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シューゴが考案した守の肉を活かす料理とは。
-57 新商品と限定品-
守により転生者にとっての「いつもの件」が行われたのとほぼほぼ同刻、好美が所有するビル1階にある「暴徒の鱗」では守から受け取った豚肉のサンプルに合う叉焼の味付けの吟味が行われていた。
シューゴ「時代に合わせて塩麹で味付けしてみるのはどうだろう、漬け置きしておけば肉自体が柔らかくなるから良いと思うんだけど。」
一「それだと、拉麺に合うかな。基本うちって醤油ベースじゃない?」
渚「つまみとして出すならアリかもだけど、流石にスープとの相性が心配だよ。」
一先ず物は試しにとやってみる事にしたのだが、転生者2人の予想通りになり過ぎて正直怖い。しかし、おつまみメニューに入れたら良いのではと保留してみる事に。
シューゴ「塩ベースか・・・。」
何かを思い出そうとしたシューゴの様子を見て、渚ある人に『念話』で連絡を入れた瞬間。
ある人「言うまでも無いよ、一先ずやってみよう。」
渚「あんた、暇だったのかい?」
『瞬間移動』してきたのは共同経営者になったパルライ、そうあのバルファイ国王だ。渚は鯛塩スープに合うのではと提案してみる事にしたのだ。ただ、肉と魚介は別々に楽しんだ方が美味しいのではなかろうか。
試作品を作ってみたのだが、肉の味が強調し過ぎて折角の鯛の風味を消してしまっている。
気を取り直して、今までの醬油ダレに漬け込んでみる事にした。確かに叉焼は格段に美味くなった、ただ醤油ダレを使用した時のスープが豊富な脂が仇となりくどさが出始めていた。
そこで炙って余分な脂を落としてみる事にした、確かに炙る事によりくどさはマシになった。しかし、提供時間に大幅なロスが出てしまう。
試験的にだが塩麹味での提供案を採用した上で、期間限定である冷やし中華のトッピングのメインとして出してみる事にした。他の具材と同様、細長く切っての提供となるが特有の柔らかさは変わる事なく良い味を出してくれている。しばらく試した結果、夏は冷やし中華のトッピングとして、そして他の季節ではおつまみメニューの1つとして提供されることになった。ラーメンでの提供はおいおい考えるとして、一先ず一件落着。
ただ念の為、好美の意見を聞いてみる事にした。美味い肉でビールを呑まないかと聞いた好美は喜んで15階から『瞬間移動』して来た。慌てて出て来たのか、崩れた部屋着と普段家で1人の時だけでかける赤淵眼鏡のままだ。ただ、キンキンに冷やしたグラスを片手に持っている。
渚「好美ちゃん、準備万端なのか出来ていないのかはっきりしてくんない?」
好美「良いんです、これが私なんで!!それより肉とビールは?」
好美は興奮で鼻息を荒くしている、早く呑みたくてたまらない様子だ。
渚「そう言えば今日って好美ちゃん夜勤明けだと言ってたね、ずっと我慢していた訳だ。」
好美「そうなんです。丁度そろそろ呑もうかな・・・、って考え出した頃だったので嬉しいです。」
渚「さっき守君から貰った豚肉あっただろう、あれを塩麴を使った叉焼にしてみたんだよ。それを今回試して貰おうと思ってね。」
好美が早く呑みたがっていると知っている渚は少し引っ張ってみようと目論んだ、いつもの悪戯好きが出始めたのだ。
渚「醤油ダレで一度漬け込んでみたんだけど色々と駄目だったんだよ、一先ずおつまみメニューと冷やし中華として出す事になってね。今回はおつまみとして食べてみてくんないかな。」
好美「ゔー・・・、はい・・・。」
早く出して欲しいと言わんばかりの気持ちで我慢する好美、そろそろ限界点が来ようとしている。
渚「では、こちらをご賞味ください!!」
新作のおつまみのみを提供してじっくりと咀嚼させる渚、そして限界が頂点に達しかけた頃に丁度良く好美のグラスに注がれたキンキンに冷えた生ビールが提供された。
店のオーナーはビールを受け取ると、口に泡を付けながら一気に煽り一言。
好美「文句なしの、採用です!!」
相当美味いビールだったようだ。




