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沢山の商品を買い物かごに放り込む好美達。


-⑲ 大魔法使いの妻-


 ゲオルの好意に甘え好美達は昼呑みの材料と、各々好みの酒をわんさかと調達する事にした。ただ、店長さんの許しを得ているとはいえ流石に店内で『アイテムボックス』に商品を直接入れるのは万引きと間違われる可能性があるからまずいだろうと一先ず買い物かごに入れ、ゲオルに一度見せてから移す事にした。

 その行動は正解だった様で、一度同様の手口で万引きを行おうとした魔学校生をゲオル自ら直前で引き止めた事があったとの事だ。レジで自ら待ち構えるゲオルの下に商品を持って行くと、店長の魔法使いは想像以上の量に驚きを隠せずにいた。


ゲオル「沢山持ってきましたね、人数多いんですか?・・・、ってそういう事ですね。」


 ゲオルが光の方にチラッと目をやると、光は少し顔を赤らめた。十数年の間に大食いだという事がかなり広まったんだと思われる。


好美「沢山ですけど、本当に良いんですか?」

ゲオル「勿論、男に二言は無いですよ。それに先日光さんには沢山ご馳走になりましたからね、そのお返しです。実は私も昨日競馬で大穴を当てたので泡銭がたんまりあるんですよ。」


 そう言うと『アイテムボックス』から昨日の競馬新聞を取り出して好美に見せた、7レースの所に花丸が描かれている。


ゲオル「ね?以前から来ると信じていた馬だったんですよ、買って正解でした。」


 すると、それを聞きつけたゲオルの妻であるウィッチのイェットが店長の後ろから満面の笑みで声を掛けた。


イェット「へぇー・・・、昨日の7レースか・・・。時間帯的に私達が昨日店で忙しくしている時に高貴な魔法使いのゲオル様はお馬さんで遊んでいたのね・・・。じゃあその間のお給料は弾んでもらわないといけないかしら・・・。」


 イェットの言葉に寒気を感じたのか、ゲオルは後ろを振り向けずにいた。顔面を蒼白させる店長に妻は言葉を続けた。

 先程以上の笑顔をこちらに向けてきている事は間違いないのだが、どうやら首筋に冷却魔法を加えている様だ。本来は風邪をひいた時の熱を冷ます時などに使う物なのだが、その光景が面白くて好美達は止める気が起こらなかった。ゲオルはリッチだから大丈夫だろうという少しの安心感も手伝い、笑いが止まらなくなっていた。


イェット「よっぽど景気が良いのね・・・、羨ましいわ。今夜は従業員皆で焼き肉かしらね・・・、御厨さんに電話しておくわね・・・。今夜が楽しみね、貴方。」


 開いた口が塞がらなくなっていたゲオルを横目に、好美達は奢って貰った商品を『アイテムボックス』へと入れていった。因みに、昨日ゲオルは3連単19008倍の大穴万馬券を当てていたそうだ。それを偶然見かけたイェットの友人が連絡して来ていたのだという。

 金銭的にはまだ余裕なのだが精神的に崩壊しそうになっているゲオルは今夜覚悟を決めたらしい、御厨に電話して良い肉を仕入れて貰っておく事にした。

 そんな中、ゲオルは何かを思い出したかのようにピューアに声を掛けた。手にはスポーツドリンクを持っている。


ゲオル「今日はずっと晴れてて暑かったろう、これもお代は良いからすぐに飲みなさい。」

ピューア「叔父さん、ありがとう。丁度欲しかったんです。」


 どうやらピューア達人魚族は暑さに少し弱いらしく、今日もずっと日中暑くなっていたので顔を火照らせ額に汗を滲ませていた。その証拠に魔力の維持が困難になりかけていた為、足が尾鰭に戻りかけていた。まぁ、肌の表面に鱗の様な模様が少し浮き上がっていた程度だったのだが。

 その様子を遠くから見ていた好美の視線を感じたゲオルは、好美に近づき耳打ちでお願いした。


ゲオル「すみません、偶にで構いませんので姪の様子を見て頂けませんか。あいつ水分補給を忘れがちなんですよ、何卒宜しくお願い致します。」

好美「任せて下さい、分かりました。」


 笑みを浮かべる好美に新任のナイトマネージャーが尋ねた。


ピューア「あの・・・、叔父さん何か余計な事を?」

好美「いや特に、ただ姪っ子思いの優しい叔父さんなんだなって思いましてね。さて、行きましょうか。今日はお料理をして頂くので特別に15階にご案内致します。」

ピューア「あれ?うちのマンション、15階までありましたっけ?」

好美「ふふふ・・・、気にしない気にしない。」


ピューアの実力はいかに?

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