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夜勤族の妄想物語 4.異世界ほのぼの日記2~異世界でも夜勤になったので堂々と昼呑みします~  作者: 佐行 院


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好美は胸を躍らせていた。


-㊲ 本格的な開店準備(①)-


 渚が『瞬間移動』で帰宅した後、好美は涼しい風に当たりながら昇ったばかりの朝日を一人眺めていた。これからはこの世界でこの光景を幾度となく眺めるのだろうかと思っていると少し寒気を感じた。今思えばまだ服を着ていなかった。


好美「さぶっ・・・、体拭く前にもう一度入ろう。」


 そう呟いた後、まだ冷めていないお湯に浸かり数分後に出て『転送』で取り出したバスタオルで体を拭き、急ぐ様に服を着ながらふと感じた事があった。この世界に来てから好美は衣服を購入せずにずっと転生時に来ていた制服を着ていた様な。

 確かに『状態異常無効化』のスキルを使うと服が汚れていても洗濯したての様にすぐに元に戻るが、やはり好美だって1人の女性だ、ファッションには気を遣いたい。今夜からの夜勤での初任給が出たら是非こっちの世界の衣服を買おう、そう心に誓った。流石に以前勤めていた会社のロゴが描かれている制服つなぎでずっと過ごす訳にもいかない。

 まぁ、神様から貰った1京円の残りがまだあるのですぐ買えるのだが、そこは気持ちの問題だ。

 時刻は朝5:30、雲1つない綺麗な青空が広がるネフェテルサ王国で新たな1日が始まる。少し怖かったが屋上から下を見下ろすと、街中の店に少し離れた市場などからトラックに載せられた商品が運び込まれているのが見えた。よく見てみれば、自分の立っているビルの1階部分にもトラックが止まっている。

 誰だろうと思った好美は『瞬間移動』で1階へと降りてみた、見知らぬ男性が拉麵屋にトラックから野菜を中心とした生鮮物を搬入している。

 よく見てみればイャンダとデルアも手伝っていた、初回の搬入で量が多かったからか、シューゴや一、そしてパルライの姿も見える。今日から開店する新店の開店の為にスープや醬油ダレ等を沢山仕込むためだそうだ、ついでに自分達が各々の屋台等で使う材料も仕込んでいくらしい。

 作業の邪魔にならない様に遠くから見学していた好美の姿に気付いたイャンダが声を掛けて来た。


イャンダ「好美ちゃんおはよう、良かったら手伝ってくれるかい?後紹介したい人がいるんだ!!」

好美「おはよう、今すぐ行くね!!」


 トラックに載った想像以上の量の野菜をバケツリレー方式で店に運び込んでいく、ただこんな量をどうやって敷地内に収めているのかと疑問に思っていた。どうやら渚が冷蔵庫に魔力を流し込み『アイテムボックス』の様に無限に入る仕様にしていたらしい。その中にどんどん運び込まれる野菜たち、ただ何故か全てキャベツやバナナの箱に入っていた。理由を聞くと箱が丈夫だからだそうだ。


好美「そう言えば渚さん来てないね、もう屋台を走らせているの?」

イャンダ「いや、まだ寝てるってさ。朝までずっと露天風呂に入っていたらしいよ。この国にそんな場所あったかな・・・。」

好美「ははは・・・。」


 まさか自分の行動による影響がこんな所で出ているとは思っても見なかった好美。


好美「そう言えば、紹介したい人がいるんだって?」

イャンダ「そうなんだ、王宮の厨房で調理していた時に野菜などを卸して貰っていた・・・。」

男性「マイナーじゃないか、元気そうだな!!」


 イャンダの台詞を遮る様に横から男性の声がした、声色から驚きを隠せないのが伺える。


マイナー「警部・・・、お久しぶりです。」

林田「今は署長だよ、まぁ、知らなくても仕方ないか。」


 たまたま日課のランニング中だった林田署長の警部時代の元部下であるハーフ・エルフのマイナー・アーネスは、警察を辞めた後に両親の経営する野菜を卸す会社を手伝っているそうだ。

 イャンダがネフェテルサの中心地で拉麵屋をすると聞いたので。昔のよしみで野菜を中心に生鮮食品を卸すと自らかって出たのだと言う。

 ただ肉だけは以前好美がケデールの店で契約していた事を聞いたので、ビルに着く前に肉屋へ一度寄って肉類を載せてから来る事になったそうだ。


マイナー「ケデールと俺は魔学校時代からの友人同士でね、あいつ昔から頭ん中肉の事でいっぱいな奴だったんだよ。」

好美「そうなんだ、これからお世話になります。」

マイナー「こちらこそ。」


 マイナーは笑顔のまま荷台が空っぽになったトラックに乗り込むと、新たな出逢いに嬉しそうな様子で帰って行った。


マイナーは何処か嬉しそうだった。

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