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ガルナスの友人の「ある好み」とは。
-61 吸血鬼の普段の姿-
ガルナスが友人を送って来た姉の車に乗って魔学校に行こうとした時、父親であるヴァンパイアのナルリスが見送りにやって来た。煮込み料理の仕込みをしていたらしく、衣服から微かに赤ワインの香りが漂っている。
ガルナス「あ、お父さん。おはよう。」
ナルリス「皆おはよう。あれ?ピューアちゃんじゃないか、それと・・・。ああ、この前の。」
ピューア「おはようございます、先日お世話になったこの子は妹のメラです。ちょっと、何やってんの。」
吸血鬼の姿を見た人魚の妹は顔を赤らめ、目線を逸らしながら軽く会釈をした。どうやらナルリスに惚れてしまっているらしい。
ナルリス「ははは・・・、そんなにこの前のコロッケが美味しかったのかい?」
メラ「・・・、はい。」
先日、ガルナスに魔学校の定期考査に向けてテスト勉強をしようとダルラン家に招待されたのだが、どうやら普段小食のメラは生まれて初めて大食いに目覚めてしまったらしく、同居している姉に持たされた昼食の弁当が全く足らなかったという。学校の購買で買ったバランス栄養食を数箱食べても一日中腹の虫が静かにならなかった妹にナルリスが丁度余っていたコロッケを振舞った時、その味に惚れこんでしまったらしい。
中身はじゃが芋だけのシンプルな物だったのだが、過度の空腹だったメラにとっては格好のご馳走だった様だ。
ナルリスのコロッケが大好物になった人魚は顔を赤らめながら小声で言った。
メラ「せ・・・、先日はご馳走様でした・・・。あの・・・、今度・・・。」
ピューア「メラ、もう行かなきゃ。すみません、これで失礼します。」
慌てた様子のピューアによって後部座席に押し込まれたメラは何かをお願いしようとしていたが、ナルリスは全く聞こえなかったのでさり気なく聞いてみて欲しいとガルナスにメールを送った。
返事をしてきた娘は快諾したみたいだがちゃっかりしていた様で、「その代わりお小遣い弾んでね」と一言添えられていた。
娘の返信の内容を見て「相変わらずだな」と鼻で笑いながら厨房へと戻ると、仕込みを再開した。
バルファイ王国へと向かうスルサーティーの後部座席で未だ顔を赤らめるメラに、同級生のハーフ・ヴァンパイアが笑いながら聞いた。
ガルナス「何?ウチのお父さんにガチで惚れちゃった訳?」
メラは恥ずかしさの余り声が出なかったらしい、精一杯に出来たのが少し頷く位だった。体を震わせながら未だに顔を赤らめている。
暫くしてからやっと気持ちが落ち着いたのか、メラは重い口を開いた。
メラ「羨ましいよ、あんなにイケメンで料理の上手なお父さんでさ。」
ガルナス「何言ってんの、プライベートはかなりだらしないよ。」
父親は仕事をしている時はコックコートを着ていたり、外出時はそれなりの服装をしているのだが、家にいる時(特に風呂上り)は缶ビール片手にパンツ一丁で右往左往している事を娘が暴露した。
普段の姿を想像したメラは再び顔を赤らめた、どうやら噂に聞くギャップ萌えという物らしい。
そんな中、ピューアはまっすぐに延びる国道でギアを3速から4速に上げながら笑っていた。
ピューア「ははは・・・。ガルちゃん、そんな裏の情報言っちゃっていいの?」
ガルナス「良いんですよ、隠している訳では無いですし。それに・・・。」
ピューア「何々?」
ガルナスは更なる情報をメラに耳打ちで教えると、より一層顔を赤らめてしまった。どうやらまた、家での姿を想像したらしい。
ピューア「何なの、気になるじゃん。」
ガルナス「いや実はですね・・・。」
メラ「止めて、聞くだけで恥ずかしいから!!お姉ちゃん、もうここで良いから!!」
「ここで良い」と言っても魔学校の目の前だったのだが、恥ずかしくなり過ぎてちゃんと前を見ることが出来ていなかったのだろうか。
「まぁ、いいか」と思った、ピューアは後で行く朝風呂で光達に聞く事にした。
ナルリスの秘密とガルナスの依頼とは。




