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拉麵屋の開店ももうすぐだ。


-㊳ 本格的な開店準備(②)-


 拉麵屋の調理場でイャンダとデルアがシューゴやパルライの指導の下でスープや醤油ダレにトッピングの製法を復習する様に仕込んでいた。

 旧店舗の2人は互いに1店舗分の、そして新店舗の2人は業務提携した2店舗分の製法を復習している。

 マイナーのトラックをチラ見しながら後からやって来た渚も参加して「特製・辛辛焼きそば」の復習も行っていた、と言っても今までシューゴが行っていた簡易版の製法だが。

 ただ渚だけは自ら作成したオリジナルの製法を守っていた、そんな中・・・。


林田「そう言えばマイナーのトラックに書いてあった文字・・・、何か引っかかるな・・・。」

好美「何かあったんですか?」

林田「いや、気のせいです。ランニングの途中なので戻ります。」


 そう言うと林田署長は日課へと戻って行った。

マイナーのトラックが過ぎ去って行った後、別にもう1台、一回り大きなトラックが停車していたのが見えた。どうやらコンビニへと雑貨類を運び込んでいたらしい。

傍らでは赤と銀のトラックから青い制服を着たドライバーがパンを運び込んでいて、その横では近所のカフェでウェイトレスをしているリッチのレーゼが軽トラでお手製のお握りやサンドイッチを持って来ていた。


レーゼ「他でもないゲオルさんや光さん、そしてナルリス君の頼みだからね。全力でこの「コノミーマート」をお手伝いさせて貰うよ!!」

好美「ありがと・・・、ってえっ?!今何て言ったんですか?!」

レーゼ「だから、全力でお手伝いさせて貰うよって。」

好美「何を?」

レーゼ「何だい?「この「コノミーマート」を」って言ったの、イェットさんからこの店のオーナーさんから名前を取ったって聞いたんだよ。一度会ってみたいもんだね・・・。」

好美「ははは・・・。」


 引き笑いをしながら目線を外すオーナー、まさか知らない間に店の名前が決定していただなんて思わなかったらしい。好美は「自分の名前は入れないでおこう」と考えていたのだが、時既に遅し。あらゆる契約会社全てで「コノミーマート」として話が通ってしまっていたのだ。どうやら夫のゲオルを通してイェットが手を回していたそうで。


好美「こんな大きな看板まで作ってる・・・、ここまで行くと仕方がないなあ・・・。」


 ピースサインをした好美の顔が描かれた看板を見ながら呆れた様にぼそっと呟く好美の様子を見てレーゼが察した。


レーゼ「まさか・・・、あんたがこの店のオーナーさんかい?」

好美「そう、私がオーナーの倉下好美です。」

レーゼ「それはつゆ知らず、申し訳ございません!!」

好美「やめて下さいよ、堅苦しいの苦手なんでフランクにお願いします。」

レーゼ「そうかい?そう言ってくれると助かるよ?」


 好美は話題を逸らすことも兼ね、レーゼが持ち込んだ荷物に目をやった。


好美「そう言えば・・・、えっと・・・。」

レーゼ「あっ、レーゼって呼んで。」

好美「レーゼ、今日は何を持って来てくれたの?」

レーゼ「今日はとにかく量が必要だからお握りもサンドイッチも一般的な物ばかりだよ。お握りは梅や鮭、昆布にツナマヨ。それとサンドイッチは卵とレタスハムかな。落ち着いたら変わり種を用意するつもりさ、その時は商品の登録も兼ねて試食をお願いするかもだからオーナーさんも宜しくね。」

好美「好美で良いよ、そう呼ばれるの慣れてなくて。」

レーゼ「そうかい、じゃああんたが言った通り「好美ちゃん」でね。」


 そう言うと、納品を終えてカフェへと戻って行った。どうやら朝早くから準備をしていたらしく、目には小さくだがクマが出来ていた。

 コンビニの奥の調理場ではイェットが店長自らホットスナックの準備を始めていた、店の名物にしたいらしく、唐揚げ棒は入念に2度揚げを行っていた。外の衣はサックリとしていて、中の鶏もも肉はふんわりとしていた。

 鶏の軟骨の入った捏ね棒や、焼き鳥、そしてフライドポテトも用意している。コロッケに至っては3種類もだ。

 奥には広めのイートインスペースが2箇所あり、1箇所は一般客用だがもう1箇所は学生用として用意されていた。聞くと学校帰りの学生達と交流を持ちたいと後からイェットやバリスが話し合って後から設置したそうだ、好美は全く聞いていなかったが。


好美「これが私の店なんだね、これから守って行かなきゃ。」

バリス「それは俺の台詞だ、精一杯頑張らせてもらうよ。」


頼もしい仲間に嬉しそうな好美。

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