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55

やはり早弁していた。


-55 新メニュー完成-


 母親に問いただされた娘のハーフ・ヴァンパイアが、いつもの癖で早弁をした事を吐露したが故に説教を喰らっていた中、調理場では真希子は薄切りにした豚ロース肉を丁寧に灰汁を取りながら茹で氷水で〆ていた。そう、冷しゃぶだ。

 ガルナスが好みに応じて食べる事が出来る様に和風のタレを2種類用意していた。


真希子「まぁまぁ、それ位にしときなって。本人も反省しているみたいだし。」

光「おばちゃん、甘やかさないでよ。この子、弁当持って行った時毎度毎度早弁するんだよ。」

真希子「ははは・・・、流石は光ちゃんの子で渚の孫だね。あの子も昔学校で毎日の様に早弁してたんだよ。」

光「もう・・・、遺伝ってやつなの?」


 その頃、好美所有のビル1階にある調理場で噂のあの人が大きなくしゃみをした。


渚「はぁーっくしょん!!はぁ・・・、花粉症かな・・・。」


 レストランでは真希子が冷しゃぶを完成させ、事前に冷やしておいたガラス製の器に盛っていた。豚肉の下には細切りにしたレタスと胡瓜、そして大葉が敷かれている。肉と一緒にと角切りにした豆腐を散らせている。

 薄切りにして水にさらした玉ねぎを乗せていて見た目も涼しい。


真希子「ガルナスちゃん、お待たせ!!」


 料理を見たオーナーシェフの娘はキラキラと目を輝かせている。最初の1枚を取り玉ねぎを巻きながらタレを付けて食べていた、最初は胡麻だれ。


ガルナス「うーん、やっぱり冷しゃぶと言えばこれだよね。」


 口いっぱいに肉を頬張り嬉しそうな顔をしている。もう一方のタレで食べようとしていたその時、娘の様子と料理を見ていたナルリスが反応した。


ナルリス「それだ!!それで行こう!!」

ガルナス「な・・・、何?夏限定の豚ロースの冷しゃぶサラダセットや冬限定の蒸篭蒸ししゃぶ定食は前から出していたじゃん。」

真希子「あんた・・・、やたらとメニューに詳しいね。」

ナルリス「ああ・・・、言ってなかったか。実はここのメニューの多くはガルナスが考えた物でね、俺も頭が上がらないんだよ。」


 話が完全に逸れてしまっているので娘が話題を戻した。


ガルナス「お・・・、お父さん。それでさっきのは何?」

ナルリス「ああ・・・、悪い悪い。そのタレだよ、おろしポン酢。」


 トンカツに大根おろしかけた状態で提供し、その上からポン酢を好みに応じてかける形にしてみた。


真希子「これ良いじゃないか、それにこの柑橘類も光ちゃんが作っている物だろ?」

ナルリス「こんなにピッタリとは思わなかったな、正に燈台下暗しってやつだね。」


 ただ少し寂しさを感じていた真希子が何か味のアクセントになる物を付ける事は出来ないかと申し出たので、練った和辛子を添えてみた。ピリッとした辛さが食欲を誘う。

 そんな中、メニューの殆どを考案したハーフ・ヴァンパイアが横から声を掛けた。以前光が大根から作ったいぶりがっこを使ったタルタルソースをかけてみないかと。


ナルリス「鶏南蛮ならぬ豚南蛮か・・・、初めて聞いたな。」

真希子「面白いじゃないか、世の中色々とやってみないと分からないからね。」


 思った以上に美味しいので皆驚いていた、いぶりがっこの食感とタルタルの酸味がトンカツの脂の甘味を引き立てていた。

 心なしか少し柔らかくなっていた衣のトンカツが何処か喜んでいるように見える。


ナルリス「やはりメニューを考えるのはガルナスの役目だな、勝てないや。」

ガルナス「・・・という事は?」

ナルリス「うん、「守さんの豚ロースを使ったおろしポン酢トンカツ定食・豚タルタル南蛮定食」即採用だ!!」

真希子「じゃあうちの子に言っておかないとね。」

光「えっ?!もしかして守君の事?!守君が来ているの?!」


 少し嬉しそうな表情を浮かべる光、ナルリスは何処か嫌な予感がしていた。


ナルリスの予感は当たっているのか。

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