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楽し気に呑む2人を眺めながら1人真面目に働く好美・・・。


-⑱ 痺れを切らしたオーナー-


 自分だけが面接を行っているのにも関わらず、仕事をほったらかしてずっと呑んでいる2人を見てイライラしていた好美は正直今日はピューアで終わりにしようと思い始めていた。

 その上、ピューアはこのマンションの住人な上に自分と同じ夜勤を希望している。という事は今のうちに呑み仲間になっておいても損は絶対ない、いやなるべきだ。それに経営学を学んでいる上に調理師免許持ち、正直寿司職人をしていたこの人の、いやこの人魚ニクシーの魚料理を肴に美味い日本酒を呑んでみたい。


好美「丁度今日の仕事は終わりにしようと思っていたんです、というよりあそこをご覧頂ければ分かるのですが、この店の大将と共同経営者がさっきから仕事をサボって呑んでいるので1人仕事をしているのが馬鹿らしく思えてきまして。よかったら材料費は出しますのでピューアさんのお料理でご一緒に呑ませて頂けませんか?一応、オーナーとして料理の実力も知っておきたいですし。」

ピューア「分かりました、ではご一緒にお店に行きましょう。」


 2人はビルを後にし、ゲオルのお店へと向かった。店に着くとそこには転生者の先輩である光がいて、店長と何やら相談をしていた。


光「噂をすれば影ってやつね。好美ちゃーん、こっちこっち。」

好美「光さん、どうされたんですか?」


 光は好美の店、特にコンビニについての相談をしていた。面接等で忙しくしている好美を気遣っての事だった。


光「実はね、好美ちゃんが開くコンビニの商品の流通ルートについて相談してたのよ。」

ピューア「えっ、好美さんがやるのって拉麵屋じゃなかったんですか?」

好美「いや、私は1階のスペースを2店舗分貸してオーナーとして関わるつもりなんですが、一先ず拉麵屋とコンビニの面接を同時に行っていたんです。それに今度から夜勤で王宮の見回りの仕事をする予定ですし。」

ゲオル「他でもない光さんの頼み、私が両店舗の流通ルートを確保させて頂きます。」

好美「本当ですか、私本当に疎くて分からない事だらけだからずっと悩んでいたんです。」


 好美が商人の先輩であるゲオルの行いに本当に感謝している中、光は横の女性について気になっていた。少し青みがかった金髪で、絹の様な眩しい位の白い肌。本当に人間なのか、いや本当は人間ではないのか?


光「こちらの方は?」

好美「拉麵屋のナイトマネージャーとして働いて頂くピューア・チェルドさんです。」

ピューア「という事は私・・・、採用ですか?」


 首を縦に振る好美、その横で目の前の魔法使いは何かを思い出そうと必死になっていた。


ゲオル「聞いた事があるな・・・、もしかしてマーメイドのピューアちゃんかい?」


 ゲオルは嬉しそうな表情でピューアの方を見ていた、知り合いなのだろうか。


ピューア「もしかして・・・、リッチのゲオル叔父さんですか?」

ゲオル「やはりか、君に会うのは20年ぶりだったね。マリューは元気にしているかい?」

ピューア「はい、父は相変わらずのんびりと生きてます。それと私今、ニクシーです。」


 人魚とアンデッドの魔法使いが親戚?!改めて自分達が異世界にいる事を実感しつつ世間の狭さを実感する好美と光、そんな3人を横目に親戚との再会・・・、って3人?!

 光と好美は先程から誰かが後ろにいた事には気付いてはいたのだが、誰かは全く分からなかった。

後ろにずっといたのはよく見なくても何処からどう見ても・・・、渚だ。


渚「何さ、私はそこまで影が薄い女なのかい?」

光「母さん、さっきからずっと静かだったから気付かなかったじゃん!!」

好美「渚さん、いつからいたんですか?」


 ただ、渚はついて来ていた訳では無いらしい。お得意の『瞬間移動』で先程この場に到着したとの事なのだ。


渚「だってね、ずっと何もせずに2人が呑んでいるだろ?イライラしちゃってね、仕事するのも馬鹿らしくなってきたのさ。」

好美「私もです、もう一層呑んじゃおうかと。」

ゲオル「もしかして・・・、私の弟子がご迷惑を?」

好美「良いんですよ、商談が上手く行っているみたいなので放っておいてただけでして。」

ゲオル「そうですか、じゃあ今日は私の奢りですので好きなだけ持って行っちゃって下さい。早い開店祝いとお詫びを兼ねて。」


意外な繋がりと太っ腹な性格を持つゲオル。

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