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112

よくある面倒くさいクレーマーか?


-112 悪名貴族の言い掛かり-


 慌ただしい雰囲気の中、代表取締役の姿を目にした副社長はすぐに電話対応をずっとしている自分の所へ来るようにと誘い出した。こんなに焦った光明の顔を見るのはいつ振りだろうか、結愛にはただならない位の嫌な予感がしていた。


結愛(小声)「おい、そんな顔してどうしたんだよ。」

光明「すみません、少々お待ちください。」


 結愛の声を聞いた光明は電話を保留の状態にした、頭を抱えながらため息をつく。


光明「困ったもんだよ、助けてくれ。ダンラルタに最近作ったあそこあるだろ?」

結愛「魔獣保護養育施設の事か?」


 近年、3国における労働力向上や魔獣の保護などに力を入れ始めた貝塚財閥なのだが、その一環として野生で衰弱した下級魔獣を中心に保護して人化できる上級魔獣へ養育する施設をダンラルタ王国に建てていた。それについての電話らしい、どうやら相手はかなりの勘違いをしている様だ。

 結愛は光明に替わり、電話に出る事にした。スピーカーフォンに切り替えると、相手は20~30歳くらいの女性らしい。

 結愛は丁寧な口調で応対を始めた。


結愛「大変申し訳ございません、大変お待たせ致しました。私貝塚財閥の代表取締役社長を致しております、貝塚結愛と申します。先程の者に替わり、私がご用件をお伺いいたします。確か、我が社の魔獣保護養育施設の事でございましょうか?」

女性(電話)「そうよ、そこの人が無理矢理魔獣を捕まえて生態系を悪くしてるって言ってんのよ!!」

結愛「恐れ入りますが、保護対象の魔獣自身には必ず施設に連れて行く際に許可を頂いております。各々で人化できる上位種の者を通訳として連れていますので当方納得の上で行っているのですが。」

女性(電話)「だからって、下級魔獣が減ったままじゃ意味ないじゃない!!」

結愛「人化出来る上級魔獣になったら「卒業」という形で自然にお帰り頂く形に致しております、各々でバルファイ王国にございます我が社の魔学校に進学したりそのまま就職したりと皆様新たな人生を謳歌して下さっています。それに下級魔獣の減少防止の為、上級魔獣同士の婚活推奨パーティー等を開いたり致しておりますので、書類に描かれたデータによる事実上は下級魔獣の減少問題は回復致しております。」


 スピーカーフォンで会話を聞いていた光明は、相手に聞こえない様に『念話』で結愛に話しかけた。


光明(念話)「俺もさっき全部言ったんだけどな。」

結愛(念話)「そうなのか?じゃあこいつ、かなり手ごわいな・・・。」


 電話からは未だに罵声が聞こえている、耳が痛くなって来た結愛は音量を少し絞った。


女性(電話)「ちょっと、聞いているの?施設から「卒業」って形で出て行っても魔学校にどうやって入るって言うのよ!!」

結愛「そうですね・・・、実はと申しますと1つの施設と申し上げましても目的によって建物が分かれておりまして、各種上級魔獣によります下級魔獣の為の学校も兼ねております。最初に施設に入って頂いた下級魔獣を人化出来るまで育て、その後各々の者に小中高生としての学校教育を致しております。勿論、保護施設に入っていない野生の人化出来る様になった下級魔獣にとっての学校としての役割も果たしておりますので何ら問題は無いかと・・・。」


 社長に論破された相手の女性は数秒程沈黙してから慌てた様に言い出した、どうにかして結愛の事を抑圧しようとしているらしい。


女性(電話)「な・・・、何よ!!そんな施設、私のお父様がお認めになると思って?!私が誰か分かって無いんじゃないの?!」

結愛「恐れ入りますがお名前を頂戴致しておりませんので、どなたか存じ上げないのですが・・・。(念話)てめぇなんて知るかよ、ばーか。光明すまん、ちょっと外すぜ。すぐ戻るから。」

光明(念話)「おいおい・・・。」

女性(電話)「何よ、この声で分からないの?良いわよ、名乗ってあげるわよ!!私はリラン・クァーデンよ、ダンラルタ王国にある貴族の娘よ!!何で分からないの、あんな施設の事なんて絶対お父様がお認めにならないわ!!」


 『瞬間移動』で本当にすぐに戻った結愛の傍らであの男性が一緒に電話に出てくれた。


結愛「貴女のお父様がお認めにならなくてもダンラルタ国王の・・・。」

デカルト「私デカルトが自ら公認をしているので問題も関係も無い!!」


挿絵(By みてみん)


話が分かる国王で良かった。

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