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好美の「あの性格」が出る。


-㉜ 3人の料理人-


 元王国軍の将軍たちについてパルライが行っていた事は本当なのだろうか、好美は別に1国の王を信用していない訳では無いのだが先程も記した通り「論より証拠」派なのだ。

 それに是非とも王宮の厨房を担当していた将軍達の料理が食べてみたい、その上偶然が重なりお誂え向きにも丁度空腹で腹にたまる物が良い。

 これから開くのが拉麵屋が故にどうしても実力を見ておきたい料理がある、そこで初顔合わせも兼ねてナイトマネージャーであるピューアを呼び出し3人に実力を発揮してもらう事にした。

 ただ、十分な広さや大きな調理台はあるのだがコンロは「2つ穴」で調理道具も見た感じ「2人分」。そんな設備で「3人で料理」だなんて。

 料理はパルライとも話し合い、合意の上で決めた。やはり中華の実力と言えばこれと言われる料理。


好美「只今より3人には炒飯を作って頂きます、拉麺を含み「中華料理は炒飯に始まり、炒飯に終わる」と言われています。具材や味付けは自由で構いませんので自身のある「1品」を作って下さい。」

イャンダ・デルア「押忍!!」

ピューア「は・・・、はい・・・。」


 はじめてのピューアにとって、元竜将軍である2人の威圧はどうしてもビクビクしてしまう物だったが時間が経つに連れて慣れていったらしい。それどころかいつの間にか仲間意識と連携が生まれ始め、物の貸し借りをする位の仲となっていた。

 元竜将軍同士はともかく、出逢って間もないのにもうピューアともあだ名で呼び合っている。


デルア「ほい、塩と胡椒ね!!」

イャンダ「おう、サンキュー。」

ピューア「葱と叉焼、お待たせ!!」

イャンダ「助かるぜ、ありがとよ!!デル、餡の準備頼めるか?」

デルア「勿論だ、ピューちゃん片栗粉頼む!!」

ピューア「あいよ、出してくるね!!」


 敢えて十分とは言えない設備で調理をさせたのは、各々が自己の役割を果たして「1つの仕事(炒飯)」をこなせるかを見る為だった。実はこれが一番の目的、これからは仕事仲間として共に働く仲間なのだからギスギスしているのは決して良くはない。


ピューア「デル、水溶きにしといたよ。」

デルア「流石、空気読めるね!!」

イャンダ「いやぁ、ピューちゃんと一緒に仕事出来て嬉しいよ。ありがとよ。」

ピューア「どういたしまして、イャン。ただ目を離したら焦げちゃうよ。」

イャンダ「おう、悪い悪い。」


 そうして3人による初めての共同作業で完成した「1品」、鶏ガラ醤油ベースでとろりとした餡が味の決め手となっている叉焼入り炒飯。炒飯自体は塩胡椒のみのシンプルな味付けなので決して餡の味を邪魔しない。少し硬めに仕上がった炒飯に餡が染み込み丁度いい塩梅になっていた。

 料理の味を見た好美とパルライは文句なしの合格を言い渡した。因みにこの料理はデルアのアイデアだそうだ。

 やはりデルアの料理センスはピカ一らしく、その事が好美の疑問の解決に一歩近づけていった。

 好美はデルアがイャンダと同じ「竜将軍」だが、「黒竜将軍」と言われていた上に何処かで聞き覚えのある苗字ファミリーネーム


イャンダ「実はデルは元ヴァンパイアでね、俺と違って闇の魔術に精通しているから「黒竜将軍」なんだよ。他の奴と違って、鎧も少し黒みがかっていたんだ。本来はこいつが店長をしてもおかしくない位、料理が上手いんだよね。ただ俺が店長をやれってうるさくてさ。」

デルア「おいおいイャン、それ褒めてんのかよ。」

好美「あの・・・、私もデルって呼んでいい?」


 突然声を掛けて来たオーナーに緊張を隠せない副店長。


デルア「も・・・、勿論・・・、でございます・・・。」

好美「皆お願いだから堅苦しいのやめて、私も皆にお色々教えて貰うだろうからフランクに行きましょう。その上で2つ程聞かせて頂戴。」


 好美はオーナーとして店を経営するのが初めてなので、アドバイスを受ける側としては出来るだけ相談しやすい環境にしておきたかった。コンビニでも是非こうしておこう。


デルア「は・・・、うん・・・、分かった・・・。で、どうした?」


好美はうやむやにしたくなかった。

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