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事情

いつも読んでいただき誠にありがとうございます。

ブックマークやいいね等、とても励みになっています!


初投稿から2か月、毎日投稿していれば61話を越えている筈なのに…すみません!

まだまだ頑張りますので、これからも読んでいただけると嬉しいです。

 


 レイティアは何かを憂いた表情で、さらに話を続けた。



「こちらが特別変わっている方だとは思うのですが。とにかくそういう乙女達が複数いたりする中で、特定の教会の乙女だけを聖女認定すると様々なバランスが崩れてしまうんです。実は最後に国に聖女認定された実例は150年も前で。その時も、大変な騒動になったようでして」

「さすが…アウルだな。聖女と聞いてそこまで思い出せるとは。こちらも対応しやすくなるよ」



 騎士の変装をしている間はアウルと呼ぶ決まりだったが、カインは真剣な話の最中で危うくレイティアと口にしそうになった。だが、その話を聞いているうちに今この国にレイティアを置いていくことは出来ないと思った。馬鹿な王太子が次々としでかすのだ。どんな危険が迫ってくるかわかったものではない。アウル呼びは徹底すると心に決めた。



「そんな大したことではないのですが…。今までにたまたま学んだだけです」

「学んだことが、知識となり蓄えられている事が素晴らしいだろ?どっかの王太子だって同じこと学んでいるんじゃないのか?なのに国の歴史を省みず、無くなった慣習を復活させようとしてるなんて。どうかしてるとしか言えないな」



 実は帝国の第四皇子のカインだが、そのカインですら今の話を聞いて危険を感じた。警鐘がなったとでも言えばいいのか。なのにれっきとした王国の後継者として教育を受けた王太子が、軽々しく聖女問題に手を出すとは。更にはあまつさえ聖女を捏造するつもりでいる。レイティアと同じ教育を受けたとは思えない、あまりにもお粗末すぎる思考力だ。



「そう…ですね。どうかしてるというのは、確かにそうかもしれません。今となっては別人のようですが、共に学んでいた時代は秀才と呼ばれ学ぶ意欲もある方でした。庇っている訳ではありませんからね!?単なる事実です」

「そうか、まさかアウルが庇ってるのかと思ったよ。庇いたい要素は何処にあるのか聞くところだった」

「庇っていませんし、庇いたい要素は0ですね!」



 レイティアは即答する。何が悲しくて自分を陥れた人間を庇うというのか。絶対に気のせいだ。



「ハハハッ!アウルは言いたいことが言える子みたいだな…アウル、これからは言いたいことは遠慮せず言ってくれ」

「ありがとうございます。心掛けますね。ところでその聖女の話の続きなんですけど。王国では150年前から聖女がいなかったので、今となっては儀式などわかる人がいないんですよ。聖女制度を復活させたからといって儀式も出来るわけではないのです」

「いよいよ分からなくなったな。というか、分かりやすすぎるというか。つまりは名称としての聖女を使えれば、その他のことは興味無いんだな」



 隣国の事とはいえ、病に臥せっている間に息子にここまで大騒動を起こされるとは国王が余りに不憫に思った。



「ちなみに国王が健康であったなら、聖女の件了承すると思うか?」

「まさか!国王様は賢明な方ですから。そのような判断を許可するとは思えません」

「誰の入れ知恵なんだろうな…そういえばこの旅が終わって俺達の安全が確認出来たら、父君が婚約破棄を了承すると聞いた。君の罪に関しては、絶対に認めないと言ってくれているらしい」

「ありがたいです。でも、父は父で好きに動いてもらえればそれでいいんです。私も好きに動いてしまっているし。ただ、私を信じてくれた事が嬉しいです」

「良い家族関係だな…」



 カインは本心でそう思った。














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