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上司たち

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

今月に入り、投稿ペースを守れずにすいません!

出来るだけ毎日投稿出来るよう、精進していきます。

これからも皆様に楽しんで読んで頂ければ嬉しいです。



ブックマークやいいね等とても励みになります。

ありがとうございます!

 


 ―――レイティアの外出から遡ること数時間―――



 クレイ第一皇子の滞在するゲストハウスの執務室に、第三部隊の隊長トマスが訪れていた。現在取り掛かっている案件の報告と相談に来ていたのだ。第一皇子が帝国騎士団の団長を務めている。



「…ということになります」

「そうか、やはりその線が濃厚だな。だが、掴みきれていないものがある気がするな」

「そうですね…今の段階ではそれぞれの理由が弱いですしね」

「いま少し調査してもらおうか。帰国までに証拠の一つも増えれば儲けものだしな」

「はい、早速指示します」



 周囲は厳重に人払いをした上、盗聴防止の魔法を展開しての会話だった。シューベル王国内に滞在しながら内部を偵察するのだ。万が一にも会話の内容が漏れないように警戒していた。



「それにしても誕生記念式典は実行するんだね。婚約者同伴が前提で各国要人に顔見せするのが主な目的だったはずだろ?首脳陣は何を考えてるんだか」

「国王陛下が病に伏しているという話ですからね。でも息子の悪行を聞いたら、飛び起きたくなるんじゃないですか?」



 レイティアが婚約者として参加予定だった、ミハイルの誕生記念式典はつつがなく執り行うらしい。元々の理由も今となっては意味を成さないのに開催だけはするという。どれだけ面の皮が厚いのか。もしくはそうでなければ、国王などなれないのだろう。



「我が国の皇帝であれば、駆け付けて斬りつけてくるかもしれないよ」

「皇帝陛下は、胆力溢れる御方ですから」

「まぁね。あの人半端じゃないから」

「殿下も似たようなものですよ」



 ステイトス帝国の皇帝というのは、つまりクレイ達の父親だ。帝国を纏めあげ、第三夫人まで娶り子は6人。やはり通常の人々には考えられない力強さがあるのかもしれない。



「失礼だな!私はもうちょっと常人的だよ。それはいいとして、レイティア嬢の様子はどうだい?」

「カインによると、健康状態は極めて良好で昼寝をしてると報告がありました」

「精神面は色々あるだろうけど、昼寝出来るほど健康でいてくれるのは良かったよ。公爵殿も安心するだろう」

「そうですね。すぐに再会は難しいでしょうが、それまで健康でいてもらえるとありがたいですね」



 レイティアが聞いたら怒らずにはいられない報告内容だ。カインが優秀な諜報部隊員だから、細かな報告をしているのかもしれない。



「事態が進展するまで身を隠していただくのは申し訳無いが、他に方法も無いしね」

「元々帝国に逃亡するつもりだったようですし、一時的に我が国に避難して貰いましょうか?」



 偶然にもカインに出会って今の状況に落ち着いているが、そもそもレイティアは追っ手が出された時点で国を出る決意だったのだ。ただ一人だった場合は、実際に実行出来たかはわからない。やはり、どこかでトラブルは起きていただろう。



「本当だったらそれが一番なんだけど、この時期に式典も出ないで帰る女性なんて目立つだろ?一人で帰せないから護衛も必要だし。それじゃ国境すら辿り着けない」

「そうですね…護衛も数人は必要ですから、どうしても目立ってしまいますね」



 レイティアの置かれた状況と本人の美しさが更に難易度を上げる。普通に街を歩いていれば、誰もが振り返るような美人では直ぐに素性もしれてしまうだろう。



「じゃあいっそ隠さないのは?」

「はぁっ?!」

「隠すから大変なんであって、隠さなければ楽になるんじゃない?」

「何言ってるんですか?!見つかるに決まってるじゃないですか!」



 ここでクレイが斬新な提案をしてくる。トマスには考えつかない案だ。こういったところが切れ者と呼ばれる所以なのだろう。いつもは飄々といった感じのクレイだが、判断の速さや観察力の高さ、切れ味鋭い発言でしっかりと騎士団を導いてくれる。



「逆にさ、第三部隊の使用人的な感じでいてもらったら?レイティア嬢はそんな格好は嫌かもしれないけど」

「格好を変えただけでは無理ですって!」

「カインに髪色とか変えてもらえばいいんじゃない?それで第三部隊と一緒にいれば、護衛という点でも安心じゃない?」



 更にクレイが提案する。本人も口に出している内に、これが最適解だと思ってきたようだ。そしてトマスも、強気なクレイにのせられてきたかもしれない。




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