらで浴場に入り、特別エリアの洗い場でシャンプー等を済ませていた。髪を少し濡らしたまま露天風呂に移動し、浴槽へと飛び込む。朝の露天風呂にはあまり人がいなくてほぼほぼ貸し切り状態となっていた。
4人は表情を緩めながら湯を楽しみ、無言のままゆっくりとした時間を楽しんでいた中でピューアが思い出したかのように口を開いた。
ピューア「そう言えばなんですけど、家でのナルリスさんはどんな感じなんですか?」
渚「唐突だね、もしかしてメラちゃんの事かい?」
ピューア「そうなんです、ガルちゃんから耳打ちでナルリスさんの事を聞いて今まで以上に顔を赤らめちゃったんで何を聞いたのか気になっちゃって。」
光「何?ウチの旦那が何て?」
光は今の今までメラがナルリスに惚れている事を知らなかったので、先程家に来た時どうして顔を赤らめていたのかが分からなかった。
光「ははは・・・、そうなの?パン一でテレビ見ながらずっとケツ搔いてるあの吸血鬼に惚れちゃった訳?ウケる!!」
それから数秒程、静寂の時間が過ぎて行った。光以外の3人は全く笑っていない。
光「え・・・、マジなの?そう言えばあの時何か言おうとしていた様な・・・。」
光は温泉に入っていたのに少しヒヤリとした。




