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1日を終える好美にとって唯一のお楽しみと言える時間。


-㊻ 試行錯誤の注文システム-


 シューゴの声で昼が来た事を実感する好美、そろそろお楽しみの「あれ」をする時間帯が近づいて来た様だ。


好美「そう言えば・・・。」


 何かを思い出した好美は自宅である15階のキッチンへと向かい、料理用の小型エレベーター横にあるタッチパネルを開いた。

 1階の「暴徒の鱗」にある液晶パネルへと繋がる住人限定の注文システム、これを使ってみる事にした。

 好美がふと画面の右上に目をやると。


好美「もう、皆ったら・・・、何よ・・・。」


 本来は部屋番号が書かれているのだが、この15階は好美しか住人がいないので「いらっしゃいませ 我らが好美オーナー(※本来はここに部屋番号) 様」と表記されていた。

 それを見て思わず笑みがこぼれてしまった。


好美「さてと、そうだな・・・。餃子と叉焼でしょ、あれ?唐揚げなんてあったんだ、頼んでみよう。こうすればいいのかな、「注文確定」を押して・・・。」


 好美が注文を確定させると画面上に支払い方法の選択ボタンが現れた。「現金」か「魔法クレジットカード」が使えるらしい、オーナーでもまだ知らない事が多い様だ。好美は興味本位で「現金」を押してみた、誰かが取りに来るのだろうか。

 すると「料金をお支払い口にお入れください」と表示されたので好美はキョロキョロと探してみたが何処にも「お支払い口」など無い、すると「カチャッ」という音と共にタッチパネルが開いたので引いてみると探していた「お支払い口」が大きな口を開けていた。

 どうやら紙幣も硬貨も同じ場所から入れる様になっているらしく、好美は一先ず2000円を入れてみた。下にお金が落ちていく間に精算がなされ、数秒後に下にある取り出し口らしき穴から釣り銭が出て来た。きっと、オープンの直前まで試行錯誤を繰り返し、皆がアイデアを出しながら改良に改良を重ねてこうなったのだろう。

 釣り銭を受け取りタッチパネルを閉める、それから数秒後に小型エレベーターが上へと動き出した。

 「15階です」の電子音と共にエレベーターが開くと出来立ての料理に伝票と下半分が折られているメモ用紙が1枚添えられていた。

 メモ書きには「おつまみメニューの人気商品、生姜醤油の唐揚げと今度から出す予定の新作である塩麹唐揚げを半々ずつ入れていますのでご試食ください。」と書かれている、その下に目線をやると。


好美「ん?P.S.?何だろ。」


 メモ用紙下部の折られていた場所を開くと「P.S. おまけしといたからねー^^v!!」と慣れない顔文字付きで書かれている。

 気持ちは嬉しいがオーナーとして気持ちが複雑になった、これが繰り返されると経費の無駄が生じてしまう可能性が出てくるのだ。

 好美の思考を読んだのだろうか、ビルの全部屋を繋げる内線電話が鳴った。副店長のデルアからだ。


デルア(電話)「試食兼賄い用だった塩麹唐揚げが酒に合うか気になってね、良かったら試してみてよ。」


 デルアがおまけしたのはそれなりの理由があったらしい、今回は御咎めなしとした。

 出来立ての音を立て食欲を誘う料理が待っている、早く食べて呑みたいという一心で屋上のバルコニーに料理と缶ビールを運ぶと、つなぎを少し崩して缶ビールを開けた。

 衣サクサクの唐揚げで熱くなった口に冷えたビールを流し込む、昼間から堂々とこの高揚感を味わえるのは夜勤の人間が故の特権だと感じた。

 屋上から下を覗くと国の中心地で忙しそうに働く人々が沢山見える、「何か悪いな」と思いつつ、ついつい顔がにやけて酒が進んでしまう。


好美「さてと、次は餃子だね。熱っ・・・、そこにビールっと・・・。はぁー、たまんない!!」


 一応添付のタレで餃子を楽しんでいたが、好美には拘りの食べ方があった。キッチンへと『瞬間移動』して小皿にある調味料を入れ、そこにもう1種類振りかける。


好美「これこれ、酢胡椒!!それと・・・。」


 好美は普通のタレだけではなくこの「酢胡椒」にも辣油を入れて食べるのが好きだった。とにかく辛くしないと気が済まない時があり、必ずと言って良い程スパイシー系の調味料系統は常備していた。


楽しい時間は続く。

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