表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/126

54

エボⅢを未だに撮影しまくっている守。


-54 料理どうする?-


 養豚をしていた貝塚財閥筆頭株主の息子が目をキラキラと輝かせ、渚のエボⅢの写真を数十分かけてずっと撮っていた。


渚「あんたも飽きないね、こいつはかなりの年代物なのに何でそいつにこだわるのさ。」

守「そりゃそうさ、ガキん時に目の前を走る姿を見てからずっと追っていた車なんだ。そう飽きる事は無いね。」

渚「うれしいね、今度乗せてやるさね。洗車しておくわ。」

守「おばちゃん待ってよ、俺が洗車するって・・・。」

渚「あなた・・・、さっきもそうだけど「綺麗な渚お姉さん」だろ?」

真希子「あんた、まだそんな事言ってんのかい?もうそこそこいい歳だろ。」


 呆れる母の横で息子は幼少時代を思い出したのか、開いた口が塞がらず、全くもって声が出ない様になってしまっている。何かトラウマを産む出来事があったのだろうか。

渚が「女将」と呼ばれるのを嫌うのは皆知っていたが「おばちゃん」と呼ばれるのも嫌いだったとは、ただ普段から孫のガルナスに「おばあちゃん」と呼ばれているのは許容の範囲内なのだろうか。

一方で、守から各々サンプルを受け取ったナルリスとシューゴ、新たな素材の味を極限まで活かす物を作ろうと意気込んで各々の店へと帰って行った。

生姜焼きでも出されたロースを受け取ったナルリスは柔らかさを活かす料理をと頭を抱える・・・、事は全く無く料理はもう既に決まっていたという。


ナルリス「やっぱりトンカツかなぁ・・・、正直個人的に食べたいし。」


 完全に個人的な欲望が丸出しになってしまっている、考えていたのは新メニューではなく自らの昼ごはんだったのではなかろうかと光に疑われる位だった。


ナルリス「そ・・・、そんな訳ないだろう。」

光「じゃあその涎は何?」


 想像しただけで食欲が爆発してしまっていたオーナーシェフは、欲望が前に出過ぎてしまっていた。それはそうとして問題は商品の構成と味付け。


ナルリス「今回は和定食で行こうと思うんだが、どうだろう。」

ミーレン「でも味付けは今まで通りデミグラスよね?」

光「それだったらどうしても洋風になるんじゃない?ここはやっぱり・・・。」

真希子「胡麻だれだね!!」

光「ひゃぁっ!」


 友人や息子との会話を終え、『瞬間移動』で戻って来た真希子が横から話に割り込んだので光は思わず声を漏らしてしまった。

 ただその横で冷静に対処していたナルリスは、やはり素材の味に拘っている様で。


ナルリス「いや、敢えて塩だけで行こうかと。」


 そこでナルリスは双方から出た味付けの案を試すべく、トンカツを数枚揚げてみた。一先ず何も付けずに試食すると、生姜焼きで食べた時と同様に脂の甘みが全員を感動させていた。

 先程2人から提案された味付けを試してみると・・・。


真希子「こう言っちゃあれだけど、塩はシンプル過ぎて脂の味に負けちゃってるね。」

ナルリス「逆に胡麻だれは強調し過ぎだなぁ、どうしたものか。」


 その瞬間出入口のドアが開き、ベルが鳴った。入って来たのは女子高生らしい。


真希子「すみません、今は準備中でして。あら?貴女高校生ね、学校はどうしたのかしら?」

女子高生「今日は部活が休みで、早く帰って来ただけなんですけど。それより、おばさん誰ですか?」

真希子「「お姉さん」だろ・・・、え?帰って・・・、来た・・・?」


 そう、店に入って来たのはダルラン夫婦の娘であるハーフ・ヴァンパイアのガルナスだ。


ナルリス「ガルナスお帰り、えらく早いと思ったら陸上部が休みか。」

ガルナス「ただいま、それでお父さんこの人は?」

ナルリス「ああ、まだ紹介してなかったな。副店長として働いている宝田真希子さんだ、手料理が美味しいんだよ。」

真希子「ガルナスちゃんだっけ?知らなかったとは言えさっきはごめんね、お詫びに何か作ろうか。」

ガルナス「良いの?丁度お腹ぺこぺこでさ、死にそうだったの。」

光「あんた・・・、お弁当は?まさか・・・、またやったのかい?」


異世界でも高校生は変わらない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ