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好美にはトラウマがあった・・・。


-㉑ 好美の心配事とピューアの趣味-


 好美がまだ日本にいた頃の事だった。副工場長の島木に夜勤を命じられ数日が経過したその日、そう夜勤初日。当時夕飯として出ていたカレーを母親に勧められるがままに食してから夜勤へと向かったのだが、「どうして自分が夜勤になってしまったのだろう」と不安と極度の緊張から仕事前からずっと嘔吐下痢が止まらなかったという事があった。

 その事がトラウマとなりカレーを食べる度に症状が出てしまうので、それ以来カレーを食べる事ができなくなってしまったのだ。

 最近は体が慣れて来たからか少しずつだが平気になってきている、しかしこれから一緒に働く仲間が振舞ってくれた折角の料理を吐き出すなんて正直したくないので、好美は保険をかけておく事にした。

 その保険とは他の転生者の様に「スキルを『作成』する事」だ、ただ好美は自身のオリジナルで『作成』するのが初めてで不安になっていた。


好美「上手く『作成』出来るかな・・・。」


 この様に不安になった場合は特になのだが、好美には色々と深く考え込んでしまう癖があった。

 今までの転生者が『作成』してきたスキルが色々と便利なのでどうしても自分にも出来るのだろうかと思ってしまう。

 最初は『状態異常無効』を思いついた、ただ折角呑んだのにアルコールが無効化され酔えなくなってしまいそうでやめた。

 次に『強化』はどうだろうかと感じた、しかしこれも同様の理由で却下。しかも呑んでいない内に缶や容器を手で壊してしまいそうで正直怖い。

 では『臓器強化』にしようかと思った、これなら体内の臓器のみが強化されるので周りに迷惑が掛かる事は無い上に強くなった分沢山楽しめるようになる、まさに一石二鳥だ。

 なので初めての『作成』は『臓器強化』にした、そんな事を考えている内にビルの前に到着した。生鮮食品も加工食品も『転送』と『アイテムボックス』を利用して移動させたので全員手ぶらで到着した。

 好美は面接に来る人々や店の準備作業を行う人々の為にビルの裏に数台分の駐車場を用意していた。いずれはこの駐車場を拡大して月極駐車場として住人限定で貸し出し、駐車出来るようにする予定だった。その駐車場にはシューゴの渚の屋台のみが止まっていたはずなのだが、偶々横切った今見たことない車が一台。


好美「あれ?あんな車ありましたっけ?」


 派手な紫色のボディーが日光を反射してとても眩しく光っているその車は、ある事故をきっかけに造られたというあの車種だ。そう、釜めし屋の前の写真が有名なあの・・・。

 昔「赤鬼」と呼ばれた走り屋としてのあの時の血が騒いだのか、渚は興奮し目を輝かせていた。


渚「スルサーティーじゃないか、まさかこの世界で拝めるとはね。(※ふぅ・・・、権利的にはセーフかな・・・。)」

ピューア「すみません、私のです。まだ駐車しちゃ駄目だったんですね。」

好美「いや大丈夫ですよ、だって今日拉麵屋の面接に来ていたじゃないですか。後からでも良いので住人として使用する為、申請書出しておいてくださいね。」

ピューア「心の広い方で良かったです、実は私『アイテムボックス』持って無くて。」


 その言葉を聞いた渚が再び興奮しながらピューアに申し出た、何気に呼吸が物凄く荒い。

 そしてピューアの事を不自然に「さん」付けで呼んでいる。


渚「ピュー・・・、ア・・・、さん・・・。」

光「母さん、スルサーティーが好きだからって興奮するのは分かるけど呼吸を整えてから言ったら?」

渚「そうだね・・・、ピューアさん。私が『アイテムボックス』を『付与』するから良かったら私の愛車を横に並べて1枚撮っていいかね。」

ピューア「良いですけど、何乗っているんですか?」

渚「これこれ。」


 渚は愛車のランナーエボリューションⅢを『転送』させ横に並べた(※今更だけどこれもセーフだよな)。

 渚の愛車を見た瞬間、ピューアも興奮していた。


渚「じゃあ約束の・・・。」


 渚がピューアに『アイテムボックス』を『付与』するとスマホで2台の写メを撮り始めた、すると・・・。


ピューア「私も撮りたいです・・・、ダメですか?」

渚「勿論良いよ、後で一緒に撮ろうか。こりゃイイネいっぱい貰えるね。」

好美「今更だけど、人魚ニクシーも車乗るんだ・・・。」


顔を引きつらせる好美・・・。

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